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ソロキャンパーの転生先はショタっ子魔族でした  作者: しき
異世界に転生しまして
23/32

第22話 館にて

4大貴族のロレーヌは純血の人間だ

この国における貴族の条件の1つが純血の人間種であること

巨大な街を治めるに似つかわない程若い外見

そんな彼女の口から語られたのはかつての父の冒険譚の1つだった


「やめてくれ…

 あの時は酔ってたんだ」


父は顔を真っ赤にして手を振っている

強い強いとは思っていたがまさかドラゴンスレイヤークラスだったとは…

さすがにそこまでだとは思ってなかった

後ろに立つクリストフは含みのある笑いを殺して切れていなかったが


「わざわざ来てくださった旧知の友

 しかもお子さんまで連れてらっしゃって

 歓迎しなきゃバチが当たりますわ」


鈴の鳴るような透き通った声

美しく着飾ったドレスに腰まで伸びたストレートの金髪

端正な顔立ちも全てがその透き通り響き渡る声の引き立て役だ

惜しむらくは貧乳ってとこでしょうか…


「今日はゆっくりしていけるのでしょう?

 たまには昔の仲間とお話でもしたいわ」


「まぁそのつもりではあるんだが…

 その前に仕事の話からしたいんだが」


「あらいやだ

 いつからシグルドはそんなに無粋なおじさんになってしまったのかしら」


「…やめてくれ…

 俺だってもう良い年なんだ」


口元を隠してコロコロと笑う少女のような顔立ちの領主様…

昔の仲間って言ってたけど一体何才なんだ

少なくともぼくが生まれる前に知り合っているはずだし…

年齢不詳ここに極まれりってやつです


「では目録を」


ロレーヌ公がそういうと脇に控えていた執事風の男性が恭しく近づいてくる

母が持参した目録を手渡すと、執事は一礼し足音も無く別室へと消えていった

おや、彼女は目を通さないのかな

それともこういった事は先に検閲とかされるのかもしれないな


「ではこれで仕事の話はおしまいにしましょう

 貴方達も一度下がってくださいな

 私が呼ぶまで誰も部屋には入れないように」


執事やメイド達が一礼し、やはり足音も無く部屋から出ていく

かなり徹底されているように見える

街も広ければこの館も広いし、勿論この応接室もかなり広い物だ

館だけでうちの村1つ入りそうだし、この応接室だけでもうちの家クラスだ


「ふぅ…

 あなた達と旅した頃が懐かしいわ

 今の生活…本当に肩が凝って…」


「でもそのドレスだって似合ってるじゃない

 同じ女性として憧れちゃうわ」


「そうは言いますけど…

 本当ならわたくしじゃなくてお兄様が家督を継ぐはずだったのよ

 それをいきなり呼び戻されてこんな生活だなんて…」


「俺ぁ最初に言ったろ

 家も金も要らねぇ

 自由にやらせてもらうってな」


「そんな簡単に捨てられたら苦労しませんわ!

 もう6年も街から出てませんのよ

 本当ならわたくしだって好きに遊びに出たいんです!」


「ちょっと出かけるくらいなら大丈夫じゃねぇの?

 親父だって結構出歩いてたじゃねぇか」


「それですわ!

 お父様もお兄様もふらふら出歩いては逃げ出してばっかりで!

 そのせいでわたくしはいつも誰か付いてきますのよ!

 気の休まる暇なんてありませんわ!」


領主様も大変なご様子で…

前例作っちゃった人のせいで遊びにも出れないとか

まぁこの兄ですもんねぇ

親父さんも似た感じみたいだし


「でも久しぶりにお二人に会えて嬉しいわ

 そちらお子さんよね?

 そろそろ紹介していただけるかしら?」


「あぁ、俺とメルポの子で名はジーク

 今年4歳になった

 将来はこっちで世話になるかもしれんからよろしくな」


「あら、カエルの子はカエルってわけですね

 よろしく、ジークさん

 わたくしはロレーヌの街の領主代行、レティーシャ・ロレーヌ

 父に代わって歓迎しますわ」


「はい、よろしくお願いします」


世話になるとはなんじゃらほい

こっちとか何も聞いてませんが…

父に代わって、という事は実質的にはナンバー2ってことか

クリストフは家督放棄した放蕩息子ってわけだ


「それでお兄様

 お父様の事ですけれど…」


「おいおい

 それ今ここでする話か?」


「じゃないとお兄様はすぐ逃げ出しますもの

 シグルドとメルポにも縁の無い話じゃありませんもの」


「いや、ガキの前だっつーの」


「構いませんわ

 いずれ冒険者を目指すなら聞いておいて損はありませんもの」


あ、こっちってのは冒険者ってことね

だとしたら大歓迎です

面白そうだし

死なない程度には努力しますとも


「何かあったのか?」


「えぇ、ゴブリンの大発生ですわ

 今までは冒険者を使って抑えておりましたの

 でもそろそろ限界のようで…

 その、恥ずかしい話ですが…」


「親父が出張って返り討ちってこった

 兵も半壊

 親父ももう長くねぇだろ」


いきなり重い話になりましたー!

それ絶対一般人に聞かせちゃダメな話ですよねー!

しかも子供が聞いちゃもっとダメな奴!

変なフラグ立ってますよー!


「俺達も出ようか?」


やっぱりー!

シグルドさんそれ結構ダメなフラグですよー

引き返して―!

今なら間に合うからー!


「結構ですわ」


おぉ、レティーシャさん一発で否定

助かったー

これ行ったらシグルドも乙るパターン見えてますもんねー

案外あっさり全部片づけてきそうだけど


「お兄様が出ますので」




その後ぼくたちは客室へと通された

昨日の宿もすごかったが、こっちはもっとすごかった

広さはさほどでもない

だがまるっきり質が違った


塗り壁に木の板を張り付けた宿の部屋とは違う

なんせ壁から天井に至るまで全面にシルクが敷かれている

床は足首まで埋まるほど毛足の長い絨毯

大きなソファーもきっちり革張りだ


調度品も数は多くないがその全てが銀で統一されている

さすがにタンスなんかは木製だが取っ手はきっちり銀になっている

燭台も勿論銀製

だが嫌みの無い上品さがあった


そんな部屋の一角に鏡がある

正確には鏡のようなものだ

磨き上げられた銀の一枚板

ここまで来たらもうちょっとなのになぁ、とちょっと惜しい感じもする


「はぁぁぁぁぁ………」


そんな上品な部屋に長く重いため息が響いた

クリストフだ

ソファーに腰かけ、テーブルに足を投げ出し、天を仰いでいる

外出用のローブを脱いで部屋着になっている辺り完全に実家モードだ


「ここってクリストフさんの実家だったんですね」


「実家じゃぁねぇよ

 俺ぁ飛び出した身だ

 家も金も捨てた、が…

 まぁ血の繋がりは否定のしようがねぇしな」


客室に通されたは良いが、完全に寛いでいるのはクリストフだけだ

彼にしてみれば捨てたと言っても実家なのだ

住み慣れて親しんだ我が家だろう

まぁぼくはさっき知ったばかりだけど


「ゴブリンの軍勢かぁ…

 めんどくせぇなぁ…

 と言って親父がやられた手前行かねぇわけにゃなぁ…

 うわー…めんどくせぇ…」


「何言ってる

 俺達だって手伝うぞ」


「それじゃ意味ねぇんだよ…

 あぁー…」


まぁドラゴンスレイヤーなんて称号持ってる冒険者ですもんね

引退してたって実力はあるでしょう

当時は5人だったみたいだけど、3人だって十分だと思う

ドラゴンとゴブリンじゃ…ねぇ?


「親父と昔約束してんだよ

 お互いの借りは絶対に返すってな

 俺ぁ全部レティに押し付けたからな

 あいつが俺だけでやれってんなら…

 まぁやるのが筋だわな」


こういう所だ

クリストフという男の一面が出ている

約束はキッチリ守る

いつも軽いけど良い先生なんだよなぁ


「規模にもよるだろう

 最初から無理な数なら策も必要だ」


「要らねぇよ

 俺たちゃそういう風に出来てる」


この男…言い切った

街の軍を半壊させるような規模のゴブリンに策など要らないと

含みのある言い方ではあるが、この男は言ったのだ

一軍以上の実力があるのだと


「賢者の実力見せてやる」



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