くだらない工作
後藤はアイスの棒で小さなタワーを作った。すると、外籐が言ってきた。
「後藤、ゴミに作るのは止めろ」
「ゴミを作ってはいない」
「は? どうみてもゴミじゃねえか!」
「これを作るのに三時間かかったんだぞ!」
「こんな無駄な事に三時間も使ったのかよ」
「無駄な事じゃない!」
「無駄な事だろ。それにこれ全部はずれの棒じゃねえか。やっぱりゴミだ!!」
外籐は小さなタワーを殴った。小さなタワーは壊れて、アイスの棒が床に散らばった。
「外籐! よくも壊したな!」
「壊した? 俺はゴミを小さくして捨てやすくしただけだ」
外籐は帰っていった。後藤はバラバラになったアイスの棒を集めて作り直した。
後藤は十本のペットボトルの中にそれぞれに違う物を入れてペットボトルの楽器を作った。すると、外籐が言ってきた。
「うわあ、くだらない物作って笑ってるよ。気持ち悪!」
「くだらない物なんて作ってない!」
「ゴミの中にゴミを入れて笑うなんて気持ち悪い!」
「外籐はすぐゴミっていうけど、これは再利用なんだぞ!」
「ゴミを再利用してもお前がしたらゴミのままだ」
「ゴミを作ってはいない!」
「うるせえな! ゴミはゴミだ!!」
外籐はペットボトルの楽器を払いのけた。ペットボトルの楽器は全て音をたてながら床に転がった。
「外籐はなんて乱暴なんだ!」
「ふん、悪いな。ゴミをばらまいちまったぜ」
外籐は帰っていった。後藤はペットボトルの楽器を机に並べ直した。
後藤はダンボールとばねと手袋でびっくり箱を作った。そして、外籐が言ってきた。
「おいおい、びっくり箱かよ! くだらね」
「開けてみてから感想を言え!」
「ほう、いいだろう。ま、くだらないのは確実だけどな!」
外籐はびっくり箱を開けた。すると、赤く染まった手袋が勢い良く飛び出してきた。
「ふん、こんなんで驚くかよ。すげえくだらねぇ」
「そんな・・・」
「こんなの子供にもびびりにもきかねえよ! ほらよ!!」
外籐はびっくり箱を床に落として足で踏んだ。びっくり箱は潰れてばねと手袋は外れた。
「・・・・・・・・・・・・」
「ショックで何も喋れないか。ざまあねぇな」
外籐は帰っていった。後藤はダンボールをたたみ、ばねを机の上に置き、手袋は漂白剤で元の色に戻した。
後藤はスケッチブックに鉛筆でバイクを描いた。影の濃淡などで細かく描いた。そして、外籐が言ってきた。
「うわ、下手だな。ガキより下手だ」
「今描いてるから」
「おいおい、そんな絵に時間かけてるのかよ」
「別にいいだろ、下手なりに丁寧に描いてるんだ」
「一ページがゴミになったな! そらよ!!」
外籐は後藤がバイクを描いているページを破り、さらにビリビリに破いた。そして、ばらまいた。
「くううう!! もうすぐ完成だったのになんてことしてくれるんだ!!」
「は? なんでそんなに怒る? ゴミを破っただけじゃねぇか。 あんな下手な絵がゴミ以外のなんだって言うんだ?」
「そんなことは・・・・・・」
「認めな。お前がスケッチブックをゴミにしてるってな!」
外籐は帰っていった。後藤はスケッチブックを閉じ、ビリビリ破かれたページを集めた。
後藤は雨の日なのでティッシュペーパーと糸でてるてる坊主を作った。そして、外籐が言ってきた。
「うわ、てるてる坊主とか意味の無いことしてやがんのか」
「てるてる坊主は晴れて下さいという願いだ」
「何語ってんだよ。ティッシュをゴミにしやがって!!」
外籐はてるてる坊主の首を千切ろうとしたが、強く引っ張っても千切れなかった。
「かってぇゴミだな!?」
「千切れないようにしたんだ!」
「鬱陶しいんだよ!!」
外籐は持っていたライターでてるてる坊主に火をつけた。てるてる坊主は燃えだした。そして、外籐は燃えているてるてる坊主を後藤に投げつけた。
「何をする! って熱!」
「やっぱゴミは燃やしたほうが良いな!!」
後藤が火を消している間に外籐は帰っていった。後藤はまた、てるてる坊主を作った。さっき作ったてるてる坊主の燃えカスを新しく作ったてるてる坊主の頭の部分に入れた。
後藤は粘土で立体の棒人間の像を作った。そして、外籐が言ってきた。
「ガキかよお前」
「知ってるよ」
「あっそ、じゃ!!」
外籐は立体の棒人間の像を押しつぶした。立体の棒人間の像は潰れて潰れた粘土になった。
「あ、潰された」
「これはまだ使えるな! 貰うぜ!!」
外籐は帰っていった。後藤は何もしなかった。
後藤が何かを作るために工作小屋の来ると、中にはガスが充満しているうえにガソリンで床一面が濡れていた。そこには外籐がいた。
「よお! お前がゴミを作り出さない為にこの小屋を燃やす!!」
「ええ!? ちょっと待って!! おい!!」
「うるせえな!! てめえがいると迷惑なんだよ!! 消えろ!!」
外籐は後藤小屋の奥に突き飛ばし、外に出てマッチに火をつけて小屋の中に投げた。そして、小屋の中は一瞬で炎が小屋の中全体に広がった。
「うわああああああああああ!! あつ!! あついいいいいいい!!」
「ざまあねえぜ!! これでゴミの製作者は消えた!!」
外籐は喜びながら帰っていった。後藤は小屋の出入口に急いで行った。
「はあ!! はああああああ!!」
後藤は小屋を出て、近くの水が流れている溝に飛び込んだ。すると、後藤についていた火は消えた。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、うぐ」
暫くして後藤は立って小屋を見た。小屋は燃えて崩れていた。
「ああ、小屋が・・・」
後藤はショックで溝に倒れこんだ。
後藤は手紙を書いて封筒に入れた。そして、外籐の家のポストに入れた。暫くして外籐は手紙を取った。
「うわ! あいつ生きてたのかよ! 手紙出してきやがった」
外籐は封筒を取り、乱暴に破いて中に入っていた手紙を読んだ。
(外籐はいつもいつもゴミと言って作った物を壊してきます。そして、小屋は燃やされました。なので外籐に対して抗議します)
「ほおう、喧嘩売ってんな!! あの野郎、覚悟は出来てるんだろうな!!」
外籐は怒り狂って小屋のあった場所に行った。そこには小さな袋と小さな箱を持った後藤がいた。
「てめえ!! さっさと失せろ!!」
「はい! 外籐がしゃしゃり出てきた!!」
後藤は小さな袋を外籐に投げつけた。
「無駄だ!!」
外籐は小さな袋を殴った。すると、小さな袋は破けて、中からヘドロが出て来た。ヘドロは外籐に完全にかかった。
「てめええええええええ!! 地獄に突き落としてやる!!」
「外籐がそれを言うのか!!」
後藤は小さな箱を外籐に投げつけた。
「ふざけんな!!」
外籐は小さな箱を叩いたがその瞬間、小さな箱は爆発した。
「な!?」
「よし!!」
「・・・おいおいおいおいおい!! 全然威力ねえな! この爆弾!!」
「そんな!?」
「てめええええええ!! 消え失せろおおおおおおおおお!!」
「うわあああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…」
後藤は外籐に思いっきり殴られて、思いっきり蹴られて、思いっきり叩きつけられて、思いっきり投げ飛ばした。そして、外籐は後藤にとどめの一撃として、持っていた金槌で後藤の後頭部を思いっきり打った。
「がが…」
「終わったな。これでようやくこいつとおさらば出来る! くだらない工作を見ることも無い!!」
「・・・・・・・・・・・・」
外籐は喜びながら帰っていった。後藤は痛みを我慢して立ち上がった。
「うぅ、ダメだ。何やっても勝てないや」
後藤は外籐に勝とうとするのを諦めた。
後藤は横断幕に字を大きな筆で書いた。そして、深夜に丸めた横断幕を外籐の家のポストに入れた。朝、外籐はポストに入りきっていない丸まった物を見つけ、丸まった物を広げた。
「なんだこれ? ん?」
(外籐! お前は馬鹿だ!!)
「あいつ!! まだ生きていたのか!! 次こそあの世行きだ!!」
外籐は怒り狂って小屋のあった場所に行った。そこに後藤はいなかった。
「あいつ!! どこ行きやがった!!?」
外籐は街中を捜したが後藤はいなかった。後藤の家にもいない。外籐の怒りと殺意は膨れ上がっていった。
「クソがああああああああああああああああ!!」
外籐は暴走し、後藤の家を壊そうとした。しかし、どこからか強力な催眠ガスが外籐にかかった。
「なんだこれは!!? ふざけ…」
外籐は眠りに落ちた。そして、玄関からガスマスクを着けた白沢が入ってきた。
「この家はやはり壊されそうになったな」
白沢は後藤の家を出て、警察に連絡に行った。
後藤は自転車に乗って、行ったことの無い場所を走っていた。
「外籐は今頃何やってるかな? 暴れてるかな?」
(外籐に勝つのは無理だけど、遠くに逃げちゃえば襲われることは無いな)
「工具は店で買おうかな。でも金はそんなに無いしな。どうしようかな?」
後藤は工作の事を考えながら、自転車に乗って色んな所を走った。