表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
超駄作  作者: 井崎居付
1/100

無能の中の無能

「お前はこんなことも出来ないのかあ?」

「こいつは何やってもダメダメじゃねぇか」

「そうだったね。ごめんねえ! ま、僕はこんなこと、一瞬で完璧に出来ちゃうけど」


 竹田は何も出来ないことを理由に馬鹿にされていた。馬鹿にしてくるのは決まってこの二人だ。自己中心的で口が悪いのが先田豪太、ナルシストで自己評価が高いのが河地剣治である。


「そんなこと無いぞ!」

「じゃああの屋根まで跳んでみろよ」

「とりゃ! うりゃ!」

 竹田はただ跳ねてるだけで、いつの間にか河地が屋根の上にいた。

「屋根まで跳べなんてこいつには難しすぎるだろ! もっと簡単なのにしてやったら? ま、それでもダメダメだろうがなあ!」

「難し過ぎたか! ごぉめえん」

 竹田が何もできないのを面白がって好き放題言いまくった。竹田は毎日泣いていた。悔しかったがどうすることも出来なかった。

「どうして僕はこうなんだあぁぁぁぁぁ…」


 竹田には得意なことが何も無く、出来ることも何も無い。


 さらに、学校では先生にいつも怒られてしまうのだ。主な原因としては、一つが遅刻である。竹田が起きるのはいつも十時を過ぎる。目覚まし時計が鳴っているのに全く起きないうえ、押されることも無く鳴り止んでしまうのだ。いつも、言い訳をするのだ。

「完全に遅刻したな」

「猫に襲われたんです」

「猫に襲われただけで何故三時間も遅刻するんだ?」

「猫に倒されて水たまりに」

「昨日も今日も、晴れてたぞ」

「しまった」

「寝坊したんだな?」

「ふ、フーム」

「図星か」


 もう一つがテストである。竹田は筆記テストは全て零点で、実技テストは全て最低評価だ。授業こそきちんと受けているが全く理解できていない為、何も覚えられていないのだ。記憶力も低く、知ったことも少し経つと忘れてしまい、テストの時は範囲の内容を全く覚えていないのだ。

「竹田は今回も零点か! どの答えも全然違うじゃないか!」

「よく考えて書いたのに全部違うんです」

「何がよく考えて書いた、だ! 有り得ない答えばかりじゃないか!」

「難しすぎるんですよ」

「これのどこが難しすぎるんだ! 普通に解ける問題ばかりじゃないか!」

「覚えられないんです」

「もっと勉強しろ!」

「勉強しても忘れるんです」

「・・・・・・もう席につけ」


 そして、家でも母親によく怒られるのだ。原因はテストの解答を見られた時がほとんどである。

「また零点取ったか! あんたは授業中何をしてるの!?」

「ちゃんとしてるよ」

「ちゃんとしててこれか、もっと復習しろ! この無能!」

「復習しろまででいいでしょ」

 

 通信簿を見られた時もそうである。

「全教科三角じゃない! そんなんだからこんな成績になるんだよ!」

「仕方ないじゃないか、難しすぎるんだから」

「しょうもない言い訳しやがって! 無能が!」

「無能って・・・・・・」


 竹田は中学生になってもこの状態が変わることは無かった。竹田の通う中学校は全員が部活動に所属しなければならない決まりがある。しかし、竹田はどの部に行っても何も出来ない。仮入部時の出来で判断された。竹田はあまりにも出来が悪かった。

 野球部の場合。

「お前無理だわ、別のとこ行って」

 陸上部の場合。

「サポートにつくのも無理そうだし、竹田君にこの部は無理だね」

 卓球部の場合。

「初心者歓迎ではあるけど、流石に君は無理だ」

 バスケットボール部の場合。

「お前は要らない」

 バレーボール部の場合。

「邪魔!」

 美術部の場合。

「部費の無駄になるから、来ないで」

 合唱部の場合。

「は? 何で? 有り得ないわ」

 研究部の場合。

「・・・・・・・・・・・・」

 生徒数が少ないため、部活動の数も少ない。運動部が五つで文化部が三つで合計八つである。その全ての部が竹田の入部を拒否した。

「こんなにも出来ない人は初めてみた」

 学校側は竹田は特別に入部しなくていいという処置をとった。皆が部活に行く時、竹田だけが帰るのだ。

「みんなが頑張っている時に遊んでる!」

「よせよせ、あいつは部活やっても邪魔にしかならねえ!」

 先田と河地は帰る竹田を馬鹿にする。


 時は立ち、受験シーズンが来てしまった。しかし、内申点が低過ぎるため、どの学校を受けても合格は不可能だと言われた。

「竹田君は恐らくどの学校も無理でしょう」

「だろうと思ったよ! こいつは何やっても全っ然ダメダメだからね!」

「本人が居るのに堂々と言いますね」

「・・・・・・・・・・・・」

「当の本人は黙り込んでますね」

「ちょっとあんた! 先生方に迷惑かけまくってるんだからちゃんと謝れ!」

「そんな、お気になさらず」

「いいえ、だめです! 誠心誠意謝る必要があります!ほら、ちゃんと土下座して謝れ! 謝れつってんだろうがクソガキ!」

 竹田の母親は怒り狂って竹田に暴力を振り始めた。

「ちょっと、暴力はダメです!」

「こいつにならいいんだよ!」

「いや、ダメですって!」

「邪魔すんじゃねえ! てめえもやられてえのか!?」

「・・・・・・この人、早くどうにかしないと大変な事になりそうだ」

 数分後、騒ぎを聞きつけた教師や生徒によって、竹田の母親は取り押さえられた。竹田は気絶していて、眼鏡が壊れてしまった。


 竹田は一応、偏差値が最も低い学校の受験を受けたが、やはり不合格だった。


 結果、竹田は中卒になってしまった。

「あんたは何をしたって無駄なんだよ! ニートにでもなっとけ! 雑魚!」

「・・・・・・・・・・・・」

 竹田は言い返す気にもなれなかった。そして、ニートになり、部屋にほとんど閉じ籠るようになった。竹田は一日の大半は寝ていた。起きていても、する事はつまみ食いや漫画を読んだりする位だ。

「やあぁぁぁい、ニートくうぅぅん」

「おい無能! 聞こえないのか? おい無能! おいコラ無能の中の無能! 無視すんじゃねえ!」

 ほぼ毎日、先田か河地が竹田の家の前を通る時に、竹田を馬鹿にする。竹田は寝ている時はもちろん、起きている時も無視する。


 竹田はそんな生活を続けていたら、いつの間にか十八歳になっていた。


「おい、生きてるか?」

 竹田はその時、丁度起きていた。先田か河地なら無視するところだが、聞こえた声はどちらのものでも無かった。そもそも、先田と河地は生きてるかなんて言わない。竹田は玄関の扉を開けたが、その人は家に入ろうとはしなかった。旭山という女だが、竹田に対して名乗りもせず、すぐに質問を始めた。

「竹田はいつも悪口を言ってくる奴らの事をどう思っているんだ?」

「そんな人達は知らないよ」

 旭山は竹田の返答を気にせず、次の質問をした。

「竹田はニートになってからどんな生活をしているんだ?」

「僕がニート? そんなわけが無いだろ」

 旭山は竹田の返答を気にも留めず、壷川という女の写真を見せて質問した。

「この人が誰か分かるか?」

「知らない人だよ」

 旭山は質問を終えるとすぐに去っていった。竹田は特に何も考えず、部屋に戻った。


 それから数日後、竹田はいつものように寝ていた。この時、夢を見ていた。竹田が先田と河地を懲らしめて、命乞いをさせている夢だった。

「おい! 今日こそはやり返してやる!」

「へえ、やり返すだってえ」

「無能の中の無能のお前に何ができるんだよ!」

 すると、竹田は銃を取り出した。

「そんな物で僕達が怯えるとでも?」

「残念だったな! 試しに撃ってみろよ!」

「いいだろう」

 銃を撃った直後、壁に銃弾が当たった。

「!?」

「な、何のつもりだ! 俺達は本当の事を言ってるだけだろ! ただの逆恨みじゃねえか!」

「ひ、ひ、ひえぇぇぇぇぇ、こ、こ、ここここ、ころ、殺さないでえぇぇぇぇぇぇぇぇ…」

 竹田は逃げ出す河地を狙って銃を撃った。銃弾は河地の腕をかすった。

「う、うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…」

「てめえ! ふざけんな! そんな事してただで済むとおも…」

 竹田は反抗する先田にも銃を撃った。銃弾は先田の頭の横を通った。

「お、おぅ…」

「もう許してよお! 豪太も気絶しちゃったよ! 殺すのだけは止めてえぇぇぇぇぇぇ…」


「・・・・・・・・・・・・」

 竹田は起床した。夢の内容はしっかりと覚えていた。しかし、夢の中で懲らしめても、現実では何の意味も無い。


 竹田は起き上がったがその時、一気に力がみなぎってきた。髪が逆立ち、白くなった。竹田は突然、覚醒したのだ。その時、外から河地の声が聞こえてきた。

「おぉい、ニートくうぅぅん、今日も遊んでまちゅかあ? たのちいでちゅかあ?」


 竹田は玄関から外に出た。河地は竹田が家から出て来たが気付かずに歩いていた。そして、竹田は人差し指を河地に向け、狙いを定めて衝撃波を放った。衝撃波は河地の背中に直撃した瞬間、爆発した。近所の人達が爆発音に気付き、外に出て来た。

「な、何だ!?」

「何かが爆発したのか!?」

「ちょっと何!?」

「・・・・・・・・・・・・」

 竹田は何もしゃべらず、表情も変えなかった。眼鏡からどこかを見ているようだ。

「もしかして、あいつがやったのか?」

「あれはやばい!」

「は、早く逃げないと!」


 そして、竹田は衝撃波を乱射し始めた。

「か、隠れろ! 見つかったら殺される!」

「武器を持って来い!」

 近所の人達は急いで家に入っていったが、竹田が放った衝撃波で家は爆発した。爆発した家の破片が辺りに飛び散り、被害がでた。

「うわ! 何だ!」

「近くで爆発が起きたみたい!」

「きゃあ! 危ない!」 

 竹田は周辺にあるものを次々と破壊していく。建造物は破壊されると爆発し、破片が飛び散り、人々が逃げるのを妨げるのだ。

「逃げろおぉぉぉぉぉ…」

「うわあぁぁぁぁぁぐわ!」

「破片で大量の怪我人が!」


 竹田は小学生の頃に通っていた小学校の前に来た。そして、衝撃波を百発以上放ち、跡形も無くなるまで破壊した。

「皆さん、早く逃げてください!」

「破壊者だ! 破壊者が来た!」

「いやあぁぁぁぁぁぁぁ…」

「ばっかやろおぉぉぉ…」

「死ぬのは嫌だあぁ…」

「早く逃げうが!」

「助けて助けて助けて助け、は! があ!」

 大量の破片が飛び散り、逃げる小学生達に当たった。逃げ遅れた小学生たちは爆発に巻き込まれた。逃げるのを誘導している教師も、爆発に巻き込まれた。


 竹田は周辺にあるものを破壊しながら移動し、中学生の頃に通っていた中学校の前に来た。そして、衝撃波を放ち始めたが、その時、後頭部をバットで殴られた。背後に先田と先田の通う高校の高校生が二人いたのである。竹田に気付かれないように尾行していたのだ。うつ伏せになった竹田を先田はバットで殴りまくった。

「お前は俺達が倒す!」

「先田、こいつは指から撃ってるから、手を集中的に殴った方が良い。澤木は足を攻撃してくれ。俺はこの縄でこいつの首を絞める!」

「やるぜ!」

 竹田は手足を集中的に攻撃され、首を絞められた。だが、竹田は横を向き、口から衝撃波を放った。指から放つ衝撃波の十倍程度の威力がある。衝撃波を受けた先田は爆発し、竹田は衝撃波の反動と爆風で吹き飛び、澤木と低橋は爆風で吹き飛んだ。

「この殺人鬼があ!」

「・・・・・・・・・・・・」

 竹田の手足は、怪我をしているだけで、動かすことは出来る。竹田は両手の人差し指を澤木と低橋に向けて衝撃波を放った。

「ふざけ…」

「くそ!」

 澤木と低橋は爆発した。


竹田は道路に口から衝撃波を放った。竹田は口から放った衝撃波の反動と爆風によって、宙に浮いた。そして、竹田は衝撃波による反動を利用して、宙に浮きながら移動した。竹田が衝撃波を放つ度に、町は壊された。


 竹田は破壊しようとしていた中学校の上空に来た。中学校は竹田が口から放った衝撃波によって一部、壊れていた。そこから竹田は真下に衝撃波を放ち続けた。中学校は完全に破壊され、破片が全方向に飛び散った。中学校には誰もいない。全員、逃げたようだ。周辺にも誰もいない。


 竹田は衝撃波を真下に放ち続けたことで、雲の辺りまで上がって来た。そこから横に衝撃波を放ち、まだ破壊していない住宅街の上空に移動した。そして、竹田は一分程、口に力を集中させ、真下に指からの衝撃波の百倍以上の威力の衝撃波を放った。地上に衝撃波が当たると、巨大な爆発が発生し、広範囲を巻き込んだ。強烈な爆風で大量の破片が一気に飛び散った。破片が高速で飛んでいったため、爆発に巻き込まれなかった所にも被害が出た。


 さらに、竹田は衝撃波を斜め下に放ち、店の多い所の上空に来た。そして、竹田は腹に力を集中させ、力を溜め込み、あと少しで地上という所で、溜め込んだ力で衝撃波を口から一気に放った。出来る限りの時間をかけて溜め込んだ衝撃波の威力は、指から放つ衝撃波の千倍程の威力があった。町の半分程度が爆発に巻き込まれ、その周りも爆風と高速で飛び散る破片で壊れていった。これにより、町全体に被害が出た。


 そして、その町は竹田によって完全に破壊された。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ