後編
ゴンドラの外を見ると、クルトとフミカがジェットコースターに乗っている。今度は来ないでとは言わなかった。少し濁ったように見える世界を、冷たく見渡す。遊園地より外は完全に濁って見える。そして前回と同じようにクルトの意識だけが観覧車に乗ろうとする。今回は妨害しなかった。
乗ってきたクルトに計画の話をした。
「この世界は3回繰り返されている。これは4回目の世界。3回目の貴方はある提案をしたの。その話をする前に全ての前情報を伝える。」
リンネは全てを伝えた。
「それで、貴方がいったのは」
「俺の計画はこうだ。」
「え?記憶があるの?」
「そうだよ。お前の血をシャワーにして浴びたんだ。…血を被せると呪いが移るなら、お前の血を浴びたら、それはそれで変化があってもいいと思い、予測できる変化の中に記憶の引き継ぎがあった。それが実現されなかった時の提案は、『2人でこのまま進まない時の中を愛し合っていく』だ。けどな、俺の計画通りだったんでその提案は無しだ。」
「え⁇」
「お前の身体、中々の名器だったよ。けど、2人だけで永遠なんて、そんな退屈なことはないだろ?俺はゴメンだね。」
「な?どういうこと?」
「血によってこうも呪いの状況が変わるなら、対象である俺の血をお前が被ればどうなるんだろうな?」
クルトはナイフで自身の手を切りつける。そこからでた血をリンネにかけた。
「俺の考えでは、お前は輪廻の呪いに含まれる2つの輪廻を同時にあっかぶる。そしてこの濁りの世界、これも恐らくお前1人を飲み込んで閉じる。この考えはお前のいってた言葉から考えたんだ。『呪いの器』ってやつ。器がお前で呪いの本体はこの濁り。そう考えた時、同時にお前がおっ被った場合この世界はお前を引き込んで終わりになるんじゃないか?自分の尻尾を飲み込み続ける、ウロボロスのように、自分だけで終結なんだよ。」
「そんな!ひどい!全てが嘘なんて、最低だよ!貴方は最低の最低のクズだよ!」
「なんとでも言え!惚れた方が負ける。典型的で古典的な原理だ。じゃあな、セフレ第1号。」
1周したゴンドラから、クルトは平然と降りる。同時に目を覚ます。病院を出た後、手頃なホテルに行ってフミカを抱いた。余韻に浸る中で、クルトが口を開く。
「呪いは他の奴におっかぶせた。」
「どうしてそのこと⁉︎」
「たまたま知ってた。その上でフミカと付き合ってたんだ。俺はお前がタイプだ。つまり好きだ。これからも仲良くやろう。」
それから暫くしたのち、2人は結婚した。その四年後には子供も産まれ幸せな暮らしを送っていた。
この人の世界の中で、純粋な人のどれだけが幸せになれるのでしょうか?この主人公のように本性を隠して幸せな暮らしをおくる、狡猾な悪人は多いでしょう。1番恐ろしいのは、やはり人間ですね。