神々の事情 3
ここは、地上の者たちが想像しているような豪華な神殿や様々な花々が咲き乱れるような草原、もしくは地上では味わえない果物が生っている果樹園ではなく、小さな真四角の部屋に壁は薄い黄色で部屋の中央には正方形の机があり、4つの椅子がそれぞれ机を挟むように置かれている。
テーブルの上には机より一回り小さな地図が置かれているが、他には何もないが、部屋は人数が増えると自動的に大きくなるので問題はない。
一応昔は黄金に輝く宮殿や城、大聖堂の様なものもあったらしいが、廊下や道があるからと歩くこともないのに、自分たちの像などを飾っているだけの状態がむなしくなったのか、やめてしまったらしくどこかにあるらしいのだが・・・
ラルトスなどは、とてもでもないが探す気にはなれいない。
それに出入口がなく閉鎖的な感じがして、人種や魔族ならば嫌がるだろうと想像に難しくはないが、もはや4柱のガイル達にはなじみの部屋である。
ガイルは便宜上この部屋を加護の部屋と呼んでいるのだが、理由はただたんに、この星に居る神が集まった時だけ、この部屋で加護を与える事が出来るからである。
ちなみに、他にもガイル達それぞれが持ついくつもの部屋や部下なども居るだが、地上にある城や家といったものは無く、それぞれの好みの大きさや色、置物などがある部屋のみが存在している。
神にとって外という概念は地上の事でもある為、太陽の光で育つ植物などは地上から持って来るしかないのだが、食べ物や嗜好品など欲しければいくらでも出せるので、わざわざ「地上で育った」にこだわらない限り問題は何もない。
はずだったのだが、我儘お嬢様が誕生してからは疑似的な小さな地上を再現し、そこにワザワザ!地上から持ってきた物を育てさせれている部下や、昔の神の作った物を探す為の部下が居るが今は関係ない事だ。
「それじゃさっきの話しの続きだが、俺だけ話しをしっかり聞かしてもらってねぇから、一から説明してくれよ」
のけ者にされたのを根に持っているかの様な言い回しをするラルトスを軽くスルーしながらオレーヌが、先ほどの続きを話始める。
「えりーちゃんの我儘を出来る限りで、聞いてあげましょーって話だったんだけど、ガイルにどうかなって相談してたのよ」
「まーそんなところじゃの」
髪と同じく真っ白な髭を撫でながらオレーヌの言葉を肯定する。
「適当やな!意味わからんやんか?エリッサが言うような手出しはダメだろ」
ラルトスは、自分がガイルから聞き今までしてきたこと以外をするのはダメじゃないかと真っ当な意見を言うのだが、オレーヌとガイルから先ほど話してた内容を聞き、唖然としたような表情になりながらも取り合えず頷く事にし、エリッサの方を見てため息とともに頭さげた。
「おねぇちゃんにおじいちゃんーーこことかどうかな?お兄ちゃんはどう思う?」
すでにエリッサの中では、先程いた覗き部屋(加護の部屋とほとんど同じだがテーブルの上は星の模型)で目を付けていた場所を椅子に上り体を伸ばしながら指を指しているのだが、他のガイル達には何の事なのか分からなくて、顔をお互いに何度か見合わせた後に育ての親としての責任なのか、ガイルが聞く事にしたのだが
「エリーそこがどうしたんじゃ?」
エリーは嬉しそうに
「ここら辺にひどい事されてた子達集めたらいいじゃないかなって!そしたらいじめてた子たちはすぐに来れないでしょ!!」
完璧な作戦を立てた思ってなのか、物凄く自慢げにドヤ顔全開に言い切り皆の方に顔を向ける。
そんな事言われても分からないガイル達をよそに、さらにエリッサは続けて穴だらけの計画を話し出す。
「それでそれで、食べ物とかはエリーが育てたのを持って行ってあげるでしょ、それから悪い子達が来たら戦えるように加護とか武器も上げたら大丈夫だよね」
そんな事をニコニコしながら言い続け、次々と提案していくエリッサを横に置いといて、ガイル達はエリッサから離れるように顔を近づけ、聞こえないようにこそこそと相談を始める。
「エリッサの話し聞いてたか?最初らへんしかちゃんと聞いてなかったけどよ、無理だろ?」
「あれじゃずっと手を貸してあげないとダメになるわよね・・・・」
「オレーヌよ、エリーの為にって気持ちは分かるが、やはり今まで通りで行くしか良いのじゃないか?」
「えりーちゃんの為ってのもあるんだけど、やっぱり私なりの解釈がそこまで間違ってると思わないのよね。それに今の地上は私が見てきた中では、戦争ばかりで最終的には、星のほとんどが焼け野原になるまで過剰な戦争兵器を作ったり、機械が発達して人種が減り最後には機械ばかりで生き物の気配すらほとんど残ってなかったりして碌な終わり方じゃなかったしねーー。でもゲームとかの娯楽は良かったわ。」
「そうは言っても、じょーちゃんと坊主は20回位しか掃除してないじゃろ」
話しに入れなくて聞き専門になっていたラルトスは、ここぞとばかりに割り込んだ。
「坊主とかやめろよ。エリッサに聞かれたら恥ずかしいだろ!」
せっかく話に入ったのに文句しかでなかったのだが・・・・
「そうよ!じょーちゃんもやめてよね。私はえりーちゃんのお姉さんなんだから、そんな生まれたての頃の様な言い方はやめて!それよりもえりーちゃんの計画の話でしょ」
オレーヌも子供扱いは止めるように促しながらも、エリッサのお願いのために怒りを収め話の続きに戻す。
「悪かった悪かった。わしにとってはお前たちもエリーも余り変わらんのじゃがな。それで話しは戻すがの、まずエリーが指さしてた所はドラゴンが住んでた山の麓のはずじゃから、そんな所に連れて行ってしまえば強制の隷属魔法以前にドラゴンの餌になるだけじゃろ。例え2体の特別な奴らみたいに温厚なドラゴン達が居って、餌にならないようになっても魔法による強制隷属から力による隷属に変わるだけだと思うがの」
ガイルはエリッサの話に出ていた場所からして、意味がないとオレーヌ達に告げる。
「うーん 要するにエリッサは魔法や道具とかまで使って、志向能力を下げまくって意思を無視して目立った罪の無い奴らがひどい扱い受けるのがダメって言いたいんじゃないか?あいつは俺たちよりよっぽど下に興味持ってるからな、ドラゴンが居ようが別にいいんじゃないか?弱肉強食は特に文句言ったことないしな」
普段態度に出していないが、兄貴分としてエリッサを見てきた事から、思ってることは何となくわかっているつもりで意見を言う。
実は態度に出まくってるし、エリッサが他とばかり話したりしていたら不貞腐れるぐらい可愛がってる事をガイル達や部下は知っているのだが、ラルトスは知らないほうが幸せかもしれない。
と思いながらもオレーヌは答える。
「違うと思うわよ。あの子地上は大好きだし別に戦争や野盗、略奪なんかも文句言わないでしょ。小さなことなら尚更、浮気に詐欺、邪教信者が起こす生贄なんかも知ってるみたいだけどね」
「それなら隷属だって別に良くないか?てかさ、邪教って邪神みたいなの崇めてるんだろ?俺たち以外居ないのに何やってんだかな」
「ラルトス話しをそらすんじゃないぞ。ただエリーは強制隷属の魔法が嫌なんじゃないのかの?まぁ精霊は居るが邪神はこの星には居らんがの。代わりに坊主がなってやるか?」
「おじいちゃんも話をそらさないで!それで」
ラルトスの話に律義に返事をするガイルを注意し、当初のエリッサの計画の話に戻そうとした所で、頬膨らませながらこちらを睨んでいるエリッサと目が合った。
「・・・・皆聞いてたの?」
そう言ってから静かにガイル達の方を見ている。
ただし目から一生懸命皆に話していたつもりで、ウキウキしながら喋っていた事を無視された怒りからか、ただ悲しみからか目に涙を溜めている。
そんなエリッサを見て慌てて一番に返事をしたのはオレーヌ。
「えりーちゃんごめんね。皆であなたが望むこと出来る限りで叶えれる様にはなしてたの。だからほったらかしにした訳じゃないのよ」
「そうだぞ!ガキはガキんちょらしく笑っとけ」
オレーヌは宥めようと言葉を選んで優しく告げたのだが、いまいち空気の読めないラルトスは、兎に角、泣き止むようにと、とっさに笑っとけなどと話を聞いてなかった事など無かったかのように言い出した結果
「ガキじゃないし!ここは皆でしっかり地上の事を話す場所でしょ!!ラルトスのバーカ!!!」
火に油の如く怒りだすエリッサに近づき優しく抱きしめ頭を撫でながら、ラルトスの方に振り返ったオレーヌの黙っとけの意味がふんだんに含んだ視線をもらい、口元に手を当て何度も頷いているのを横で見ていたガイルは長いため息1つ出した後に皆に向かって話し出す。
「その辺にしとくんじゃ。エリーが泣き止んだらちゃんとゆっくり話しを聞きながらどうするか決めるかの。手出しはするにしても一応生態系はある程度決まっておるしな・・・・わしは覗き部屋に言って考えるから、それぞれちょっとアイデア出しておくんじゃぞ」
そう言い残してガイルは、加護の部屋から移動して行った。




