4 どこかへ
飛びかかって、大ミミズ(仮)を掴んで我に返った。
無理無理無理無理無理無理無理無理無理無!!!!
こんなのどうやって食うの?!
こんなの無ーーー理ーーー!!
ヒィ⁈ぶよぶよするーー!!
でも降りたら自分がこの大ミミズの餌になってしまう!
私は必死に大ミミズに張り付いた。
(私こんなんどうやって食べようとしたっけ⁈)
大暴れする大ミミズに地面に打つけられそうになっては避け、壁でも同じ要領で避けを繰り返した。ボケ突っ込みの自給自足でなんとなく少し冷静になった私は飛びかかった時の衝動を思い出そうとした。
腹減った。
うむ、腹が減っては戦はできぬ。
私は大ミミズに噛み付いた。
急に飛び起きるのはよくなかったかもな。
噛み付いてからの記憶がない!!うわ口の中土の味がする!!
私はあれからどうしたんだ!!
いつの間に寝てたんだ!!
飛び起きて辺りぬ見渡したら大ミミズはいなかった。
ふーやれやれだぜ。
その代わり、爛れた壁から伸びる干からびた物体。
大ミミズの成れの果てだ。
どうしたらこんな干からびるんだ?まるで水だけ吸い取ったみたいな。
(カラッカラだわぁ。でも、もうお腹は空いてないな)
空腹が満たされると、さっき(気絶する前)までぼやけていた視界がはっきりしていた。
つまり自分の姿もはっきり見える。
体は10歳前後。女?だよな?何もついてないし。
何もない…胸もない…。
つるぺた寸胴な、または線が細く華奢な体には、素材は分からないが黒いヒモなしキャミソールみたいに布を巻いて、ホットパンツみたいなズボンを履いている、こちらも同素材のようだ。というかホットパンツというかスポーツウェアのスパッツみたいだ。ゴムは通ってないようだし、どうやって着てるんだろうこの服。それに縫い目もない。
ある一点を除いて体は人間の女の子だ。
その一点というか六点あるが。
違和感なく動かせる腕は何度見ても腕は6本ある。
違和感がないのがむしろ不思議な気がする。
腕が6本……。
立ち上がり、直立不動の姿勢をとり、合掌する。これだけはやっておこうと思って。
「阿修羅!」ドーン!
心が痛い………。
いや寂しいんですよ!ツッコミプリーズ!
腹がふくれたはいいけどこれからどうしよう!オワター!
いや。終わってる場合じゃねぇ。
ボケツッコミの自給自足で元気出たわ。
とにかく外に出よう。
こんな姿で外に出たら怪しまれるかな。いや、もの姿がデフォルトかどうかも分からんし、こんなこと考えても仕方ないか。
そんなことを考えていると体が光に包まれた。
金色の暖い光だ。
(あ、これ繭の中にいた時と似てる)
まどろみそうな光の中で体の感覚が変化していくのを感じ、見える範囲で体を眺めた。
おお。手が減った。2本になった。
光が収まると普通の人間の体になっていた。
さあ。どうやって外に出よう。
でもこのまま外に出るのもな。
この繭や糸何かに使えないかな。
繭が乗った台座に近づいて糸を手にとってみた。
あ、思ったより手に着かないな。
糸といえばこれで布とか織れないかな?紐をよったりとか。繭の方はべとつくからダメだな。
ん?台座に何か描いてある?
台座には文字と絵が描いてあった。文字は赤い顔料で書いてあった、読めなかったけど絵はどうも蜘蛛を図案化したマークのようだったこちらは台座に彫ってある。
蜘蛛か。そういえば、私手足を数えれば脚が8本だったな、てか、何で自分が蜘蛛だってことをすんなり納得してるんだ…。
蜘蛛かぁ…
思わず顔を覆う。
いいじゃん蜘蛛、益虫だし。◯パイダーマンかっこいいじゃん。
そうだ、糸出せんのか?お尻からは嫌だぞ。
人差し指と小指を立て前に突き出すと同時に糸が出てくるのをイメージする。
ヒュッ
(うお、指先から出てきた出てきた! おお、指からでてくるんかい。…出しすぎた……)
手首からじゃなかったけど、肘から先に走った疼く感じで糸を出す感覚はわかった。5本の指全部から出た糸を台座に擦りつけて取り、これからのことを考える。やはりここから出ないと話が進まない。
でもどうやって出よう。この部屋、扉みたいな出口あるかな。ていうか糸邪魔。糸、いと邪魔し。つまらん…。
部屋に張り巡らされた糸を避けたりくぐり抜けたり千切ったりして部屋の中を壁を目指して進む、ざらついた岩肌の壁だった。
壁に触れるとそこから七色に煌めいた。水が熱い鉄板に落ちて踊るように弾けるそんな動きだ。
「きれい」
壁伝いに移動してミミズが空けた穴の反対側に通路のようなアーチ型の横穴を見つけた。
でもその横穴も目に見えるところで終わっている。ただ、床には魔法陣のような円と六芒星が描かれている。
私はその魔法陣の上に立った。
「ここからでたい」
かすれた声でそう望んだ。
体がまた光に包まれた。
自分で読んでみて、一話一話が短い気はするんですが、これが精一杯なんですよね……。
誤字脱字等のご指摘大歓迎です!!
(お、、、お手柔らかにお願いします、、、)ヒソ。