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あったかいな。
まるで布団にくるまれているみたいに程よい暖かさに気がついた。
あれ、私助かったのかな。
目は固まってるみたいに開かなかった。
気持ちいいから、もう少し寝てよ。
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気持ちのいい目覚めだった。
ポカポカしてあったかい。無意識に体を伸ばして伸びをした。
パリパリ、ズルッ
うぉ⁈、落ちる⁈
突然の浮遊感にヒヤリとし、すんでのところで手を地面につけた。体も寝ていたところにまだ引っかかていたから。最後まで落ちることはなかった。
ああ、ビビった、ここどこだ。お腹空いたなー。
目を開けてみたけど視界はぼやけててよく見えないが、周囲は広そうだ。
ズルリと体をずらして、地面に着地した。
ああ、あれ、なんだっけ。私、どうしたんだっけ。でも、とにかく……
お腹空いたぁ……
その瞬間、頭の中で情報の洪水が起きた。
自分が日本という国の大学生だったこと。親や弟妹がいたこと。自分が子供が庇って交通事故で死んだこと。
頭が痛い、目が回る、当たり前だ。20年分の記憶が一気に流れ込んできたんだ。しかも自分が死んだ瞬間を覚えてるんなんて最悪だ。
気持ち悪いよぉ
「うう…ひっく…うえぇ…」
なにがなんだかわからない。
さっきはあんなに気分が良かったのに。
とにかく状況確認だ。ここはどこだ、自分の身体は今どうなってる?
涙を拭い、もともとぼやけていた眼を凝らし辺りを見回した。
どこだここ…。
もう何も言うまい…。