にっき。~眠り姫の場合~
私には珍しく深夜まで起きていたのは、日付が変わる頃に大好きなMMORPGゲーム<エルダー・テイル>の拡張パックが導入されるから。いつもならこの時間に眠くなってしまう私ですが、どうしても導入される瞬間に立ち会いたかったんですもの!だからお兄様にお願いして、お兄様のお部屋で頑張って起きていたんです。幸い、明日は講義がないのでたっぷりお昼寝できますから安心ですわ。私のわがままに付き合って下さるお兄様に感謝しつつ、お砂糖とミルクがたっぷり入ったカフェオレを飲んで日付が変わるのを待っていました。…そのはずだったのですが。
何故でしょうか、目の前に自然が広がっています。お兄様のお部屋はいつからこんなにも大自然になってしまったんでしょうか?さっきまで、お兄様と二人で日付が変わるのを待っていたはずなのに…。そういえば、お兄様は…?お兄様はどこに行ってしまったんでしょう?
お兄様!ここは、ここは一体どこなんですの?お兄様のお部屋、いつの間にこんなに自然がいっぱいになってしまったんですの?え、あ、ごめんなさいお兄様。そうですわね、少し落ち着きますわ。
辺りを見回していたら後ろから聞こえてきたのはお兄様の声。お兄様の声、こんなにも落ち着くものだったんですのね。でも思ったことを口に出したらお兄様に嗜められてしまいましたわ。…あら、お兄様はいつからコスプレが趣味になったんですの?まるで<エルダー・テイル>の装備ですわ、お兄様そんなにも嵌っていらしたんですのね。でもさすがお兄様、何でも似合ってしまいますわね。本当に素敵ですわ。あら、私もお家で着ている服ではありませんわね?お兄様が着替えさせて下さったのかしら?私の服も装備のようですわ。…つまりそういうこと、ですわよね。どうしましょう、私いつの間にか眠ってしまったんでしょうか?私にしてはずっと起きていましたものね。拡張パックが楽しみ過ぎて、夢の中で<エルダー・テイル>の世界に遊びに来てしまったんですのね。
お兄様、せっかくの夢の世界ですから<エルダー・テイル>の世界を思う存分楽しみましょうね。それにしても、夢の中でも眠くなるものなんですのね。私一休みしたいのですけれど…。まあ、お兄様のお膝をお借りしてもいいんですの?ふふ、お兄様のファンの方に見られたら嫉妬されてしましますわね。おやすみなさい、お兄様…。
お兄様のお膝を借りて少しだけお休みさせていただくことが出来て良かった。夢の中で眠ってしまったらどうなってしまうんでしょう…?あら…、耳元で音がするような…気が…。ダメです…わ、瞼が…。