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84.

〈注意事項〉


※15歳以上推奨作品です。

※敬語表現に間違いがあるかもしれません。あまり気にしないでいただけると幸いです。


〈あらすじ〉

 今回の件を受け、責任を取ってダリアはアエラスの魔術師統括管理者の辞職を発表。そして、その後釜に選ばれたのはなぜかルイスだった。

 当初の予定より三週間も遅れて、アリスたちは期末テストを受けた。


 あの休業中、パウラたちに毎日のように勉強させられていた……、いや、勉強を見てもらったので、テスト自体はそこまで苦労しなかった。


 それから、テストが終わった三日後にルイスが正式にダリアの後継者として、法学の担当教師として任を受けた。アンは魔法生物学教師として、夏休み明けから授業を受け持つようだ。


 ダリアはもう、アエラスにはいなかった。すでに守り人として、アリスたちが住んでいた屋敷に移り住んだのだという。元々、あの屋敷もクロフォード家のものだったらしい。


 テストが終わったその日、ルイスたちから説明を受けた。ルイスとアンは、ダリアと仕事を交換するようにして、再び王宮仕えすること。この人事異動には、いくつかの思惑が存在していること。それから、いくら子供とはいえ、成績で優遇を付けることはしないこと。


 家族が住む家は、あの屋敷ではなくこの王宮になること。夏休みにはみんなであの屋敷に戻り、荷物を動かすことなど。


 驚きで一杯だったが、アリスは素直にうなずいた。正直、両親と同じ場所に住むことができて嬉しかった。


 だって、心強いから。


 その一方で、ダリアがいなくなるのが寂しかった。何だかんだ言って、ダリアにはたくさん助けてもらったから。ダリアの移動に伴い、ローズたちも今は別世界にいるのだという。レオはそれを聞いて、少し嬉しそうにしていた。別世界に行けば、ローズに会えるからだ。


 ルイスたちの挨拶後、この後のアリスはクラスメイトたちから揉みくちゃにされた。


 理由は簡単。ルイスもアンも、有名で腕の良い魔術師だからだ。そんな二人が教壇に立つというのだから、みんな興奮しているようだった。


 それから、女子が多いせいなのか、ルイスのことについてよく聞かれた。休みの日は何をしているのか、何が好きなのか、その他諸々……。


 別に隠すことはないので教えてやったが、アリスは心の中で「妻子持ちだって、分かっているのかな」なんて思っていた。とりあえず、アンにはこのことを言わないでおこう。だって、娘のアリスですらモヤモヤするのだから。


 だが、それも部屋に帰るまでの辛抱だ。


 テスト勉強期間中に過ぎてしまったアリスの誕生日を、みんなが祝ってくれる予定だからだ。両親と祖父の三人は忙しいのか、お祝いのメッセージだけだったが、桃子たち友達に祝ってもらえるので、それだけでも十分だった。


 アリスたちの部屋には、ヒューチームとニャットのチーム、それからラファエルと牡丹が集まり、ささやかなお祝いをした。


 皓然がケーキを焼いてくれて、桃子たちからプレゼントをもらい、アリスは心からお礼をした。こうやって、友達に誕生日を祝ってもらえるのは初めてだ。


 そのことを話したら、みんなにはとても驚かれたけれど。


「……家の事情?」


「一人だけの友達が、忙しい子だったから……」


 俊宇に答えながら、アリスはケーキをつついた。


 シャラとは、確かに仲が良かった。だが、シャラは何かと忙しくて、放課後はいつも習い事で埋まっていた。


 だから、友達と休みの日に遊ぶだとか、放課後に買い食いするだとか、そういったことは魔術界に来るまで、したことが無かった。


「大丈夫ですよ、アリス」


 アリスの前にジュースが入ったグラスを置き、皓然はニコリと微笑んだ。


「これからは、ぼくらが毎年、君の誕生日を祝いますから」


「本当?」


「本当」パウラも微笑んだ。「だって君は、うちの大事なメンバーだし、可愛い後輩だし、何より友達だからね。逆に、なんで来年からは祝わないのさ」


「そうそう! アリスって、変なところ気にするよねー」


 アダンもうなずいてくれたので感動していると、桃子がアリスと腕を組んで笑いかけた。


「私、こんなに気心が許せる友達はみんなが初めてだよ。あっちだと、やっぱり色々隠している分、仲良くなれなかったもん」


「桃子でも、そんなことあるのね」


「あるよ! セレナちゃんってば、結構毒吐くタイプだね!?」


 そうは言うものの、セレナも桃子も笑っているから、お互いに悪意がないの明白だった。実際、桃子はセレナの手からケーキの皿を取り上げ、くすぐって遊んでいる。


「良かったなぁ、アリー。友達に恵まれて」


 ラファエルの言葉に、アリスは笑顔で頷いた。


 明日は今学期最後の授業があるので、夕方にはみんなと別れた。


 次の日。授業、とは言っても今学期の総括ということで、アドワからねぎらいの言葉をもらい、夏休み明けからの予定について話された。


「来学期から、また気を引き締めるように。忘れているのかもしれないけれど、規定以上のポイントが無ければ進級できないからね。一年生の目標は千ポイント。もう目標を達成していても、進級後のことも考えて今のうちからポイントを稼いでおくようにね」


 その言葉にハッとしているアリスたちに、アドワは山のような課題を授け、「良い夏休みを」なんて言い残して集まりを終わらせた。


 課題を前に虚ろな目をしていたアリスとアダンは、帰り道でパウラたちと合流し、せっかくなので食堂でお昼を取ってから部屋に帰った。


 部屋に戻ると、テスト結果が発表されていた。アリスもアダンも、得意科目は平均より少し上、他は何とか赤点を回避している状態だった。


 そんなアリスの元に、とんでもない手紙が届いた。


 手紙の印章を見て、パウラが文字通りひっくり返るくらいには、とんでもなかった。


「だ、大丈夫?」


「ボクは大丈夫だけど、アリスは大丈夫じゃない」


 皓然に氷嚢(ひょうのう)をもらいながら、パウラは真っ青な顔をアリスに向けた。


「アリス。早速だけどダンスの練習をするぞ」

お読みいただきありがとうございました!

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