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81.

〈注意事項〉


※15歳以上推奨作品です。暴力表現、流血表現、荒い言葉遣い等を含みます。

※敬語表現に間違いがあるかもしれません。あまり気にしないでいただけると幸いです。


〈あらすじ〉

 アゴーナス中に閉じ込められてしまったアリスたち。それぞれが脱出のために力を合わせる中、ルーカスはオリヴィアから魔力管理システムをハッキングするように頼まれていた。

 一方で、脱出口を探していたアリスたちはというと……。

 ただでさえ魔物が多くて気を張っているのに、レオと皓然はもっと神経をすり減らしていた。


 この捜索班に、サビーナ・カーロ・ヴェナがいたからだ。


 やはり、レオたちも目視できる範囲に、彼女はいた。黙って、ジッとアリスとアダンのことを見ている。


 髪も瞳も真っ黒な彼女は、占い学のファビアン・シュワルツ上級魔術師の付き人。


 昨日の一件から、レオたちは特に彼女への警戒を強めていた。というのも、閉じ込められた部屋は占い準備室で、彼女は占い学教師の付き人だから。


 ファビアンが指示して鍵を彼女に貸した線も考えられるし、彼女が鍵を盗んだ、あるいは複製した、という線も考えられる。


 ただ、どちらにせよ疑問は生まれるのだ。


 まず、彼女とアリスたちに接点はない。クラスもチームも違うし、アリスたちはまだ、部の仕事も、誰かの付き人にもなっていない。話す機会そのものが、ないはずだ。


 二つ目。一年生の授業に、占い学はない。つまり、ファビアンとの接点もない。占い学の先生が一年生と関わるのは、魔力レベルと家系特性を調べる時のみ。毎年ファビアンがこの仕事を担っていたが、今年は体調不良のため、ジャーダが担当したと聞いている。


 三つ目。なぜ、アリスたちなのか。最初は、金髪を持っているアリスに、何か良からぬことをしようとしているのだと思っていた。しかし、それならアリスよりも、青い瞳と特性を持つレオを狙うはずだ。それなのに、彼女はレオの元には来ないで、アリスたちの側にいる。


 経験の浅いアリスたちの方が、目的の成功確率が高いから?


 英雄の子供であるアリスとアダンを狙っている?


 珍しい千夜族、桃子と俊宇が狙い?


 それら全ての可能性が、まだ生きている。


「お兄ちゃん、何かあった?」


「サビーナがいる。いいか、絶対に油断するな」


 そう言われて、アリスの体は一気に変な汗をかいた。レオに示された方をチラリと見て、サビーナの姿を確認した。黒髪黒目、右目の下と唇の左下には、小さなほくろ。大人しそうな子だ。言われてれば、何度か見たことがある顔。


「……わかった。気を付ける」


「頼むぞ。俺らも気を付けるけど」


「うん」


 ぎゅっと両手を握り締め、アリスは少しだけ息を吐きだした。ルイーズたちの問題が過ぎ去ったと思ったら、またこれだ。アリスは対人関係に苦労する星の元にでも生まれたのだろうか。


 そんなことを思いながら歩き続け、ついにアリスたちは出口を見つけた。


 草原の中に、ポツンと扉が立っている。ただし、禍々しい鎖で雁字搦(がんじがら)めにされ、大きな南京錠で厳重に閉じられている。


「……これは、また」


 小さく笑いながら、梓睿(ズールイ)は扉を見つめた。


「……下手な黒魔術。……上級の術じゃない」


「ってことは、もしかして犯人はこの中に?」


 カエサルは、アリスたち中級、初級魔術師たちを見つめた。


「俺らの魔力を封じたのは、間違いなく上級だろう。魔力管理システムをいじれるのは上級、しかも特別な許可がある上級だけだ。魔術師統括管理者と、占い学担当魔術師か、家系特性の専門家。アエラスだと、三人だな? ダリア・クロフォード先生、ジャーダ・エスポジート先生、ファビアン・シュワルツ先生。三人に近しい人物として付き人が挙げられるわけなのだが……。おっと、一人しかいないな」


「何か知ってるんじゃないの、サビーナ・カーロ・ヴェナ?」


 (ひらり)がサビーナを見つめ、アリスたちもつられてサビーナを見た。


 サビーナは、顔色一つ変えず、そこに立っていた。


「私?」


「そう。クロフォード女史も、エスポジート女史も、付き人がいらっしゃらない」


 蝶がそう言っている中、何となく嫌な予感がした皓然は、アリスとレオを押して、できるだけサビーナから離れようとした。


 何せ、今までは二人だけで依頼をこなしてきたのだ。嫌でも、勘が働くようになる。


 だが、それがいけなかったらしい。サビーナはアリスたちが隠れようとしているのを見ると、左手を鞭のように振るった。


「っ!」


 何かに頬を叩かれ、アリスはその場に倒れこんだ。レオたちに介抱されながら頬に触れてみると、赤黒い血が手にべっとりと付いた。


「計画は狂ったけど、まあ、いいか。これでフォティア分は手に入れた」


 サビーナの左腕には、あの手が絡みついていた。その中で、一番長い手には、アリスの血がべったりと付いている。


 手はサビーナが取り出したハンカチに体をこすりつけて血を落とすと、他の手たちとともにフワフワと動き始めた。


「……何が目的だ」


 ヌンチャクを手に梓睿がアリスたちの前に立つが、サビーナは薄く笑っただけだった。


 昨日、ルイーズが術で呼びだしたヘレナと同じだ。生気のない赤い瞳をしている。


「あの方を(よみがえ)らせること」


 そう答えた瞬間、アリスたちの前からサビーナの姿が消えた。


『これでフォティア分は手に入れた』


 サビーナの言葉を思い出し、レオは慌てて立ち上がった。


「アイツ、王家を狙ってる! ディスマス王子とオリヴィア姫たちが危ない!」

お読みいただきありがとうございました!

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