61.
〈注意事項〉
※15歳以上推奨作品です。
※敬語表現に間違いがあるかもしれません。あまり気にしないでいただけると幸いです。
〈あらすじ〉
アゴーナス出場に置いて、ある不安な点があるアリス。アリスたちは、それについての謎を解明するため、王宮図書館へと向かう……。
「あのさ」
意を決して、アリスは顔をあげた。
「こんなギリギリになってからじゃ、どうにもならないのは分かってるんだけど……。誰か、私の家系特性について知ってる人、いない?」
「ランフォードって、『自己成就』だよな? ブラック家の」
ユーゴに頷いて見せると、彼はうなりながら顔をうつむかせた。
「確か、自分が思い浮かべた設定を現実に持ってくる家系特性、だった気がする」
「自分が……、なんて?」
「例えば、『自分は成功する!』って思っていれば本当に成功するし、『自分は失敗する!』って思うと本当に失敗するの」
セレナもまた、難しい顔をしながら教えてくれた。
「一般的には、『自己成就予言』とも言うんだけど。カイル先生は、その成功、失敗の次元を軽々と飛び越えていたって、聞いたことがある。相手に『自分はあなたの仲間です』って思い込ませて潜入捜査をしていた、だっけ」
「そんな特性だったんだ……」
レオの『百発百中』とは違い、使い方を間違えないようにしなければならなさそうだ。
「そう言えば、図書館に家系特性について書かれている本があった気がする」
ふいに、ユーゴは指を鳴らして顔をあげた。
「題名が、えーっと……、なんだっけ、忘れちゃった」
「じゃあ、探しに行ってみる?」
アダンのその提案に、みんなは大きく頷いた。
図書館に行くと、相変わらず扉のスコーン先生がお昼寝をしていた。
ユーゴは気持ちよさそうに眠るスコーン先生の頬を軽くたたいて起こすと、「本を探しているんです」と切り出した。どうやら、スコーン先生は扉の仕事だけでなく、司書の役割も果たしているらしい。
「本……。何の本かねぇ」
あくびを噛み殺しながら尋ねてきたスコーンに、「家系特性について書いてある本です」とユーゴは簡潔に述べた。
「家系特性、家系特性ねぇ……。えーっと? あぁ、君たちはみんな一年生で、初級なのかい。それなら、図録の方がいいかねぇ。禁書に触られでもしたら、今度こそわしの首が飛ぶからねぇ、物理的にねぇ」
「そんなブラックジョークはいいですよ」ユーゴは顔をしかめた。「魔法使いの時に読んだから、禁書ではないですよ。確か、辞書みたいになっている本です」
「あぁ、『家系特性大辞典』かねぇ」
「それです! その棚に繋げてもらっていいですか?」
「ちょっと待っててねぇ。すぐ、繋げてやるからねぇ」
そう言ってスコーンが扉を開けると、門のように扉の向こう側は白くなっていた。大きな図書館なので、確かにこうやって目的の本棚まで連れて行ってもらう方が良い。迷うこともないし、本をいちいち探す必要もない。
扉をくぐると、目の前に大きな本棚があった。本の種類は『図鑑・図録』。ここの本棚にある本は、天井近くにあるものに南京錠がかかっていた。
セレナは本棚をノックすると「『家系特性大辞典』が読みたいの」と、語り掛けた。
本当、便利な世界だ。本棚から一冊の本が飛び出してきて、セレナの手に納まったのだから。本を一冊ずつチェックしていく必要もないらしい。
閲覧コーナーに移動し、辞典の表紙を覗き込んだアリスは思わず声をあげた。著者名が、なんと「グレース・マルタン」となっていたからだ。最近、事あるごとくその名前を聞いていたから、間違えるわけがない。
「ローズのお母さんじゃん!」
「グレース先生は家系特性学の専門家だったからね。アリスに言ってなかったっけ?」
アダンの問いに、アリスは首を横に振って答えた。
「でも、グレース先生の苗字って『エニス』じゃなかった?」
「嫁入りしたからじゃないのかな。グレース先生も、家から縁を切られたって聞いてるよ」
「こっちの人、すぐ親子の縁を切るよね……」
「そりゃあ、家名に泥を塗るってあまり許されることじゃないからね。今はかなり減ったけど、爵位持ちの家だと策略結婚ってまだあるらしいよ」
「えーっ! 人権侵害じゃん」
「よく分かんないけど、こっちの世界じゃ家を守るのが一番大事だからかなぁ」
その間に、セレナは苗字索引でブラック家を引いていた。
「ブラック家、ブラック家……、あった!」
セレナは本の向きをアリスに向け、「ここ!」と本の一か所を指さして見せた。
家系特性『自己成就』:自分の思想を現実にする家系特性。元々、旅一座が舞台設営の為に使っていた。衣装、照明、舞台装置等、全てを家系特性によって作り上げ、その臨場感と精度の高さで観客たちを魅了していた歴史を持つ。現在、この家系特性を所持しているのは、アエラス王国カイル・ブラック上級魔術師、アエラス王国アリス・ランフォード初級魔術師である。
「え、なんで私のこと書いてあるの?」
「だって、情報が更新されたんだもの」
なんてことないように言うセレナに、アリスは丸くなった瞳を向けた。どういうことか、一から説明願いたい。
それを見た桃子が、「本の内容は自動更新されるんだよ」と教えてくれた。
「常に最新の情報じゃないと、私たちみたいに分からないことを調べに来た人が困るよね。だから、本には情報更新の魔術がかかってるんだよ。情報源のデータが書き換われば、本の内容も書き換わるの。だから、レポートを書くときは必ず、参考文献の最終閲覧日を書かないといけないんだって」
「……本だけど、ネットと一緒」
「そういうこと。ただ、ネットとの大きな違いは絶対に信用できるってこと。確か、情報源は国が管理してるって聞いたことがあるよ」
一つ訂正。
この世界は、便利なのか便利じゃないのか、よく分からない。
そう言えば、アリスにはまだ知らないことがあるではないか。
「アダンの家系特性ってなに?」
「ぼくに家系特性はないよ」アダンは何でもないように答えた。「家系特性があるのは人間だけだもん。ぼくはエルフで人間じゃないから、家系特性はないよ。ルーカスの所のサラもそうだね」
「じゃあ、ローズも?」
「ローズは分からないなぁ。完全に狼人間の子供だったら無いだろうけど、お母さんは人間だからね。もしかしたら、グレース先生の特性を持っているかもしれないし、持っていないかもしれない。そこはまだ、何とも言えないね」
それでは、もう一人。
「じゃあ、皓然は?」
「ああ、確か——」
「ぼくがどうかしました?」
突然の本人登場に、アリスたちは一斉に大声をあげた。
「しーっ、しーっ! ここ、図書館ですよ!」
皓然に慌てて注意され、アリスたちは周りに謝ってから皓然と向き直った。
今日、アリスたちに魔術実技は無い。代わりに、各自で明日に備えることになっている。だから、レオは銃の手入れをすると言っていたし、パウラは消費した魔力を回復させるため、中庭に行くと言っていた。
皓然も刀の手入れをしているのだと勝手に思い込んでいたアリスたちだから、彼の登場には本当に驚かされた。
「それで、何してるんですか?」
「えっと、勉強会」
「へえ、仲良いですね」
そう言った皓然は、分厚い本を何冊も抱えていた。
桃子はそれを指さし、「然兄は?」と首を傾げた。
「然兄もお勉強?」
「まあ、そんなところです。本を戻していたら、君たちが見えたので」
「そっか。ところで、いつも絶妙なタイミングで来るって、良く言われない?」
「はい? まあ、確かにパウラにはよく言われますけど……」
「……さすが、ツヴィングリ先輩。……黄先輩と長い付き合い」
俊宇はそう呟き、口元を袖で隠した。
それを見て、皓然は肩すくめて俊宇の顔を覗き込んだ。
「俊宇。従兄弟なんだから、そんなよそよそしい態度を取らなくていいんですよ?昔はよく『皓然お兄ちゃん』って呼んでくれてたのに。それに、『黄先輩』はこの王宮に三人いるんですよ?」
「……じゃあ、皓然先輩」
「おや、残念」
「……李家の人間として、……もうそう呼べません」
「家のことなんて気にしなくていいのに。君がそれなら、桃子はどうなるんですか」
「……それは、桃子がおかしいだけです」
「俊宇? 今日、なんだか失礼じゃないかなぁ?」
怒りのあまり震える桃子を抑えるアリスとセレナを見て苦笑いをこぼした皓然は、ふと、最初の話を思い出した。
「そう言えば、ぼくのことを話してませんでした?」
「あ、うん」
正直に、アリスは白状することにした。
「今、家系特性のことを調べてて。それで、私まだ皓然の特性だけ知らないなって」
「言ってませんでしたっけ」
「言ってないよ」
「皓然って、変なとこ抜けてるもんね」
余計なことを言ったアダンは皓然に睨まれ、素直に謝った。
「全く。——えっと、ぼくの家系特性は『背水の陣』っていうんです。黄家の特性で、桜花姉さんも同じ。ちなみに、牡丹姉さんは『十二天将』っていう、母の安倍家の特性なんです。安倍家は、もう無いですけど」
「無いの? なんで?」
「ぼくのおばさんが、家を取り潰しちゃったんですよ」
衝撃過ぎるその言葉に、アリスは何も言えなくなってしまった。
やはり、千夜族というのはアリスの想像の斜め上を駆け抜けていく存在らしい。別世界のアジアの人たちと違っていることを願いたいものだ。
いや、そもそもアジア人の方が人口は多いのだから、こんなことにはならないだろう。
「ちょっと話が脱線しちゃいますが、大丈夫ですか?」
アリスはそれにコクコクと頷いた。逆に、こんな衝撃的な事件の真相をお預けにされた方が困る。
皓然は桃子と目を合わせてから、持っていたルーズリーフとペンを手に、椅子に腰かけた。その周りをアリスたちが囲む。
どうやら、彼は家系図を書いてくれているらしい。彼の家系図を書いているだけなのに、かなりごちゃごちゃしている。
「えーっと、ぼくの実の父さんがこの黄皓宇で、母さんが安倍桜音っていうんですけど。千夜族は変わっているので、普通に近親相関するんです。父さんは、実妹の翠蘭おばさんと結婚する予定でした」
「はい!? 実の妹だよね!?」
「そうですよ。だから、『変わってる』って言ったじゃないですか」
なんてことないように答え、皓然は「でも」と母の名を指さした。
「父さんは魔術師としてこの王宮に来て、母さんに恋しちゃったんです。翠蘭おばさんは妹としか見れなかったのもあって、母さんを追いかけるようにしてエルンスト・ツヴィングリのチームに入ります」
「つまり、パウラのお父さん?」
「そうです。それで、ツヴィングリ、安倍、黄っていう、まあ有名なチームが出来ました。で、父さんの猛アタックの末、父さんと母さんは秘密の交際を始めて、果てには結婚したいって言いだした。黄も安倍も猛反対ですよ。でも、どうしても諦められなかった二人は駆け落ちして、桜花姉さんと牡丹姉さんが生まれました」
何とも壮大な話だ。まさか、身近にこんな大恋愛の末に生まれた子がいるなんて、思っていなかったけれど。
「それで、父さんは皓轩じいさんに勘当されたんです。安倍の祖父母は、母さんの弟の秋桐おじさん……、桃子のお父さんを、斎家に婿に出します。その後、すぐに皓轩じいさんが亡くなり、蕈霸ばあさんと翠蘭おばさんが黄家に父さんを呼び戻しますが、父さんはこれを拒否。そしたら、翠蘭おばさんがキレて報復として安倍家を取り潰したんです。心労が祟り、安倍の祖父母は亡くなり、安倍家は亡くなっちゃったんです。特性と、その血はまだ残ってますけどね」
皓然は軽く言ってのけたが、内容はかなり重いものだった。
呆気にとられるアリスと、知っていたが改めて内容に驚く桃子たちに、当の皓然はケロッとした様子で「それで、家系特性なんですけどー」なんて話始めた。
変わり者の多い千夜族の中でも、皓然はトップクラスで変わっているのかもしれない。
「『背水の陣』は、自分がピンチに追い込まれれば、追い込まれるほど、全ての能力が上昇する特性です。ただ、それに伴って暴走していくので、普段は使わないです。使ったとして、五パーセントくらいですかね。牡丹姉さんの『十二天将』は、十二匹の式神を操る特性です。姉さんがよく呼びだすのは葛の葉っていう白狐。めちゃくちゃ毛がフワフワしているので、触ってみてください。面倒見がいいので、遊んでくれると思います」
説明を終えた皓然は、ニコリと微笑んでアリスたちを見つめた。本人は、自分が重い話をしたと一切思っていないので、こんな風に笑えるのだろう。
「……皓然先輩」
「何ですか?」
「……変わった性格してるって、……言われませんか?」
「『良い性格してるね』とは、よく言われます。クラスメイトたちに」
——やっぱり。
アリスたち一年生の気持ちが一致した瞬間だった。
***
パウラはダリアの部屋に訪れてローズと話をした後、門のターミナルへ向かっていた。
門のターミナルとは、他国と繋がっている門が集まっている場所だ。別世界の門番の家にあるように、真っ白の空間に無数の門が浮かんでいる。
アゴーナス開催の一週間前から、各国から魔術師たちが次々とやってきていた。
一週間の移動期間が設けられているのは、依頼等によってすぐ動けないチームや魔術師もいるからだ。それに、一斉に魔術師が抜けると国の治安にも影響が及ぶし、依頼も溜まる。なので、各王宮が計画的に魔術師を開催国に送り込んでいた。
とは言っても、アゴーナスの期間は上級魔術師たちが依頼の解決や王宮の警備に当たるため、各国の守備力や依頼解決に大きな問題は生じない。むしろ、上級魔術師が依頼や警備に当たるので、この時期はどの国も犯罪が起こりにくくなる。犯罪者たちも情報収集のためにアゴーナスの中継を見るからだ。
それを見て、心が折れてくれれば良いのだけれど。
そのことは置いておいて、パウラがターミナルへ向かっているのはとある人物と会う為だった。正確に言うと、呼びだされている。
これが気心の知れたクラスメイトだったなら、「悪いけど、用事があるんだよね」なんて断っていた。だが、開催国アエラスの魔術師として、他国から来るお客様の魔術師に呼ばれたら、断るに断れないのだ。
「——あ! やっほー、パウラ! 久しぶり!」
「ニコ……」
やってきたのは、赤いケープコートを身に着けた魔術師。胸には星の形にカットされた暗い赤色をしたトルマリンが一つ。黒いクセっ毛の髪に、兄とは違って生き生きとした紫の瞳。そして、首からは一眼レフをぶら下げてパウラに笑顔で手を振る少年。
フォティアの初級魔術師、ニコ・ヤンセン。どういう訳か、パウラのファンを名乗る変わった魔術師で、レオたちの仲良し。
「あれ? 皓然と一緒じゃないの、珍しいね」
「皓然だって暇じゃないんだぞ? 今日は、明日からのアゴーナスに向けて各自で準備する日にしたんだ。皓然のことだから、図書館にいると思うけど」
「ふんふん。で、レオは?」
「レオは銃の手入れ中。っていうかさ、ボク以外に連絡してないのか?」
「したけど、『迎えに来てよ』って言ったのはパウラにだけだよ」
「何でだよ。友達呼べよ」
「パウラだって、俺の友達じゃん」
名の通りニコニコしている魔術師に、パウラは思わず大きなため息をついてしまった。
先に来ていたシオンとニコは、同学年。つまり二年生だ。去年のアゴーナスの前半戦ではチームをシャッフルされ、たまたま同じチームになったのが、レオ、皓然、ニコ、シオン、そしてもう一人のディルというガイアの少年、この五人だった。
他国の魔術師とチームを組み、ゴタゴタしていたアエラスの魔術師が入ったチームの中で、かなり良い成績を残したチームでもある。そして、意気投合したのか五人は仲良くなり、外出日には一緒に共有管理地で遊ぶような関係性になっていた。
パウラは、たまたま皓然が「うちのチームリーダーのパウラです」と紹介しただけなのに、目をキラキラさせるニコに「ファンです!」なんて距離を詰めてこられた。その場の流れで連絡先を交換したのが、運の付きだったらしい。
「ねえねえ、パウラの歌聴かせてよ」
「やだよ。魔力不足になるだろ」
ニコを案内しながら、パウラは必死に舌打ちが漏れそうになるのをこらえていた。こんな変人なのに、客人扱いをしなければならないなんて……!
「『歌姫』じゃなくて、普通に歌って欲しいんだって。夜中、君が一人、中庭で歌ってるの、知ってるよ」
「なんで知ってるんだよ!」
「皓然に聞いた」
「アイツ……!」
どうやら、あの幼馴染は一回ガツンと怒っておかなければならないらしい。
客人用の七階にある部屋を案内し、パウラはさっさと立ち去ろうとしたが、ふと足を止めた。
「君、チームメイトは?」
「先に来てるよ」
「一緒に来いよ!」
「だあってぇー! リエってば、君らと組んで演奏したいってばかりで……!」
すると、ニコが泊まる部屋が急にバンッと開かれた。丁寧にまかれた薄紫の長い髪を結いあげ、黄色っぽい瞳を持つ、可愛らしい少女だ。身に着けているのは、赤と黒の前上がりドレスに似たフォティアの制服、階級章は中級であることを示す星が二つ。右手にはバイオリンを持っている。
パウラがこのチームに近づきたくない理由、その二だ。
フォティア中級魔術師、ツェツィーリエ・ティルシャル。世界的にも有名な弦楽器奏者としても活躍している。そんな彼女は、「ツヴィングリ兄妹と是非セッションがしたい!」と、ニコより先に来て、王宮中探し回っていた。
そして、パウラはいつもツェツィーリエを避けていた。
方法はいたって簡単だ。アーベルにツェツィーリエの居場所を教えてもらい、その裏をかいて動いていただけ。クラスメイトたちも、「さっき、図書館前にいたよ」など情報提供してくれたので、それにも助けられた。
あんなに頑張って逃げていたのに、ニコのせいで全てが台無しだ。せめて、誰かが早い段階でツェツィーリエのことを発見して、パウラに教えてくれていれば……。
パウラは一目散にその場から逃げ出したが、ツェツィーリエがそう簡単に逃がしてくれなかった。彼女が演奏した音楽に拘束され、パウラは不格好にも前に倒れこんだ。
——セッションしたいだとか、ファンだとか言うのなら、こんな雑に捕獲しないで欲しい。
「パウラ、久しぶり」
ツェツィーリエはニヤリと笑って、しゃがんでパウラのことを見おろした。
「久しいね、リエ」パウラは強張った笑みを浮かべた。「ところで、もう逃げないから術を解いてくれないかな。生憎だけど、床に転がるのは趣味じゃないんだ」
「だぁめ」
ツェツィーリエは、ますます笑みを深くした。
「術を解いたら、パウラはチームの所に行っちゃうでしょ? そんなの、めっ。ちゃんとリエのこと大事にしてくれなきゃ、やだ」
口の端をピクピクさせながら、パウラは「当たり前だろ」とこぼした。
——明日から、このヤンデレ女とも戦わないといけないなんて!
心の中で、パウラは大きな悲鳴を上げていた。
お読みいただきありがとうございました!




