5.
〈注意事項〉
※15歳以上推奨作品です。
※敬語表現に間違いがあるかもしれません。あまり気にしないでいただけると幸いです。
「レオのこと。簡単に説得できるんですよね、パウラ?」
すると、柱の裏からため息が聞こえてきた。
「君、あとで覚えておけよ」
「なんのことやら。ほら、早く『理由一つで』レオのことを簡単に説得してください」
楽しそうに笑う皓然を睨みながら姿を現したのは、長い栗色の髪をポニーテールにした、女の子だった。緑色の瞳を隠すような分厚い眼鏡をしている彼女は、声こそ可愛らしかったが、その所作と言葉遣いは男の子のようだ。服装は、やはり白。しかし、白のパンツスーツのような形で、ヒールの低いパンプスという出で立ち。やはり彼女も左胸に羽の飾りをつけていて、彼女は黄緑色の石、プレナイトが使われていた。
「初めまして」
女の子はアリスに手を差し出し、ふわりと微笑んだ。
「ボクはパウラ・ツヴィングリ。皓然から聞いてるかな、ボクら『あまりもの組』って呼ばれてるチームのリーダーだ」
「初めまして、アリス・ランフォードです」
パウラと握手を交わし、アリスも微笑んで見せた。
「よろしくお願いします」
「固い、固い。リーダーって言ったって、特に大したことないんだから。レオと同じように接してもらえると嬉しいな」
カラカラと笑ったパウラは、「さて」とレオにニヤリと笑って見せた。
「で、そのランフォードくんは、どうしてもダリア先生に会いたくないと見た」
「やめろよ、今更『くん』なんて」レオは綺麗な鼻にしわを寄せた。「ってか、お前のことだから分かってるはずだろ?俺が先生の所に行ったら……」
「『進級試験の話をされる』。ああ、確かに怖いよな。でも、いずれは行かないといけないんだから、さっさと行ってしまった方が良いと思うけどなぁ」
レオが「うっ」と言葉を詰まらせると、パウラはここぞとばかりに攻め込んできた。
「それに、今から行けば先生はアリスの登録作業もあるから、さっさと君の話を終わらせると思うんだけどなぁ?むしろ、アリスと一緒に行く方が君も気持ち的に楽だと思うんだよ。だって、ダリア先生も暇じゃないんだから。ボクが先生なら、君のテスト結果が入った封筒を渡して進級試験の話はおしまい。そのまま、アリスの手続きに移る……」
「わーったよ!わかった、わかった!行くよ、行けばいいんだろ!」
頭をガシガシとかきむしり、レオは叫ぶように言った。
それを見てパウラと皓然が顔を見合わせ、ニヤリと笑ったのだが……。アリスは、何も見ていないことにした。
「さて。レオも行く気になってくれたことだし、行きましょうか!」
そう言って振り向いた皓然の笑顔が、初めて胡散臭く見えた瞬間だった。
四人は話ながら、目的地に向かって再出発した。
「丁度いいから、行きがてら王宮を案内してあげるよ」
そう言って微笑んだパウラの細い指が、木製の大きな扉を指さした。しかも、その扉にも顔が浮かんでいるではないか!今は眠っているようで、半開きの口から大きないびきが響いて来る。
「ここ、図書館ね。担当しているスコーン先生は、ここの扉になって今年で四三七年目。仕事はキッチリしてくれるんだけど、この通りいびきが酷い」
「せ、先生……?」
先生ということは、上級魔術師だろう。そんな偉い人が扉になっているなんて、アリスにはとても信じられない光景だ。
もしかして、両親もそのうち扉に……?
「スコーン先生は、何をしたんだっけ?」
アリスの心情に応えるように、レオが皓然に尋ねた。
問いかけられた黒髪の魔術師は「えっと……」とチラリとスコーンを見てから、小さな声で囁いた。
「その、会議中の居眠りで……。当時のレヌー女王に罰として、ここの番人に」
「反省してねー……」
「そりゃそうですよ。この人は眠りが専門だったんですから。予知夢の研究だっけ。それで、いつでもどこでも眠れるようなスキルを身に着けて……。こうなったんですよ」
「だからって、会議中は無いだろ」
「うーん、まあ、やっちゃったんでしょうねぇ……」
どうやら、悪いことをすると扉に変えられてしまうことがあるらしい。
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