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17.

〈注意事項〉


※15歳以上推奨作品です。

※敬語表現に間違いがあるかもしれません。あまり気にしないでいただけると幸いです。


〈あらすじ〉

 アリスは同じクラスになる桃子(ももこ)俊宇(ジュンユー)、ユーゴの三人と、彼らのチームリーダと一緒にお茶会中。だが、ふとアリスはとある疑問を持って……。

 ところで、アリスは気になっていることがあった。


「ねえ、皓然。もうクラスメイトが誰だとか、チームに新しく入る人だとか、分かるようになったの?前は、まだ分からない、みたいなこと言ってなかった?」


「丁度、一昨日決まったんです。……順を追って説明しますね。まず、君たち三人が入学したのは、アエラス王国魔術師養成課程というコースです。加えて、ここに入ることができるのは一握りだけ。君たちの学年は、二十七人です」


「え、それだけ?」


「はい。なので、クラスは基本分けません。魔術師養成課程の一から三年生までは基本的なこと——————————例えば、この世界の政治だとか、歴史、文化、生物、物理など、学校と同じ授業を受けるんです。なので、三年までは朝番だとか、夜番だとかは無いです。みんな、決められた時間に、決められた授業を受けます。つまり、合格発表がされた時点でクラスメイトは判明してるってわけです」


「え、私は試験受けてないよ?」


 そう、アリスは入学試験を受けていないのだ。これでは、アリス一人だけが特別扱いされているようではないか。


 だが、皓然は優雅にコーヒーを嗜みながら、顔色一つ変えずに答えてくれた。


「そりゃあ、君は推薦枠ですから」


「す、推薦?」


「そう、推薦。分かりやすく言い換えると、国から『ぜひ、うちの国に来て魔術師になってください!』ってお願いしてるんです。そして、君はアエラスに来た。だから、試験が必要ないんです。他にも上級魔術師家系の人とか、貴族の人、成績優秀な人なんかはこれで入学してきますよ。今年は、アリスを含めて三人が推薦で入ってたと思います」


 どうやら、アリスの知っている推薦入試とは制度が違っているようだ。


「へぇー……」


「それから、チームについてですが。合格発表時に、どのチームに入りたいかアンケートを取るんです。それを元に、国と受け入れ先のチームが相談して、配属先が決まります。その仮配属が、一昨日発表だったんです。ちなみに、今日来れなかったもう一人の子は、うちのチームに入ります」


「えっ!あ、前に言ってたやばい子?」


「当たり」皓然はニヤリと笑った。「アダン・トゥータン。きっと、会ったらビックリすると思いますよ。あいにく、今日は補習ですけどね。アダンもアエラスに長いこと住んでいるから、何かあったら聞いてくださいね」


 そこだけ聞けば、なんだか普通の学校のようだ。


 ……いや、王宮の学校に通うなんて、やはり普通ではない気がする。


「ねえねえ!私、アリスちゃんともっとお話ししたい!」


 ピンと手を上げ、桃子は当てられてもいなのに「アリスちゃんは」と話し出した。


「どこの国に住んでたの?あ、ご両親が守り人なのは知ってるよ!」


「えっと、ベルギーだよ。とはいっても、首都からは結構離れてる所に住んでたけど。桃子、ちゃんは?」


「桃子でいいよ!実は、私も首都からは離れてる所に住んでたんだ。両親の仕事の都合でさ、もう本当、森!って感じの場所」


「私も、家の周りは森だらけだったよ!あれ、買い物とか学校行く時とかめちゃくちゃ不便だよね!近くのバス停だって、歩いて二十分もかかるんだよ!」


「そうなの!めっちゃ分かる!ねえ、今度遊びに行ってもいい?」


「もちろん!俊宇は?」


 すると、空気に溶け込もうとしていた俊宇は、体をビクッとさせてから「……俺は、草原の近く」と答えた。


「……うち、モンゴルの近く。……そこがうちの管轄」


「管轄?」


「……千夜族は、黒魔術の専門家。……俺の家は、北部と中央で黒魔術が使われないように、別世界人たちを、……その、……見守ってる」


「へ、へえ……?」


 何となく思っていたが、俊宇は不思議な間合いで話す子のようだ。


 気を取り直し、アリスは最後の一人、ユーゴにも笑顔を向けた。


「ユーゴは?」


「俺はこの王宮が家だよ。孤児なんだ」


「あ、ごめん……」


 思ってもみなかった回答にひるんだが、当の本人は気にしていないようだ。


「いいって。ここじゃ珍しくもない話なんだから。王宮は孤児院の役割も果たしてるからさ、引き取り手がいない子供たちはみんなここに来るんだよ。俺、両親のことは覚えてないけど、国王陛下がよくおっしゃってるんだ。『私たちはこの王宮にいる子供たち、みんなの親だ』って。もちろん、親がいるいない関係なしだよ。だから、親がいなくても俺は平気。家族がたくさんいるようなもんだから」


「そっか。国王陛下って、すごく優しいんだね」


「もちろん!」ユーゴは前に乗り出した。「俺、小さい頃からたくさん話したこともあるし! 抱っこしてもらったこともあるよ! すっごく温かい手をしているんだ」


 よほど、ユーゴは国王を敬っているらしい。アリスも王国に住んでいたが、こちらの方がより王と国民の距離が近いらしい。


 それにしても、孤児をみんな国が引き取るなんて、どこからそんな余裕が出てくるのだろう。それなりの人数とお金がかかるはずなのに。

お読みいただきありがとうございました!

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