14.
〈注意事項〉
※15歳以上推奨作品です。
※敬語表現に間違いがあるかもしれません。あまり気にしないでいただけると幸いです。
〈あらすじ〉
ヒューに求婚され、驚き戸惑っていたアリスたちだったが、皓然が機転を利かせて助けてくれた。
「では、失礼いたします」
さっきまでの剣幕はどこへやら、ヒューは優雅にお辞儀してから、周りに見守られながらさっさと食堂の中へ入って行った。
「皓然、助けてくれてありがとう」
「どういたしまして」
皓然はアリスに笑顔を見せた。
「こんな感じで、ぼくらは君の力になります。だから、困った時は遠慮なく頼ってください。その方が、ぼくらも嬉しいですから」
「うん」
廊下に元の活気が戻ってくる中、アリスは皓然に笑顔で頷いた。
それから食堂に入ったのだが、食堂もすごかった。
ラファエルの研究室よりもずっと高い天井。そこから吊るされているシャンデリアに火をともしているのは、髪が燃えている手のひらサイズの妖精。パウラはその妖精はフレアという火の精霊なのだと教えてくれた。
そして、ステンドグラスからは日の光が差し込んでコンクリートの床をカラフルに染め上げていて、その光はクリーム色の壁にも差し掛かっていた。
アリスは長テーブルが並んでいるものと思っていたのだが、実際はいくつもの丸テーブルが置いてあって、それぞれ仲良しと一緒に席について食事をしていた。
席に着くと、ポンッという可愛らしい音と一緒に食事が現れた。今日の昼食はサラダ、グラタン、スープだった。味付けもアリス好みで、とても美味しかった。だが、みんなの話を聞く限り、こんな豪華な食事が毎食出てくるらしいから驚きだ。
「食べたら、いよいよアリスを部屋に案内しようか」
ナプキンで口元を丁寧に拭ったパウラは、まだ食事を続けているアリスに笑顔を見せた。
「これから、君の家になる部屋だよ。とは言っても、寮生活なんだけどさ。でも個人部屋がちゃんと用意されてるから」
「うん?」
「チームごとに住む部屋が用意されてるって、聞いてる?」
「それは、まあ……」
皓然がそんなことを言っていたような、言っていなかったような……。
「六LDKのマンションみたいなもんだよ」食後のコーヒーを楽しむレオが言った。「個人の部屋以外は、チームメイト全員で共有。うちのチームは、家事は分担制。洗濯は各自」
「分担も何も、これまでほとんど二人ボッチだったけどな」
皮肉っぽく言ったパウラに、お代わりのグラタンを頬張る皓然が「こら」と顔をしかめた。
「それはぼくが言うことです。パウラの方が、担当している家事が少ないんですから」
「違うよ。君がボクの仕事をどんどん奪っていったんだよ」
「奪ったって……。違いますよ! パウラの仕事にはムラがあったから! 何度注意しても直らなかったから……!」
「引き受けてくれたんだもんな?」
「ぐっ……」
思い切り顔をしかめる皓然と、余裕の笑みを浮かべるパウラ。
その二人の顔を見て、思わずアリスは声をあげて笑ってしまった。
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