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133.

〈注意事項〉


※15歳以上推奨作品です。暴力表現、流血表現、荒い言葉遣い等を含みます。

※敬語表現に間違いがあるかもしれません。あまり気にしないでいただけると幸いです。


〈あらすじ〉

 炭坑所に売られてしまったアリス、皓然、アダンの三人。アリスたちが配属された組のリーダー、マブは、珍しいアリスに興味津々。そんなマブからアリスを守るために、皓然は勝負を仕掛けることにした。

「——タタラ?」


「ああ、そうだ」


 イスに座ったルイスは、まだドレス姿のセレナたちに大きくうなずいて見せた。


 アリスたちを助けに行くにも、パウラたち三人だけでは心もとない。そこで、ルイスが選んだのが、このヒュー・ベーコンのチームだった。


「それって、ふいごのタタラですか? それとも、ユリア様と一緒に世界を救ったタタラ様ですか?」


「さすがだな、セレナ。ふいごのタタラを知っているのか」


「タタラ場、とも言いますから」


「その通りだ。そして、どちらのタタラのことかは分からない」


「分からない、とは?」ヒューは顔をしかめた。「先生。詳しくお話をお伺いしてもよろしいですか?」


 ルイスはそれに頷き、彼らに何があったのかを説明した。


 アリス指名の依頼が来たこと。


 それが罠だったこと。


 皓然が戦闘ドラゴンをノックアウトしてしまったため、炭坑送りの刑に処されたこと。


 そして、レオたちが、とある空賊を取り締まった時に出てきた言葉が、「タタラ」だったこと。


「すでに、レオたちはドラコ近辺の共有管理地で空賊の取り締まりに乗り出していてな。ある炭坑所から出てきた空賊を捕まえたら、『金髪の娘と、千夜族の少年、エルフの少年をタタラに売ってきた』と話したそうだ」


「だから、『タタラ』というのが、どちらのタタラを示しているか分からないのですね」


 クレアは小さくうなずいた。


「それで、私たちに『依頼』したいというのは、何でしょう?」


「パウラたちと共同で、アリスたちを救い出して欲しい。その炭坑所、まだまだ余罪がありそうだしな」


 一方そのころ。


 レオたちの前には、アリスたちを炭坑まで連れて行った空賊たちが床に転がされていた。


 出動命令を出されたレオが真っ先に取った行動。それは憎き誘拐犯たちをとっ捕まえて、痛めつけ、大事な妹をどこへやったのか吐かせることだった。


 それはもう、彼と一緒にいたローズとパウラも、引いてしまうくらい素早く。


 空賊たちを誘い込むための山小屋に見せかけたあばら家で、レオはイライラを隠すことなく痣だらけの人さらい集団の前を行ったり来たりしている。


 実はこの空賊たち。娼館に行ったは良かったが、町の最高権力者であるタタラと呼ばれる人物に追い出されてしまったのだ。そこで、この気前の良かった顧客のハートをもう一度打ち抜くべく、彼らはこの山小屋で新しい商品を手に入れようとし、逆に罠にはめられたのだ。


 それにしても、どうしてあの時の三人が魔術師で、しかもその中にランフォード家のお嬢様が混ざっていると思うだろうか。ドラゴンたちは、金髪娘は別世界出身者だと言っていたのに。


 オレンジ髪の女魔術師がこのあばら家にやって来たのは、人さらいたちが捕まって一日が過ぎてからだった。しかも、彼女は一人ではない。黒猫を連れている赤茶色の髪の女性も一緒だ。


 黒猫を連れた、赤茶色の髪に黒い瞳をした、上級魔術師。


 その情報さえあれば、人さらいたちが顔を真っ青にするのには十分だった。タタラにあの町から追い出された時より、よほど恐ろしい。


 タタラとの契約。それは「魔術師には手を出さない」こと。魔術師をさらって働かせると、あの炭鉱の存在が明るみになってしまう。メディアが存在を嗅ぎつけてしまう。それを避けるための契約であった。


「アンタたちね」


 リーダーの男は胸元を急にグイッと引っ張り上げられた。物凄い力で締め付けられ、満足に息を吸うこともできない。


「アリスはどこ」


 その低い女の声を聞いて、初めてリーダーの男は、赤茶色の髪の女性に締め上げられていることに気付いた。正気を失った黒い色の瞳ににらまれ、その恐怖から何も言えなくなってしまう。


「早く吐きなさい。アリスを……、ウチの子をどこへやった」


 空賊たちが「お頭!」と口々に叫ぶなか、レオが「母さん」と女性の肩を掴んだ。


「その人、倒れるよ。それに、アリスたちが売られた先は分かってる。クロエが教えてくれたから。だから、そいつらの取り調べはメアリー先生に任せよう」


「……」


 男はドサッと地面におろされ、激しくむせこんだ。恐ろしいことに、これは素の力だ。魔術を一切使わず、あの細い腕はガタイの良い男のことを簡単に落としかけたのだ。


「アン先輩、落ち着いてください」


 オレンジ髪の女魔術師、確か名前はメアリーだったか。男はせき込みながら、どこか冷静なこの女魔術師を睨みつけた。だが、メアリーの周りで火花が散っているのを見て、睨むのはやめた。そうでなければ、男たちは肉ひとかけら、骨の破片すら残さずに消されてしまうことだろう。


 ここは大人しく、全てを吐いた方がこちらの罪は軽くなる。魔術師たちにバレたのだから、あの炭鉱町も、もう終わりだろう。

お読みいただきありがとうございました!

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