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優秀な人材も確保出来たがまだ問題がある。
それは住居の問題だ。
なんせ領地には建物なんて無い。
出来るまでテント暮らしというのもエリーゼには酷だろう。
俺は野宿も経験しているので問題は無い。
という訳で家を建てるのにどれくらいかかるか貴族専門の大工に見積もりを出してもらった。
「……高いな」
見積書を見て絶句した。
いや、覚悟はしてたよ?
大工曰く1から建てるとなるとやはりかなりかかるらしい。
しかも金貨100枚は最低ランクでその他オプションなんか付けると倍かかるそうだ。
報酬金があるから問題は無いけど、根が貧乏性の為、やっぱり尻込みしてしまう。
それに自分の家だけでなく今後は領民も住むだろうしその家も用意しなければならない。
なので余り無駄な金は使いたくない。
かと言って一応男爵なのでそれなりの権威を見せないと周囲に示しがつかない。
「兄貴……、どうしよう」
「う〜ん、家が無いのは流石に問題だよなぁ」
俺は兄貴に相談している。
「大体貴族の屋敷は先祖代々使用されてきた訳だし別荘ならともかく1から建てるという発想が無いからな」
「しかも月日がかかるしその間テント暮らしは流石に出来ないし……」
「エリーゼ様は何か言っているのか?」
「エリーゼは『別に広い屋敷とかは求めません、2人で快適に暮らしていけば十分です』と言ってくれているんだ」
「だったら、村長クラスの家なら大丈夫なんじゃないか? 別に客を招く事も無いだろう?」
田舎の村の村長クラス……、頭の中で想像してみると確かにしっくりくる。
とりあえずはそれでいってみるか。
で、改めて大工に見積もりを出してもらったらやはりグッと安くなった。
まずはその話で依頼をする事にした。




