表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/15

新作です、暇つぶしにどうぞ。

「みんな、良く聞いてくれ。 先程、連絡が入り『魔穴』が完全に封鎖された事が確認された。 よって、本日を持って任務は終了とする!」


 隊長の宣言に俺達は歓喜の大歓声が上がった。


「やったぁっ!! 漸く実家に帰れるっ!」


「うぅ……、固形食ともおさらばだ、早く普通の食事が食べたいっ!」


「俺、王都に帰ったら結婚するんだ……」


「バカっ! お前それフラグだろっ!! ていうか婚約者いたのか?」


「いや、ただのノリ」


 喜んだり泣いたりとみんなの反応はそれぞれだ。


 俺レオン・クライドも勿論嬉しい、嬉しいんだが……。


(王都に帰ったら非情な現実が待ってるんだよなぁ……)


 正直、複雑だったりする。


 理由は簡単、ここに来る前に長年の婚約者に別れを告げられたからだ。


 このアルバニー王国には兵役の義務があり貴族学院卒業後の1年間は部隊に入り国を護る仕事に入らなければならない。


 その入隊直前に一方的に婚約破棄を宣告されたのだ。


 なんでも格上の家から婚約の話が来たらしくそっちの方を取ったそうだ。


 俺の実家は貴族としてはどこにでもある普通の男爵家であり特に魅力なんてものは無い。


 そりゃ良い話があればそっちの方を選ぶよなぁ、とは思う。


 ただ、一方的に言われやり場の無い怒りやら嘆きやら悲しみやら喪失感で俺の当時の感情はぐちゃぐちゃになっていた。


 そんな時にタイミング悪く国に緊急事態が発生した。


 それが何年かに一度は現れるという魔穴。


 突然穴が空きそこから魔獣が出てきて襲撃してくる。


 俺が配属された部隊は魔獣殲滅を目的にされた部隊だった。


 そのメンバーの殆どが俺と同じ貴族の次男とか三男とかいう家に取ってはいてもいなくても良い存在。


 他からは『使い捨て部隊』と言われる。


 ただ生き残れば国を護った英雄扱いされる。


 だから、俺達は戦った。


 魔獣と戦い切って捨て切って捨ての毎日だった。


 俺はやり場の無い感情を魔獣達にぶつけた。


 結果として俺は部隊の中で1番魔獣を倒していた。


 いつからか俺は『戦神』と呼ばれるようになった。


 ……いや、ただ振られた腹いせをぶつけていただけですけどね、基本的に平和主義者よ。


 ただ、魔獣と戦っていた時はテンションが振り切っていたみたいでニヤッと黒い笑みをしていたらしい。


 それを聞いた瞬間、めっちゃ恥ずかしかったよっ!!


 でも、そのおかげで俺は国から勲章と爵位を貰える様になっているらしい。


 貰える物は貰えるけど振られた心の傷は未だに塞がっていない。

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ