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母さん、どこに行ったんでしょうね、僕の記憶

 小岩で1人暮らしをしていた頃、朝起きたら、前夜に飲んで帰る途中で買ったと思われる物が寝床の周囲を彩っていることが、たびたびあった。大抵は、飲食物であり、特に、いわゆる別腹に入る甘いものが多かった。食べている最中に力尽きたらしく、ショートケーキを頭で押し潰しながら寝ていたこともあった。いくら酔っ払っていたとはいえ、頭でケーキを食べようとしたわけではないだろう。

 ある朝、眉毛を整えるための小さなハサミが枕元に飾られていた。もちろん、生まれてから一度として整えたことなどない。ただし、これには理由があった。

 前夜、職場でベテランか若手かと問われれば若手に分類されるであろうメンツ数人で飲みに行った。行った飲み屋は、店員さんがクイズを出して、それに正解すると、1品無料というサービスをやっていた。クイズの内容は、店員さんのそのときの思い付きだ。そして、

「じゃあ、あそこにいるバイト君の年齢はいくつでしょう?」

 と出題された。

 このとき、女性の同僚が、

「眉毛をちゃんと整えているから、若いはず」

 と推測した。

(え? そんなところまで見ているの!?)

 愕然とした。おそらく、無意識のうちに、ムダ毛を斬り捨てることを志したのだろう。その日の夢では、座頭市が縦横無尽にハサミを振るい、

「また、つまらぬものを斬ってしまった」

 と言ったかもしれない。

 ちなみに、そのハサミは、眉毛を整えることには使われなかったが、鼻毛を切ることに大いに役立った。東京の空気が悪いのか、年齢のせいなのか、油断すると、鼻から毛が、

「こんちは!」

 と、明るく元気な宅配男児のように顔を出すのである。もちろん、そんな爽やかではないが。


 子供が生まれてからは、気が付けば、記憶を無くすまで飲むことは無くなっていた。「立派なお父さん」と思われたかったのかもしれない。中学の頃、友人が、バレンタインデーにチョコをもらったときに、さも貰い慣れているかのように、さりげなく振舞おうとして失敗したことを笑えないくらい、無駄な見栄である。

 しかし、最近、そういった見栄が無くなった (*1)からなのか、しばしば、昔のように酒に飲まれることがある。

 先日、朝起きると膝や尻が痛かった。前日に家族で日帰り旅行 (*2)に行って、珍しく歩いたせいか。筋肉でなく、骨が痛いが、年を取ると、そういうものなのかもしれない。少し不思議には思ったが、そう結論付けた。しかし、嫁から、前夜に酔っ払ってこけていたと聞かされて納得した。もちろん、こけた記憶は全く無い。

 家庭や職場で責任ある立場なのだから、不慮の事故を起こさないように、記憶を無くす限界をちゃんと見極めて飲まねばなるまい。ん? 適量? 禁酒? それ、何の分野の専門用語?

*1: そうでなければ、こんなふざけた自叙伝を出品しようとしない。

*2: 行先は、もちろん、「ちば眺望100景」から選択されている。


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