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お母さん無双

 2歳を少し過ぎたケイスケは、畳まれた状態の段ボール箱がたくさんアパートに届けられたのを見て、

(また、お母さんが、剣や盾をこしらえてくれるのかな?)

 って思ったけど、その日は、特に何もこしらえてもらえなかった。

 次の日、お父さんが仕事に出掛けた後も、お母さんは、単に段ボールを箱の形にして、部屋にある色々な物を箱に詰めるだけだった。ケイスケは、

(おもしろいのかな?)

 お母さんの近くにあった物を箱に入れてみた。お母さんは、

「あら、手伝ってくれるの!?がンわンいン~!!」

 喜びながら、ケイスケをギューって抱きしめた。お母さんは、たまに変な声を出す。

 ソウスケは、我関せず、っていう感じで、お気に入りのおもちゃで遊んでいた。


 それから何日か経った、ある日曜日、引越し屋さんに手伝ってもらって、ケイスケ・ソウスケ達は、アパートから戸建てに引っ越した。引越し屋さんは、前の仕事が押してしまって、約束の時間よりもずいぶんと遅くに来たから、ケイスケ・ソウスケ達の引越しが終わったのは夜遅い時間だった。だから、その日は、あまり段ボール箱を開けずに、スーパーのお寿司(ごちそうだ!)を食べて、4人は寝た。


 次の日、お父さんが仕事に出掛けると、お母さんは、少しずつ、段ボール箱から色々な物を取り出していった。

 お母さんは、子供達がおとなしくしていてくれるように、早めにテレビを出してリビングの角に置いた。そうすると、ソウスケがテレビの真正面に正座して見始めた。広いリビングの隅でソウスケが角に向かってチョコンと座っている感じが可愛くて、お母さんは、

「がンわンいン~~!!」

 って奇声を上げながら、ソウスケの後ろ姿の写真を撮って、いそいそとお父さんに写メを送った。


 残念ながら、お母さんの作戦は失敗した。すぐにテレビに飽きて、子供達は大暴れ。何しろ、家の中に大好きな階段がある。しかも、階段は、少し長くて、途中でぐるっと向きを変えている。それに、2Kのアパートよりも広いお家は、探検や追いかけっこに、もってこいだ。

 だけど、新しい環境に来たこと、暴れまわったことで、2人はすぐに疲れて寝てしまった。お母さんは、しめしめと段ボール箱から出した物を家の中に置いていった。

 ところで、ソウスケは、段ボール箱を背にして座った状態で寝てしまった。お母さんは、また、

「がンわンいン~!!」

 って奇声を上げてお父さんに写メを送った。


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