どうしてこうなるの
察してもらうのは無理だ。
マコトの手をしっかり掴んだ。逃げられたら困る。
そのまま、エリカの方を向いた。
「わたし好きな人出来たんだよね。マコトくんでーす。同じ高校の元同級生。エリカも見たことあるよね。最近つきあったばかりでーす」
マコトの体に抱きついた。
「ラブラブでーす」
抱きついたまま、顔をあげた。マコトの顔が真っ赤になっている。
否定するな、否定するなよ。心で何度も唱える。
「ねー」
笑いながら、でも目で訴えかけた。
「え、え?」
マコトが顔を真っ赤にしながら、困惑の表情を浮かべている。
これ以上、否定するな。わたしにくっつけ。
マコトの腕を力強く引っ張って、家の中に引きずり入れた。
ますますキョドるマコト。たのむ。何もしゃべるな。
「そういうことなの。だからエリカには帰ってほしいんだけど。これから二人で食べる夕食を作る予定だから」
口からウソが滑らかにでてきた。ヨシッ。
マコトの顔を見た。表情がクエスチョンになっている。そんな約束したっけって言葉が出てきそうだ。バカヤロー。口裏合わせんかい。
「そんなわけない。冗談はやめてよ。アンタみたいな面食いが、こんな男と付き合うわけないでしょ」
エリカがキレている。
「ちょっと。失礼でしょ」
怒鳴った。
マコトの顔を見た。微妙な顔をしている。遠まわしに、いやダイレクトに、ブサイクだって言われたのに気付いてない。ここ怒るところなんだけど。それとも、さっきのわたしと付き合っているってフレーズで思考停止になっているのか?
「そんなしょうもないウソつかないでよ。悪かったって。ツバサが謝りたいって言っているんだから。ほんとうに悪かった。あのときは助けるべきだった。びっくりして、何もできなかったんだって。許してよ、ごめんって」
「許すも何も。わたしのせいだよ、ごめん」
あれはあれでよかった。ケガをしたときはびっくりしたけど、ケガをしなければ知らないまま、わたしはツバサとエリカの子どもを身ごもっていただろう。
「怒らないでよ。ツバサには謝罪させる」
「いやいや、わたしが悪かったんだから。もう終わったんだよ」
「へそ曲げてないでよ」
「へそなんか曲げてないよ」
へそ取るぞの間違いだろ。鬼だけに。
「ツバサは合わせる顔がないって言っているだけで、ほんとうは謝りたいんだから」
「どうでもいいから、そういうの。もう、マコトと付き合っているんだから」
「ミサキはウソつきだよ。付き合ってるわけないじゃない」
「いい加減、帰ってくれないかな。マコトと二人っきりになりたいってわからない?」
マコトの顔を見た。顔から湯気が出てくる雰囲気。うざっ。うざい。まじでイヤ。
「夕食なんか、作るわけないじゃない。あんた、料理へたくそでしょ。あのクソマズイ、オムライス。まさか忘れたとは言わせないわよ。トマトケチャップの力借りての、あの料理。笑わせないでよ。そんなアンタが、彼氏のために手料理?頭おかしいんじゃないの?」
「うるさいな。じゃあ、外食にするよ、外食。文句ないでしょ」
「外食なら、わたしを入れてよ。三人で今から行こうよ」
「だから、二人きりになりたいいって。わからない?」
わたしは吠えた。アンタとは決別したいのよ。
「いいんじゃない、三人で行こう」
マコトが言った。




