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托卵   作者: 桐谷 光
33/56

どうしてこうなるの

 察してもらうのは無理だ。

 マコトの手をしっかり掴んだ。逃げられたら困る。

 そのまま、エリカの方を向いた。

「わたし好きな人出来たんだよね。マコトくんでーす。同じ高校の元同級生。エリカも見たことあるよね。最近つきあったばかりでーす」

 マコトの体に抱きついた。

「ラブラブでーす」

 抱きついたまま、顔をあげた。マコトの顔が真っ赤になっている。

 否定するな、否定するなよ。心で何度も唱える。

「ねー」

 笑いながら、でも目で訴えかけた。

「え、え?」

 マコトが顔を真っ赤にしながら、困惑の表情を浮かべている。

 これ以上、否定するな。わたしにくっつけ。

 マコトの腕を力強く引っ張って、家の中に引きずり入れた。

 ますますキョドるマコト。たのむ。何もしゃべるな。

「そういうことなの。だからエリカには帰ってほしいんだけど。これから二人で食べる夕食を作る予定だから」

 口からウソが滑らかにでてきた。ヨシッ。

 マコトの顔を見た。表情がクエスチョンになっている。そんな約束したっけって言葉が出てきそうだ。バカヤロー。口裏合わせんかい。

「そんなわけない。冗談はやめてよ。アンタみたいな面食いが、こんな男と付き合うわけないでしょ」

 エリカがキレている。

「ちょっと。失礼でしょ」

 怒鳴った。

 マコトの顔を見た。微妙な顔をしている。遠まわしに、いやダイレクトに、ブサイクだって言われたのに気付いてない。ここ怒るところなんだけど。それとも、さっきのわたしと付き合っているってフレーズで思考停止になっているのか?

「そんなしょうもないウソつかないでよ。悪かったって。ツバサが謝りたいって言っているんだから。ほんとうに悪かった。あのときは助けるべきだった。びっくりして、何もできなかったんだって。許してよ、ごめんって」

「許すも何も。わたしのせいだよ、ごめん」

 あれはあれでよかった。ケガをしたときはびっくりしたけど、ケガをしなければ知らないまま、わたしはツバサとエリカの子どもを身ごもっていただろう。

「怒らないでよ。ツバサには謝罪させる」

「いやいや、わたしが悪かったんだから。もう終わったんだよ」

「へそ曲げてないでよ」

「へそなんか曲げてないよ」

 へそ取るぞの間違いだろ。鬼だけに。

「ツバサは合わせる顔がないって言っているだけで、ほんとうは謝りたいんだから」

「どうでもいいから、そういうの。もう、マコトと付き合っているんだから」

「ミサキはウソつきだよ。付き合ってるわけないじゃない」

「いい加減、帰ってくれないかな。マコトと二人っきりになりたいってわからない?」

 マコトの顔を見た。顔から湯気が出てくる雰囲気。うざっ。うざい。まじでイヤ。

「夕食なんか、作るわけないじゃない。あんた、料理へたくそでしょ。あのクソマズイ、オムライス。まさか忘れたとは言わせないわよ。トマトケチャップの力借りての、あの料理。笑わせないでよ。そんなアンタが、彼氏のために手料理?頭おかしいんじゃないの?」

「うるさいな。じゃあ、外食にするよ、外食。文句ないでしょ」

「外食なら、わたしを入れてよ。三人で今から行こうよ」

「だから、二人きりになりたいいって。わからない?」

 わたしは吠えた。アンタとは決別したいのよ。

「いいんじゃない、三人で行こう」

 マコトが言った。

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