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托卵   作者: 桐谷 光
24/56

家に帰ってきたけれど

 家についた。

 もちろん、あんな変態家に入れる気はない。すぐにサヨナラして、鍵をかけた。

 ベッドに寝そべってテレビをつける。急に仕事が休みになってヒマになった。ユーチューブを見る気にはなれない。録画した番組はすでに見つくしていた。サブスク映画の気分でもない。たまたまつけた番組がなんとなく流れていくのを意識せずに見ているだけだ。

 やらなければならないことはいっぱいある。トイレ掃除もしばらくできていないし、サッシも汚い。カーペットの上には自分の髪の毛が落ちている。掃除は嫌いだ。めんどうくさい。明日からちゃんとしようかなって、毎日思っているけどしていない。

 ため息が漏れた。

 ベッドの下に常備しているコロコロを出して、ならしてゴミを取った。押入れの中から小さなこたつとこたつ布団を取った。折りたたみテーブルはたたんで片づけた。

 立ち上がって、お湯を沸かしインスタントコーヒーを飲んだ。

 ちょっとだけ、休憩。

 しばらく頭を空っぽにした。ちょっと小腹が空いている気がして、棚の中からお菓子を出して、こたつの上に置いた。コーヒーは飲み終えたのでカップは流しへ。こたつのセンをコンセントにさして、そのままこたつに移動。袋の中に手を入れてスナック菓子を口に入れる。リモコンを手に持ってチャンネルを変えた。見たいモノはない。携帯をいつも置いている玄関横の棚に取りに行って、そのままこたつにイン。

 ケータイをスクロール。ニュースをチェック。

 チャイムが鳴った。ドアを開けたらエリカだった。はあ、ダルッ。開けなきゃよかった。

「なに」

 意識してなかったけど、自分の声にとげがあった。

「ケガ大丈夫かな、と思って」

「ふつう」

 どうでもいいでしょ、わたしの事なんて。

「入れてくれない?」

「イヤだ」

 エリカがコンビニの袋を上に上げた。

「シュークリーム買ったんだ。いっしょに食べようよ」

「は?」

 いらんし。

「あがるね、お邪魔します」

 勝手にドアをこじ開けて入ってきた。靴を脱いで、こたつのところまで歩いていく。中に入ってテレビのチャンネルをかえている。もう、サイアク。

 吐き気がするほど嫌いなのに、気が付くとポットにお湯を入れ沸かしていた。習慣とは恐ろしい。仕方ないから、インスタントコーヒーを入れて渡した。

 シュークリームを渡されたがいらないと言った。スナック菓子を食べ続ける気にもならない。エリカが袋に手を伸ばしてお菓子をほおばっている。そうきたか。

 こたつに入るのをやめてテーブルに座った。

 いったいこの状況はなに?

「言いたいことあるよね」

 エリカが言った。

 ムカつく、ムカつく、ムカつく。

 しばらく沈黙が続いた。テレビの音しか聞こえない。

「ツバサと付き合っているんだよね」

 言った。緊迫した時間を耐え切れなかったのは、わたしの方だ。

 頭の中がぐちゃぐちゃになっていた。角のこと、カッターのこと、ツバサの家からエリカが出てきたこと。涙が出てきた。心臓がなぜか激しく鼓動していた。興奮しているのが分かったけど、知られたくなくて平気を装っている。

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