表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マリーゴールド  作者: Auguste
49/71

第48幕 闇を知らない子供と闇を知りすぎた青年

俺はアナウンス室の端に座り、警察を待っていた。

腕についた虫も払わずに…。


手の至るところが腫れている。

きっと何かに刺されたんだろう。

でもそんなことは気にならなかった。

目の前で両親が無惨にも解体されて、埋め尽くすほどの虫達と一緒に入れられてたのだから……。


机には例の物語が書かれていた紙が置かれていた。



scp-544-jp-ex(非公式)


あなたが来た。

私達はある人達の名前とあなたの名前を呼んだ。

ここに来た人は名前を呼ばれた人を忘れられるのだ。

名前を呼んだ者たちはあなたを不幸にした元凶達だ。

あなたには忘れてもらいたい。

私達のことも…。

急にいなくなってしまう私達を思い出して悲しまないように。


私達はあるゆるものを暴食し、

髑髏(どくろ)の模様が入った羽を広げる。

1つを除いて私達の1つとなった。

私達の罪は重いだろう。

それでもいいのだ。

あなたが忘れても私達はずっとあなたの側にいる。

それがどんな形でも……。

あらゆる障害を取り除こう……。



scp……。

怪物や怪奇現象等を紹介している共同コミュニティサイトのことだ。

そして大量の虫の入った壺……。


もうわけがわからない。


何を伝えたいんだ……。

俺にどうして欲しいんだ。

なんで俺に残された少ない光を奪うんだ。

父さん…………。

母さん…………。

2人との思い出が蘇る。

でも……。

俺は泣けないのだ。

涙が枯れてしまってただ呆然と物語を見るだけ。



「小田さん!大丈夫ですか!」

大鷲だ。

警察が到着したようだ


「こ、これは……。」

虫が大量に入った壺を見て、たじろいでる。


「父と…………母です。」

俺は微かな声で伝えた。


「そんな………。」

大鷲が絶句する。

無理もないだろう。

大量の虫だらけの壺に入っている死体なんて前例がないだろう。


「こりゃーー酷いな。」

小山だ。

「とりあえず現場検証するので、小田さんは外に出て待ってもらいます?」


「はい。」

「あと………これが机に置いてありました。」

小山に詩が書かれた紙を渡した。

虫が何匹かついた状態で。


「………ありがとうございます。」

紙を受け取り虫を払いながら

「大鷲……。」


「はい?」


「虫を払ってやれ……。」


「わかりました……。」


大鷲は俺に近づき

「小田さん大丈夫ですか?」

虫を払ってくれた。


「………………。」

「ありがとうございます。」

俺はそう言って外に出た。

迷子センターの壁に背をつけて座り、タバコに火をつけて入り口を見る。


4歳の俺が母さんと手を繋ぎ、後ろで父さんが見守っている。

3人とも楽しそうだ。

赤い風船を持って俺は喜んでいる。

その時の俺の顔は希望に満ち溢れていた。

まだ幼く、この世界の残酷さを知らない無邪気な笑顔だった……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ