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マリーゴールド  作者: Auguste
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第4幕 救いの手

朝から散々だったな…。

あんな写真まで見せられて…。

脳ごと切断された頭、キスをしている2人。

それとまるで物語のような内容が描かれていた紙。

不可解な事件だが、あまり考えないようにしたい。

俺は事件とは無関係だ。

それに捨てられている身だからな…。


いつもの喫煙所で一服をする。

地獄に向かうまでのリラックスタイムだ。

毎回騒がしいやつがいるが……。


「おい!小田。」

いつもより騒がしい。


「ニュース見たぞ。あれ……お前の彼女だよな?」

「なんか交際相手と殺されたとか言ってたけど、お前別れてたのか?」

写真見せたことあったけど覚えていたのか。

今も付き合ってると嘘ついてたことが裏目に出た。

まさかこんなことになるなんて思いもしなかったし……。


ここまでくると誤魔化すのも限界だし、最近ストレス溜め込んでばかりで吐き出したいと思っていた。

相談できるのは学だけでそれ以外信用して話せるやつはいない。

木原は同期だし、なんだかんだ信用できる奴だと思う。


「ごめん木原。俺、嘘ついてたんだ。」


「嘘?」


「木原の言う通りで、実はもう別れてたんだよ。」

「一度だけ……早めに帰れたことがあったんだ。」

「せっかくだしどこかでご飯食べに行こうって思って急いで帰ったんだ。」

「でも帰ってきてみたら最悪だったよ。」


「綾葉と知らない男がヤッてたんだ…。」

「めっちゃ喘ぎ声出しててさ、いつも一緒に寝てるベットで………。」

木原が黙って俺の話を聞く。


「そのとき綾葉が俺に気がついて、なんで帰ってきてるの?って何故かキレられたんだ。」

「男の方もなんか堂々と………フルチン状態でさ。どっちが悪いのかわからなくなった。」

「俺は何も言えなかった。」

「綾葉はこの人と付き合うからって言って服着て出て行った。」

「後々荷物を取りに来たけどそのときも何も言えなかった。」

「あっちも何も言ってこなかったけどね…。」

「それに加えて着拒にSNSブロックだ…。」

「他の人と幸せになるから俺のことは綺麗さっぱり忘れたかったらしい。」


「これが事実………去年のことだ。」

「嘘ついてごめん。」

俺は頭を下げた。


木原が震えてる。

怒っているのだろう。

無理もない。

ずっと親身になってくれてたからな。


「なんでずっと黙っていたんだ。相談してくれって言っただろう。」


「ごめん。」

謝ることしかできない。


「辛かったよな。」

「なにかあったら必ず言ってくれ。力になるから」


「木原… ありがとう」

話をしたら気持ちも少し落ち着いた。


「仕事で辛いこともあると思うけど、頑張っていこう。 な?」

俺は頷いた。



それから少し気が楽になった。

成績はまだビリのまんまだけど…。

係長からは「なんかいいことでもあったのか?」とニヤニヤしながら聞いてきたが、「特に何も無いです。」と答える。

押し付けられた仕事もすぐにこなして、最近は残業も2時間〜3時間と早くなった。

今まであの夜のことは学にしか話したことがなかった。

相談できる人が増えて憑き物が無くなったようだ。

木原に感謝だな。


ありがとう、木原。

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