第12幕 再会
葬儀は終わった。
久々に綾葉の顔を見たが、はっきり言って直視出来なかった。
検死の後、頭を縫われたんだろう。
額に縫い後があった。
学は他に来てた人達と話をしてた。
そこに武の姿もあった。
今まで音信不通だったが、ニュースを見て駆けつけてくれたんだろう。
長髪の金髪で今も変わらずのロックンローラーだ。
久々に俺も話をしたかったが、そんな気持ちになれそうにない。
葬儀が終わった後もずっと喫煙所でタバコを吸っていた。
あいつが俺に対しての思いはなんだったんだ。
嘘か本当なのか…。
「友和のこと好きだよ!」
その言葉を思い出してよくわからなくなる。
俺はそのまま座り込んだ。
砂で喪服が汚れてもどうでもいい。
服は洗えば落ちる。
身体の汚れだって…。
でも心の汚れは簡単に落とせない。
普通の家庭に生まれた俺よりも、あいつのほうがそれをわかっていたはずなのに…。
涙も出そうで出ない。
あの夜の後、1人で泣いてたら枯れてしまったようだ。
「おい。そんなところ座ってたらケツ汚れるぞ。」
見上げると学がいてその隣が武だった。
「久しぶりだな。とも。」
「あまり大丈夫そうにはみえねぇが……大丈夫か?」
「ははは……もう駄目みたい。」
学に腕を掴まれ
「よし。とりあえず立とうぜ。」
「飲みにでも行こう。いつもの店で,」
俺は立ち上がった。
千葉に帰るときに、学とよく行ってた店だ。
あそこの店は雰囲気いいし店員さんも気のいい人だ。
「行こうぜ。俺も学も話ぐらい聞くからよ。」
武と学が俺の前を歩く。
いつも先頭にいたのは武と学だったな。
その後ろに俺と綾葉だ。
今は……誰も俺のとなりにいない。