第10幕 変わらない風景
待ち合わせ場所の公園に向かった。
昔から何一つ変わらない風景だ。
練習終わりに、コンビニで買ったお菓子とかをつまみながらみんなで話してたっけ。
1人タバコを吸いながらベンチを見てると
「ここ禁煙だぞ」
肩をぽんと叩かれた。
学だ。
「久しぶりだな、学。元気そうでよかった。」
学は千葉に残り、両親の旅館を継ぐために働いている。
相変わらずタバコを注意する真面目な部分は変わらない。
「お前ほんとに大丈夫か?」
「また痩せたみたいだし、隈も酷いぞ……。」
「ああ…。大丈夫だよ。」
「医者にも診てもらってるし…………。」
俺は余計な一言を言ってしまったことに気づいた。
浮気されてから心療内科に通うようになった。
心配されると思って誰にも話をしてなかった。
「医者に診てもらわないといけないぐらい酷い状態なのか!」
「そんな大事じゃないから大丈夫だよ。」
1日3錠以上は飲んでいるが……。
「ほんとに大丈夫か?」
「ああ……。早く葬式に向かおう。遅れるぞ。」
「そ、そうだな。行こうか。」
道中、顔のシップについて聞かれて木原のことを話をした。
同僚に打ち明けたことを社内にバラされていたこと、社内の人間から嘲笑されたり疑いの目で見られたことを。
そして木原に殴られたことを話した。
「それは酷すぎる。」と学は怒ってくれた。
そう言って心配してくれるのは学だけだよ。
ありがとう、学。