表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/34

全速前進!

 いよいよマラソンの時間だ。


 この為にわざわざ交通規制までしているようで、コースも五キロとなかなかある。


 どうやら学校周辺を回って戻ってくる感じらしい。大体の道順は暗記したし、なんとかなるだろ。



『位置について下さい!』



 どうやら校長がスターターピストルの役目を担うようだ。全生徒がスタートラインに立つ。……多いな。


 ざっと三百、四百人はいるだろうか。


 この中で三十位以内に入れ?

 ……うわ、自信なくなってきた。


 けど、走るのだけは得意だ。

 俺の唯一の特技と言っても過言ではない。



『よ~い、ドンッ!』



 パァンとピストルが鳴って、生徒たちが一斉に走っていく。

 やっべ、油断していると押し倒されそうだ。転んだら危ないし、急いで前進していこう。



「待って、お兄ちゃん」

「夢香……平気か。俺結構ペース早いぞ」

「……う、うん。大丈夫、これでも中学の頃は漫画部だったからね!」


 って、それはスポーツ系ではないぞ!

 そのせいか、夢香はどんどんペースが落ちていった。……だめか。


 とうとう離れ離れになってしまったが、俺は前へ進み続ける。


 順位でいえば、百のあたりだろうか。このままでは三十位になんて入れないぞ。


 焦っているとニヤッと笑う小鳥遊が現れた。



「こんなところにいたか、平田杏介!」

「いちいちフルネームで呼ぶな、鬱陶しい」

「フフ。案外たいしたことないな。これなら僕の勝ちだ」


「それはどうかな。今体力を無駄に消費しても後半がキツくなるだけだ。これから徐々にペースをあげてサラブレッドのように差していく。これぞ俺流よ」


「フンッ、笑わせてくれる。ならば僕は先に行く!」



 一気にペースを上げていく小鳥遊。物凄い脚力で次々に生徒を抜いていく。……野郎、正気か。あんな加速してしまっては絶対に体力が持たないぞ。それとも、自信があるというのか。


 俺も速度を上げていこうかと悩んでいると、隣に祥雲が駆けつけてきた。


「やっほ、平田くん」

「祥雲、結構早いんだな」

「そういう平田くんも意外な才能があったのね。足、速いね」

「小学校の頃、陸上競技は常にNo.1だった。かつては“縮地(しゅくち)”と呼ばれたこともあったな」

「うん。知ってる知ってる。そんな彼に憧れた女の子がいたんだけどな」


「え?」


「ううん、なんでもない」



 まて……祥雲って小学校の頃……。いや、今は考えるな目の前に集中しないと!


 あの小鳥遊なんとかを抜いてやるッ!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ