特別な朝と隣の席の少女
翌朝、俺は目の前にいる夢香にビックリして飛び起きた。
「うわ……! ――って、そうだ」
昨晩は夢香が部屋に入ってきて……あぁ、エロ動画を見られたんだっけ。思い出しただけで顔が熱くなる。
義妹にあんなシーンを見られてしまうとは。
だが、おかげで夢香と抱き合って寝ることが叶った。
結果オーライ?
「おはよう、お兄ちゃん」
「あ……夢香。起こしちゃったか」
「ううん、平気。それより、トイレ……抱っこして~」
「自分の足で行けよっ」
「えぇ~…」
体操着姿で不満そうにする夢香。
そういえば昨晩からずっと、そのままだな。可愛いけど、如何せん刺激が強い。寝れたのが奇跡なくらいだ。
特別な朝を迎え、俺は気持ちがたかぶった。
「学校へ行くぞ、夢香」
「はぁい」
ノロノロと立ち上がる夢香は、トイレへ向かった。朝は弱いんだから。
* * *
準備を終え、アパートを出た。
制服姿となった夢香は、神々しいほどに天使だ。チャームポイントでもある黒いリボンもバッチリ決まっている。
「夢香、今日は金曜日だ。一日がんばれば土日はゆっくりできる」
「がんばろうね、お兄ちゃん」
素敵な笑顔をもらい、俺は元気が出た。
歩いて学校へ向かう。
今日は青天で雲ひとつない青空。
空気も澄んでいて最高の気分。
夢香とこうして登校できることに幸せを感じた。
――学校に到着して昇降口へ入ると、そこに見覚えのある顔がいた。
あ、隣の席の……なんとかさん。
「おはよう、平田くん。へえ、その子が義理の妹さん?」
「そうだよ。えっと……」
「あ~、酷いな。私は祥雲。祥雲 三七三だよ」
祥雲といったのか。
ようやく名前が判明した。
彼女は俺と夢香を見据え、微笑む。
なんだ、なにか企んでいるのか……?