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ステラマリン公爵令嬢3

「ところでステラマリン嬢、君を何と呼べば良いのかな?」


 私は他の事を考えていたので反応が遅れた。


「あっ…私の事はステラと。お父様」


「その事だが、実際は親子でも見た目は年が変わらないだろう。ステラは何才なんだ?」


「17才です」


「そうか、では2人だけの時はヘンリーと。外ではオコーネル卿と呼んで欲しい」


「わかりました。ヘンリー様」


「もう一つ確認したいのだが?」


「はい、何でしょう?」


 あれ、ヘンリー様の顔が赤くなった。どうしたのかしら?


「君のだね、お母上は誰なんだろか?いや、私の妻が誰なのか知っておく必要があるじゃないか」


 あっ、お父様照れているのですね?かわいいです。


「お母様は、私を産んですぐに亡くなったそうなので、詳しくは知りません。ただ、お母様の事をイルーシャと呼んでいました」


「イルーシャ?イルーシャ…誰だろう?覚えが無いな」


 私達はこれからの戦略を明日考える事にして、今日は休む事にした。

 

 私が生まれ育ったオコーネル邸は、主人のお父様と一人娘の私と使用人が暮らしていたが、私が地下牢から脱出して帰った時には誰一人いなかった。

 お父様が処刑されて皆逃げたのだろうか?

 皆も連れて行かれて酷い目にあっていたりしなければ良いのだけど…。


 今いるオコーネル邸にはたくさんの使用人がいて、客人である私の世話をしてくれる。

 私は大きな屋敷に人の声がするのをが心地良く、久しぶりにゆっくり寝たのだった。


 次の日私達は王立図書館に行った。


「考えたのだが、未来で先読みした男爵令嬢は、私達が王家に仇なすと言ったのだろう?

それなら王家の誰をターゲットにするか決めなければならない」


と言って、図書館の手続きを済ますと、禁書庫に足を踏み入れた。


「私は公爵家当主だからね。ある程度制限のされた場所にも入る事が許されている」


 ヘンリーはそう言うと、王家に関係した本を調べていった。

 そしてしばらく経った頃、1冊の本を私に見せた。


「[英雄王リチャード1世の回顧録]ですか?

この話なら、歴史の授業や子供の絵本にも出て来る有名なお話ですよね?」


「そう、最初は王家の日記を探したんだが無くてね。

 私の能力を使うには本人の自筆の本が必要なんだ。

 英雄伝のような書物は後世の学者が研究して書いたものだが、この本は当時の役人…しかもリチャード1世の近くにいた人が書いたようなんだ。

 私達が処刑される運命を変えるなら、一番最初のリチャード1世から歴史を知る必要がある。

 この回顧録を書いたハンフリー・イルドという人の話を聞いてみたい」


「えっ、もしかして建国500年の我が国の歴史を変えるんですか?」


「そうだよ。ステラの時空間魔法で私と一緒に建国当時まで飛べるよね?」


「私とヘンリー様の二人ですか?魔力的に足りると思いますけど、魔力がほとんど尽きると思いますよ。それから帰るとしたら、また魔力が満タンになるまで3日はかかります」


「わかった。満タンになるまで3日だね。その3日間安全な所に身を隠しつつ、王家の歴史を変える方法を探そう!」


 そう言うと、ヘンリーは[英雄王リチャード1世の回顧録]を緑の日記帳と同じように魔力で複製すると回顧録を元の棚にもどした。


 それから私達は王立劇場を訪れた。


「500年前に行くとすると、服装が今と違うんだよ。ここの劇場には私も後援していてね。

[リチャード1世]の演目は人気があるから、当時の衣装を忠実に再現しているんだ。

 だから、その衣装を借りようと思うんだ」


 ヘンリーはそう言うと、さっさと支配人に話を通し衣装部に向かった。

 そして、衣装部の責任者に仮面舞踏会でリチャード1世の頃の衣装を使いたいと嘘を言い、男性用の衣装と私には上級侍女の衣装を借りた。


「城の中を女性が歩き回るなら、侍女の服の方が目立たないだろう?」と言って。

 私達は用意を済ませると、魔力を回復させる為に早めに休んだ。


 明日になったら、500年前に時間を遡らなければならない。

 私達の処刑は回避できるのだろうか?

私はいろいろな事を考えつつ眠りについたのだった。



 


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