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ステラマリン公爵令嬢

 私はヘンリー・オコーネル公爵。

魔女ステラが狙ったシャルロット夫人を亡き者にする陰謀は防ぐ事ができた。

 これで魔女ステラが、なぜオコーネル公爵家を狙うのか説明させる事ができる。

 さあ来い!魔女ステラめ!

一切合切全部喋らせてやるぞ!



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 〈魔女ステラ視点、王城にて〉


 「ステラマリン・オコーネル公爵令嬢!お前は

闇の魔法である時空系魔法使いであるのを隠し、

我が王家に仇なさんとした罪、許し難い!

 よって王太子妃内定を取り消し、処刑するものと

する」



「国王陛下!私はたしかに時空系の魔法は持っておりますが、使った事はありません。これから使うつもりもありません!王家に仇なそうとしているというアリス男爵令嬢の言葉は虚言です」


「黙れ!黙れ!アリスが嘘を言っていると言うのか!アリスが言った通り、貴様は闇の魔法使いだったではないか!王家にそれを隠し王太子妃になった暁には、王家に仇なそうとしたのであろう!」


 王太子の言葉にアリス男爵令嬢も加えて言った。


「私の聖なる力で先読みしたのですわ。貴女はこの先、闇の魔法を使って王家を滅ぼそうとするでしょうと。私の先読みに間違いありません。今のうちに闇の魔法使いなど処刑すべきですわ!」


「引っ立て!引っ立てー!この女を処刑するまで

地下牢に入れておくのだ!」



 ああ…なぜこんな事になったのだろう?

1ヵ月前まで、私はムスカ王太子殿下の婚約者という立場だった。

 それが1ヵ月前に聖なる魔法の使い手として現れたアリス男爵令嬢が、王太子殿下の前に現れてから彼も彼の周りも皆、男爵令嬢の言葉を全て信じるようになったのだ。

 お父様が小さい頃から隠しておくように言われていたので、時空系の魔法が使える事は誰にも秘密にしていたのに、なぜ男爵令嬢が知っていたのか…。


 私は収監された地下牢の中で、なぜこうなったのかと考える日々を送っていた。

 そんなある日、地下牢の階段を降りてくる人の姿があった。


「王太子殿下!私を助けに来て下さったのですね」


 階段を降りてきた王太子殿下と護衛兵達は牢の前に立つと中に何かを放り投げた。


「お前の父、ヘンリー・オコーネル公爵の遺髪だ!

あの者も闇の魔法使いという事がアリス男爵令嬢の先読みでわかったのでな。さっき処刑した」


 父公爵と同じ血がこびり付いた銀色の髪の束を手にして、私は絶望という感情を初めて知った。


「お父さまぁぁぁぁぁっ!」


 私はしばらく気を失っていたようだ。

そして、泣いて泣いて泣く涙も無くなったある日、

また階段を降りてくる人がいた。


「あーら、スレラマイン様、思ったよりお元気でしたのねぇ」


 現れたのは、アリス男爵令嬢だった。

私と父を無実の罪に陥れた人。


「貴女はなぜ私達をこのような目に遭わせるのですか?私達は王家に仇なそうなど、これっぽっちも考えおりませんわ!」


「そんな事わかっておりますわよ」


「えっ、わかっているのに何故…」


「貴女は知らないでしょうが、この世界は小説の中の世界なのです。華やかな王宮で繰り広げられる

愛と魔法の物語なんですのよ!」


「何?あなた何言ってるの?ここが小説の中の世界だって言うの?」


「そうなんですの。この小説のヒロインが私。ヒロインの私と王太子殿下との愛の物語を邪魔する悪役令嬢が貴女なの。

貴女は、私達の愛を燃え上がらせるスパイスになるのよ。嬉しいでしょう?」


「私…私とお父様は、そんなふざけたものの為に命を落とすって言うの?ふざけないでっ!!」


「ふざけるも何も、そういうストーリーなんだから仕方ないじゃない。設定では金色の髪に緑の瞳の公爵令嬢が闇の魔法使いで、時空魔法を使って王家に仇なすってなっているんですもの。

 貴女の金髪と緑の瞳を見た時、あっこの人だって思ったのよねぇ。

 だから設定通り処刑されてくださいねっ!」


 怒りのあまり声が出なくなった私を置いて、アリス男爵令嬢は去って行った。


「許さない、許さない、許さない許さない…」


 私は、私とお父様を殺そうとする、この世界を許さない!

 アリス男爵令嬢も王太子殿下も国王陛下も皆許さない!

 絶対に…絶対に全員に復讐してやるわ!


 私はその時初めて禁じられていた時空魔法を使った。

 オコーネル公爵家の執務室に飛ぶ為に。

そこにはお父様の日記帳が置いてある。

 それを持って、当主と夫人しか入る事ができない書庫に入ったのだった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 私は姿を現した魔女ステラから事の顛末を聞いた。

 そうか、彼女は私の娘だったのか。


 周りが全員敵だらけの世界から、時を超えて助けを求めて来た娘に肉親の愛しさを感じ、私は娘を優しく抱きしめていた。

 この時私は決めた!

 



 この父(18才)が、愛しい娘を助けてやるのだと。








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