表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/17

シャルロット・ルグレ侯爵令嬢

 私はヘンリー・オコーネル公爵。

公爵位を継いで、まだ1年も経っていない若造だ。

 公爵家の問題が片付きつつある日、魔女ステラという若い女性が、私の執務室にいきなり姿を現した。

 

 そして、「オコーネル公爵家の血を呪う」と言ったのだ。

 それから、レジーナ・パレス子爵令嬢、マルゲリータ・レトワ伯爵令嬢の2人の日記を利用して、2人の命を奪おうと画策した。

 2人がオコーネル公爵家に嫁がないと、彼女達が産んだ子供は生まれない事になり、子孫である私も生まれて来ない事になってしまう。

 私は「私」を守る為に時属性魔法を使って、緑の表紙の日記帳を作りだし、魔女ステラによって変え

られた運命を元に戻す事にした。

 そして2人の運命は元に戻ったのだが、そこで私はある事に気がついた。

 彼女達の日記を見る為には、オコーネル家当主か夫人しか入る事ができない書庫に入らなければならないのだ。

 なぜ彼女が公爵家の書庫に入れるのか?

私は再び姿を見せた彼女を問い詰めたのだった。


 「それではなぜ書庫に入れるのか答えるつもりは無いと言うのか!」


「まあ、そう青筋立てて怒るものではありません事よ。今は申し上げるわけにはいかないという事ですわ」


「今じゃなかったら、いつなら答えるのだ」


「そうですわねぇ。次のターゲットの女性を守る事ができたらお話しましょうか」


「次は、あなたの10代前のご先祖様になる、シャルロット・ルグレ侯爵令嬢にしますわ。

ではヘンリー様頑張ってくださいませ!」


 魔女ステラはそう言って姿を消した。


 私は書庫に行ってシャルロット・ルグレ嬢の日記を探すと、椅子に座って魔女に書き換えられた箇所を探したのだった。



    9月15日


  食堂で昼食をとっていると、お父様が入っ

  てこられ、「シャルロット喜べ、王立学園

  が、来年から女生徒を入学させると発表し

  たぞ!」とおっしゃった。

  嬉しい!今まで女性は家で家庭教師に習う

  しか学ぶ術が無かったのよ。

  学園に学びたかった女性は皆喜ぶでしょう

  ね。

  仲良しのベリンダやルーシーはこの話を聞

  いたかしら?早速お手紙を書かなくてわ!



    9月16日


  王立学園が女生徒を受け入れる話は、あっ

  という間に街中に伝わったらしい。

  ベリンダとルーシーも試験を受けるって言

  っていたわ。

  家庭教師のバーンズ夫人に伺ったら、私の

  成績なら合格間違い無しですって!

  そう言えば、従兄弟のアーロンが王立学園

  に通っていたわね。

  学園の話が聞けないかしら?

  あっ、地震…。ちょっと揺れただけなんだ

  けど、最近多いわね。

  


    9月17日

 

  アーロンが手紙をくれたわ。

  ちょうど婚約者のベリンダも学園を見学し

  たいと言っていたから、明後日のお休みの

  日に学園を見学しに連れて行ってやるです

  って!

  アーロンも来年の共学が楽しみなのね。

  婚約者と一緒に学園に通えるなんて羨まし

  いわ!



    9月18日


  今日も朝から小さな地震が何回かあった。

  いつも揺れているようで気持ち悪い。

  刺繍をしようと思っていたけど、明日連れ

  て行ってくれるアーロンに渡すクッキーを

  焼いた。

  明日は朝9時に学園の正門前で待ち合わせ

  だわ!楽しみで寝られないかも。



    9月19日

  

  正門前でアーロンとベリンダと待ち合わせ

  て中に入った。

  講義棟を見て、体育館に行く近道を教えて

  やるってアーロンが言って中庭を歩いてい  

  た時に地震があった。

  私達は立っていられなくて座り込んだら

  上から割れた窓ガラスが降ってきた。

  アーロンはとっさに婚約者のベリンダに覆

  い被さって身体中に大怪我を負った。

  私は割れたガラスで顔に深い傷を負ってし

  まった。

  お医者様は、「この顔の傷は一生消えない

  かもしれない」とおっしゃった。


  

 ここで日記は終わっている。

 9月20日に何かあって、彼女は命を落としたのだろうか?

 私は、シャルロット嬢の日記に触れながら魔力を込めて、緑色の表紙の日記帳を作りあげた。

 私は時空系の魔法が使えるので、この緑の日記帳

を確実にシャルロット嬢の元に届ける事ができるの

だ。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 私は朝食の後、部屋で刺繍の続きをしようと部屋に向かって歩いている時に緑の表紙に日記帳と書いてある本を拾ったの。

 あら、誰の日記帳かしら?メイドか小間使いの

ものかしら?落としたのね。

 中を確認して落とし主がわかったら返してあげましょうと思って部屋に入ったわ。



     9月15日


  昼食を食堂でとっていると、お父様が入っ

  てこられ、「シャルロット喜べ、王立学園

  が、来年から女生徒を入学させると発表し

  たぞ!」とおっしゃった。

  嬉しい!女性は家庭教師に家で習うしか術

  が無かったのよ。

  学園に学びたかった女性は皆喜ぶでしょう

  ね。

  仲良しのベリンダやルーシーはこの話を聞

  いたかしら?早速お手紙を書かなくてわ!



 あら、9月15日って明日じゃない。

えっ、王立学園が女生徒を受け入れるの!

こんなお話聞いた事が無いわよ。

 でもシャルロットって私の名前が書いてあるわ。

この日記帳はいったい誰の日記帳なのかしら?

 まさか明日の昼食の時にこれと同じ事が起きるとか?




 何て事かしら!この日記帳は私の未来が書かれた日記帳だわ!

 昼食に行ったら、お父様が王立学園に女生徒を

入学させる事になったっておっしゃったの!

すごいわ!

 王立学園に女生徒が入学できるのも嬉しいけど、この日記帳があれば、私の未来がわかるのよ!

ベリンダとルーシーに教えてあげなくてわ。

あっ、だけど誰も未来が書かれた日記帳なんて信じてもらえないわ!

 とりあえず、王立学園に女生徒が入学できるようになった話だけお手紙に書いて送ってみましょう。


     9月16日


  王立学園が女生徒を受け入れる話は、あっ

  という間に街中に伝わったらしい。

  ベリンダとルーシーも試験を受けるって言

  っていたわ。

  家庭教師のバーンズ夫人に伺ったら、私の

  成績なら合格間違い無しですって!

  そう言えば、従兄弟のアーロンが王立学園

  に通っていたわね。

  学園の話が聞けないかしら?

  あっ、地震…。ちょっと揺れただけなんだ

  けど、最近多いわね。

  


 まあ、ベリンダとルーシーも試験を受けるのね。

バーンズ夫人が合格間違い無しって言ってくださるの?嬉しいけど受験する女性が多いだろうから大丈夫かわからないわ。もっと頑張らないと!

 そういえば従兄弟のアーロンに見学に連れて行ってもらうというのもあるわね。


     9月17日

 

  アーロンが手紙をくれたわ。

  ちょうど婚約者のベリンダも学園を見学し

  たいと言っていたから、明後日のお休みの

  日に学園を見学しに連れて行ってやるです

  って!

  アーロンも来年の共学が楽しみなのね。

  婚約者と一緒に学園に通えるなんて羨まし

  いわ!




 ふふっ、アーロンも動くのが早いわね。

あの2人は婚約者になって長いし、仲が良いのよ。

3人で行ったら当てられるかもね。

 でも学園の中を見る事ができる機会を逃したくないわ。

 今回は我慢して連れて行ってもらいましょう。



   

    9月18日


  今日も朝から小さな地震が何回かあった。

  いつも揺れているようで気持ち悪い。

  刺繍をしようと思っていたけど、明日連れ

  て行ってくれるアーロンに渡すクッキーを

  焼いた。

  明日は朝9時に学園の正門前で待ち合わせ

  だわ!楽しみで寝られないかも。



 まあ、明日も地震で度々揺れるのね。

確かに刺繍よりクッキーを焼いた方が良さそうだわ。

 マリー叔母様はベリーの入ったクッキーがお好きだから、アーロンの好きなナッツのクッキーと2種類焼こうかしら。



     9月19日

  

  正門前でアーロンとベリンダと待ち合わせ

  て中に入った。

  講義棟を見て、体育館に行く近道を教えて

  やるってアーロンが言って中庭を歩いてい  

  た時に大きな地震があった。

  私達は立っていられなくて座り込んだら

  上から割れた窓ガラスが降ってきた。

  アーロンはとっさに婚約者のベリンダに覆

  い被さって身体中に大怪我を負った。

  私は割れたガラスで顔に深い傷を負ってし

  まった。

  お医者様が、「この顔の傷は一生消えない

  かもしれない」とおっしゃった。



 まあ、何て事!明日こんな大変な事が起こるなん

て!

 どうしたら良いのかしら…

アーロンにこの事を伝える?私は未来に起こる事を

知っているって!

 でもこの日記の通り地震が起こらなかったら?

大騒ぎして、その上何も無かったら、私は嘘付きって呼ばれるかも。そんなの嫌だわ。

 そうだ、明日は急病で行かれなくなった事にしましょう。

 そうしたら誰も休みの学園に行かないから怪我を

する事も無いわ!



     9月20日


 昨日の地震は、学園のある埋め立て地が被害か大きかったみたい。お城や貴族の屋敷のある所は地盤が固いから被害が少なかったって言っていたわ。

 学園がちょうどお休みの日だったから誰も怪我をする人がいなくて良かったわ。

 学園の見学はまたいつでもできるもの。



 私が9月20日の日記を書いた所で、ふと気がついた時には緑色の表紙の日記帳が消えていたわ。

 あの日記帳のおかげで私は救われた。

神様が授けてくださったのかもしれないわ。

神に感謝を!



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ふう、終わった」


 私の元に返ってきた日記帳を消すと、私は書庫を

出た。

 いろいろ考えているのだが、何かピースが足りない気がするのだ。


 私はふと思いついて、図書室の隣にあるギャラリーに足を向けた。

 ここには、代々の当主と妻の肖像画が飾られているのだ。


「レジーナ夫人、金色の髪と緑の瞳の美人だな」


「マルゲリータ夫人…彼女も金色の髪に緑の瞳」


「シャルロット夫人…彼女もか!金色の髪に緑色の瞳。これは魔女ステラの指名に関係があるのだろうか?」



 ギャラリーで肖像画を前に、ヘンリーは一人考え込んだのだった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ