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運命は私を手荒に弄ぶ

 長いようで短かったこの物語もこれで完結です。

 運命に弄ばれたヘンリーとイルーシャ、それにステラマリンに幸せが訪れるのか?どうか見届けて下さい!

 私とイルーシャは、アレックスとその妻へ公爵家の仕事を引き継いだ。

 いきなり引き継ぎを早めたので、アレックスは不審そうな顔をしていたが、イルーシャの体調が悪くなる前に領地に帰って隠居生活をしたいと言ったら納得してくれた。

 前に描いた2人の肖像画もギャラリーに飾った。

 引き継ぎを終えた私達にもう思い残す事は無かった。


「さあ行くよ、イルーシャ。私の日記を作る魔法で私達を包み込む。そしてステラマリンの元に行くんだ。君の魔力も私に注いでおくれ」


 イルーシャと手を繋いで魔力を注いでもらいながら、私は日記を作るように魔力で私達を包み込んだ。



  ステラマリンの元へ!



 私達の姿がその場所から消えた。


 真っ暗な時間の狭間にステラマリンはいた。

 その姿が見えた時には安堵すると共に、こんな暗い孤独な空間で、一人でよく耐えたと驚かずにいられなかった。

 私達はステラマリンを抱きしめた。


「遅くなってすまないステラマリン。もう君と離れる事は無いよ」


 ステラマリンは涙を流しながら頷いた。


「さあ、次はここから現実世界に帰らなければならない。

 全員が生命力を全て魔力に変換するんだよ。

そうしたら私の魔法で皆を包み込むからね。

 目的地には、過去の私が王都を一望できる丘で待っているはずだ。

 過去に着いたら、魔力を使い果たして私達は消えるだろう。

 しかしこの空間を抜けたら次の転生が果たせるかもしれない。

 またどこかの世界で私達は家族になりたいものだな」


「ええ、次の世界では、またお父様とお母様の娘になりたいです」


 ステラマリンの言葉に私とイルーシャは微笑んだ。


 私達は生命力を全て魔力に変換した。

私はそれで3人を魔法で包み込み、王都が見える丘で待っている過去の自分を目的地にして飛んだ。


 

(過去のヘンリー.オコーネル視点)


 昨日突然現れた緑の表紙の日記には、未来の私からの願いが書かれていた。

 「前に3人で行った王都が一望できる丘で待っていて欲しい」と。

 昨日生まれた子供は男の子だった。

私とイルーシャの間に最初に生まれるはずだったステラマリンはどこへ行ってしまったのか?

 昨日は、私もイルーシャも混乱の極みにいた。

 そこへあの緑の日記帳が現れたのだ。

 未来の自分から来た緑の日記帳。未来の自分からのメッセージ。

 私は王都が一望できる丘に向かったのだった。


 晴れた青空の下、今日も見下ろす王都の眺めは美しい。

私が周りの景色を眺めていると、突然それは現れた。


 ステラマリンを抱きしめる年を取ったイルーシャと、二人を愛おしそうに抱く老人の私がいた。


 老人の私は「ありがとう」と口を動かした。


 そして3人の姿はキラキラと光ながらその姿を消したのだった。

 私は幸せそうな3人の姿を見送って、今はこの事はイルーシャに話さないでおこうと思った。

 イルーシャに話して歴史を変え、あの幸せな結末が変わってはならないと思ったのだ。

 このまま身を時間に任せようと決意し、私は丘を後にした。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 私の名前は広川アリス。都内の私立の女子校の高等部2年生。

 母親の趣味でキラキラネームって言うのを付けられたけど、黒目、黒髪の生粋の日本人よ。

 


 私は今、「王国の真実の愛を見つけて」というタイトルのネット配信小説にハマっているの。

 この小説はヒロインに自分の名前を登録したら、登録した名前のヒロインが王太子様と恋愛するという学園恋愛小説なの。

 マルゲード王国の王都サンシルトを舞台にして、私は男爵令嬢のアリスとして登場したわ。

 そして悪役令嬢のステラマリン.オコーネル公爵令嬢を断罪して、晴れてムスカ王太子と結ばれるというストーリーだったんだけど、先週の配信で牢獄に囚われた公爵令嬢をなじりに行った所で配信がストップしてしまったの。

 あとで配信している会社の社長が脱税で捕まったとか何とかネットニュースで流れたけど、この先の配信はどうなるのかしら?

 これから王太子様と愛を育んで行く良い所なんだからどうにかして欲しいわ!


 

 あら、前を歩いている方は、転校生のステラマリンさんじゃないの!

 下校のチャイムが鳴って、校舎から正門に向かっていた私の前に、全校で今話題の転校生の姿が見えたわ。

 流れるような金髪で緑の瞳のとっても綺麗な方なのよね。

 あの品の良さなんか王女様って言われても信じるわよ。憧れるわ〜!

 あっ、学校前に駐まっている高級外車から誰か出て来て彼女に話しかけているわ。たぶんご両親ね。

 お父様は外交官でいらっしゃって、お母様はどこかの国の王族の血を引いているらしいって友達が言っていたけど、あの品のある物腰…。ホントすてきだわ。

 あんなステキなご両親の子供に生まれたら幸せよね〜。


「遅くなってごめんなさい、お父様。向こうに着いたら急いで着替えますわ」


「いや、早めに出たからまだ大丈夫だよ。サロンの方で着替えて髪を整えたらパーティーには充分間に合うだろう。さあ乗りなさい」


 運転手が開けたドアから3人が優雅な動作で車に乗り込むと、運転手は車を発進させた。

 その様子を周りにいた生徒達は、全員憧れの眼差しで見ていたのだった。


 









 最初にラストを思いついたから書き始めたと書きましたが、途中で二転三転…十転くらいするくらい悩んで決まったラストでした。

 まさかの逆転生になってしまいましたが、どうにかハッピーエンド?にもって行けて良かったです(笑)


 最後まで読んでくださってありがとうございました!


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