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繰り返される運命

 イルーシャ王女は隠し部屋に押し込められて、部屋にヘンリーとステラマリンがいる事に気がついた。


「まあ、あなた方もいらっしゃったのですね。こちらから城を抜ける隠し通路があるのです。付いていらして下さいませ」


 イルーシャは絨毯を剥ぎ階段の入り口を開けると、

王族が使う隠し通路に2人を誘導した。

 隠し通路から出た所は、城の敷地内にある使われていない離宮の庭だった。

 ここなら人目につく事は無いだろうと3人は安堵した。


 月明かりしか無いが、風は暖かく震える心配は無い。

 彼らは水が無い噴水の縁に腰掛けた。


「率直に伺いますね。ステラマリン様は未来からいらっしゃった私の娘で、オコーネル卿が私の夫でしょうか?」


 イルーシャ王女の言葉にヘンリーとステラマリンは驚いた。


「どうしてそのように思われたのでしょう?」


「ステラマリン様が私…というより私の母にそっくりなのです。

 私も母に似ていると言われましたが、ステラマリン様の方がもっと似ておられるのです。

 実はステラマリンという名前も母と同じなのですよ」


「私の名前がですか?」


「ええ、母はオコーネル公国の貴族の生まれなのですが、父は子供のの頃身体が弱く、オコーネル公国に療養に行った時に2人は出会ったそうなのです。

 オコーネル公国では、ステラマリンという名前は

(未来を切り拓く娘)という意味があると母から聞いています。

 ですから500年後から来られたステラマリン様は、私の娘ではないかと考えたのです」


「未来を切り拓く娘ですか…。

でも私は今17才です。自分より年上の娘なんて嫌じゃないですか?」


「そんな事はありませんわ!

 だって私が500年後に行ったからこそ、貴女が産まれたのでしょう?

 むしろ貴女のような強くて美しい娘がいる事を誇りに思いますわ」


「でもっ!でもっ!母は私を産んですぐに亡くなるのてすよ!

 私を産まなければ、もっと長く生きられたかもしれないのに!

 お父様と長く幸せな暮らしができたかもしれないのに!」


 ステラマリンは自分の胸の内に秘めていた気持ちを泣きながら吐き出した。


「ステラマリン、未来の私は君が産まれた事で君が母を殺したと言うのかな?」


「いいえ、お父様は私に恨み言なんて一言もおっしゃいませんでしたわ。

 かわいい私の娘と言ってとても大事に育てて下さいました」


 ヘンリーとイルーシャ王女は顔を見合わせて頷くとこう言った。


「未来の私達は貴女という娘が生まれて、とても嬉しかったと思うのよ。

 私が早く死ぬとわかっていても私はまた同じ事をすると思うわ。

 でも、あなたには随分辛い思いをさせたのでしょうね?

ごめんなさい、ステラマリン…」


 イルーシャ王女は私の身体を抱いてそう言った。

 私は父にも、そして母にも愛されていたのだ。

 そうわかって私は涙が止まらなかった。


 しばらく経って泣く涙も枯れてきた頃、「クシュン!」とステラマリンはクシャミをした。


「そういえば冷えてきたね。そろそろ未来に帰ろうか?」


「そうですわね。私未来に行くのがとても楽しみなんです。

 本当なら明日は48才のおじさんと結婚する所だったんですよ!

 毎日嫌で嫌で泣き暮らしていましたわ!」


 イルーシャ王女の言葉に皆は吹き出して笑った。

 そうだ、私達が過去に来たからイルーシャ王女を救う事ができたのだ。皆で胸を張って未来に帰ろう!


 私達はしっかりと3人で手を繋いだ。

私は500年後のオコーネル公爵邸を思い浮かべながら魔力を込めた。


 そうして500年前の世界から私達の姿が消えた。



 未来に帰る為に時空を飛んでいた私達だったが、

しばらくすると飛ぶ速度が急速に落ちてきた。


「どうしましょう。魔力が急に無くなってきました」


 「何だって?」 ステラマリンの言葉にヘンリーは驚いた。

 ステラマリンの魔力が回復していない分をイルーシャ王女が2人分提供しているから、3人分はあるはずなのになぜだ?


「あの…私が昨日馬鹿な事で悩んで睡眠を取らなかったから、魔力が1人分に足りなかったのかもしれません。どうしましょう私、何て事を…」


 このまま魔力が足りず失速すると、時空間の間から抜け出せずに、永遠にこの闇の中を彷徨う事になってしまう。


 そこへイルーシャ王女が言った。


「私の生命力を魔力に変換しましょう!そうすれば

魔力が補えますわ!」


「しかしそんな事をしたら、貴女の寿命が早く尽きてしまう!」


 この言葉で3人は同時に悟った。

 きっと前にも同じ事が起こったのだ。

 イルーシャ王女が生命力を魔力に変換して私達は500年後に帰る事ができた。

 しかしここで生命力を大幅に減らしたから、ステラマリンを産み落として、すぐにイルーシャ王女は命を落としたのだ。


「そんなっ!そんなの嫌よっ!お母様と初めてお会いできたのに…」


 いったいどうしたら良いんだ…

 生命力を魔力に変換し始めたイルーシャを見ながらヘンリーは途方に暮れた。








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