表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/17

父と娘

本日2回目の投稿です。


 私はその晩夢を見た。

アリス男爵令嬢とムスカ王太子が私を断罪する場面の夢を。

 そして地下牢で牢屋の中にお父様の銀色の髪が投げ込まれた場面を。

 あのお父様の銀色の髪には、赤黒い血がびっしりとこびりついていた。


「ああっ!お父様!!!」


 泣きながら飛び起きた私の目に入ったのは、知らない天井と落ち着いた内装の客室だった。

 ああそうか、私は500年前の世界に来ているのか…。

 悪夢を見たせいで汗をかいた私は、洗面台で顔を洗った。

 目がすっかり覚めてしまったので目の前の鏡を見た。

長い金髪にパッチリした大きな緑の瞳。

形の良い鼻とぷっくりした可愛い唇。

 私とそっくりだと言われたイルーシャ王女に明日会う事になっている。

本当に私のお母様なのだろうか?


 私はお母様の記憶が無い。お母様は、私を産んですぐに亡くなったと聞いている。

 それから乳母に育てられた私は、公爵家当主として忙しく働くお父様とあまり会えなかった。

 私は乳母や使用人のおかげで病気もせず、欲しい物は全部与えられたが、いつも寂しかった。

 そんな生活に苛立って癇癪を起こした事も何度もある。

そんな私を見て、親戚からは後添えをもらったらどうだとお父様は度々言われていた。

でもお父様はいつもきっぱり断っておられた。


「オコーネル公爵家の継子はステラマリンだ!

だから後妻をもらうつもりも男子の養子をもらうつもりも無い!帰ってくれ!」


 私を継子にと言うお父様の言葉が嬉しくて、私はそれから癇癪を起こすのをやめた。

そして、勉強を真面目に取り組むようになったのだ。

 お父様が領地の視察に行かれる時は一緒に付いて行った。

そこでたくさんの領民と話をして、領地の特産物を商品にできないかいろいろ考えたりした。

 私はオコーネル公爵家の継子として恥ずかしくない子供になりたい!と一生懸命に頑張ったのだ。


 しかし、頑張り過ぎて逆に王家に目をつけられてしまった。

 怠け癖があって王太子としての資質に欠けると言われていたムスカ王子の妃として優秀なステラマリン嬢はどうか?という話が出てきてしまったのだ。 

 王家が相手では断りきれず私はなりたくも無かった王太子の婚約者になった。


 オコーネル公爵家の後継者は親戚の中から選ばれる事になり、私がお父様の視察に付いて行く事も無くなった。

 私はお父様の側に居たかったのに失敗したのだ。


 「お母様が生きておられたら私もお父様も寂しい思いをする事も無かったのに…」


あの寂しかった時、お父様と私は二人で一緒にすごした。

あの時間は今でもかけがえのない思い出だ。

 私を大事そうに見つめて頭を撫でてくれたお父様。

 お父様が処刑されてオコーネル公爵邸に飛んだ時、何の音もしない無人の邸が恐ろしかった。

 若い頃のお父様に会って、すぐに私を娘だと言ってくれたお父様。

まさか信じてもらえるとは思っていなかったから本当に嬉しかった。

 お父様大好き!何もしないで亡くなったお母様なんか大嫌いよ!

 お父様とお母様が出会わなかったら私が生まれないのはわかっているけど、あんなに寂しい思いはもう嫌だわ!

 ベッドの上で寝返りを繰り返しながら、私は思考の沼にはまってしまった。


 そういえば、明日会うイルーシャ王女殿下に何と言えば良いのだろう?

貴女は私のお母様ですって?

いいえ、イルーシャ王女は16才なのよ!

自分より年上の娘なんておかしいわ!

 お父様だってイルーシャ王女の名前を聞いても全然反応なさらなかったのですもの。たぶん気がついておられない…。

明日はお母様だと思っても態度に出さないようにしなければ…。


何かいろいろ考えたら頭が混乱してきたわ。

早く寝て魔力を回復させなければいけないのに…。



 





 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ