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プロローグ







俺はいつも運が無かった。

3歩歩けば鳥の糞が落ちてきたり、犬のフンを踏むことなんて日常茶飯事だった。

車に轢かれそうになった事や銀行強盗の巻き込まれ、虐められることも、それを無視して教師から助けられなかった事もなど日常茶飯事だった。

一体俺が何をした、何が悪い?など、何回神様に訴えただろう。





いつも通り運の悪い1日を過ごし、学校から帰路へ経つ。こんな運の悪い俺でも唯一の楽しみがあった。それは──近所のビデオ屋さんに行くことだった。

そこは、あまり新作の映画や流行りのアニメや漫画など無く、マイナーな物ばかりである。なので同じ学校の人達が来るはずも無く、唯一の俺の居場所と言っても過言ではなかった。



俺が何も考えず、只只目に付いた物を物色していると不意に肩を軽く叩かれた──


「おや、あおいくん、珍しいね。今日来るなんて。」


店内の少しオレンジがかっており、優しくどこか暖かい雰囲気の、このお店に相応しいような、優しいおじいさんが俺に話しかけてくる。このおじいさんはこのお店の店長で、いつも俺の愚痴を聞いてくれたり、俺が中学1年生の頃からお世話になっている。まぁ、結構年寄りなはずなのに、全然おじいさんぽくない言葉遣いで、どちらかというとお姉さんぽい口調が少し気になるが・・・そこは触れないでおこう。



「えぇ、まあ。いつもは金曜日なんですけど、明日用事があって・・・」

「へぇ。あの葵くんが用事なんて。成長したもんだね。」


軽く愛想笑いをした後、俺は今日も今週の愚痴を言った。日々の運の悪さや虐められた話。こんな話など、聞きたい人はいないはずなのに、おじいさんは素直に相槌を打ちながら聞いてくれる。俺はこの一時が本当に大切だと思う反面、何故か心が苦しかった。


「俺、明日自殺しようと思うんです・・・・・・・・」


そう、俺は明日自殺しようと考えていた。

いきなりこうゆう事を言うのは不躾かもしれないが、俺が言うと、おじいさんは少し驚いた反面、何故か納得したような表情をしていた。まぁ、客人からそんな事を言われてもそうなるだろうと、我ながら自嘲した。

すると、おじいさんが俺の肩に手を置き・・・・・・


「なら、君はこの世界に未練はないの?」


俺は只只頷き、下を向いた。『世界ってなんだよ』ってツッコミたくなるが、あえて言うなら、俺はこの世界に未練などない。






『どうせならどこか遠くの世界に逃げたい。』






そう呟くと、さっきまでの本だらけの景色が一瞬で変わった。ここはどこか、何が起きた。などの不安や恐怖の感情が一気に押し寄せてくる。






「────おーーーーーーい!葵くーーーーん!こっちこっち!」



遠くの方から誰かに呼ばれた気がし、その方向へ行ってみる。すると、全然知らないお姉さんが立っていた。


「えっと・・・・・・誰ですか?」

「はははは。この姿じゃあ分からないか。なら──えい!」

「ええぇ!ビデオ屋のおじいさん!?でも、ビデオ屋のおじいさんはお姉さんじゃないし・・・でもお姉さんからおじいさんに変身したし・・・・・・え?どういう事?」

「んーとね、私はずっと葵くんの事見てて、たまーにおじいさんに変身して葵くんと接触してみたんだ。まぁ、お察しの通り、神だよ。」


・・・・・・・・・・・・ええええええええええええ!?いや分かんねぇよ。なんだよ神って!意味わから・・・・・・え、もしかしてこれって───


「そうそう。葵くんの世界で流行ってる異世界系と同じだね。まぁ、君が本当に異世界転移するとは限らないんだけど。」


なるほど、俺は今神様と対面している・・・つまり、ここは天国みたいな所で会話しているということか。てことは、もしかして──


「じゃあ俺は1回死んだって事ですか、?」

「死んではいないよ。でも、もう地球に戻ることはできないかな。」


なるほど、まじか。まさかの異世界転移系とは・・・しかし、俺の人生何もいい事が無かったし、明日死のうと思っていたから、逆に良かったのかもしれない。なりより、運だって──


「実は葵くんに謝らなければならない事があるんじゃよ。」

「謝らなければいけない事?」

「そう。実は、葵くんの運の事なんだけど・・・実は君の今世の運を来世の分に回しちゃったんだ。ごめんね。」


とんでもない事を聞き、焦りや悲しみなどの感情が心の奥底から湧き出てくる。

しかし、何故か分からないが不思議と怒りの感情は無かった。割り切っていたというのもあるし、今さら後悔しても俺ではどうにもできないと分かっていたからだ。


そしてなにより───


「俺が何か悪いことをしたのか、前世で何かやらかしたのかと思っていたので、逆に何故運が悪いか知れて良かったです。神様は謝らないでください。」

「葵くん・・・・・・・・・」


神様はもう一度頭を下げ、瞳に少し潤いがあったのが見えた。そこにはあまり触れないようにし、頭を上げるよう言った。


「ありがとう、葵くん・・・・・・・君には次の世界では幸せになって欲しい。」

「それって・・・・」


「うん、葵くんは異世界に行ってもらうよ。」


やはり、俺は異世界に行く事になった。不安はあるが、幸せになりたい。


「葵くんの運は異世界に行く時に、地球にいた時の運+異世界での運を与えておくね。そしたら君は超がつくほどの運がいい子になるよ!」

「ありがとうございます。頑張りますね。」


そうして、俺は異世界にいく事が決定し、神様に俺が行く異世界の事を色々聞いた。

様々な人種がいる事や魔法が使える事。魔物や魔人などの脅威な存在がいる事、『奴隷制』がある事など・・・他にも様々な事を聞いた。

俺には程遠い奴隷制などは詳しくは聞かなかったが、俺が行く異世界はとても楽しい所らしく、今からでも少し気分が高揚している。


「それじゃあ、葵くん。お別れの時間だね。」

「はい。少しの時間でしたが、ありがとうございました。」

「こちらこそ・・・あ、忘れてた。最後にお詫びとして、君にスキルをあげる。」

「スキル・・・・・・?」

「そうそう。きっと君の役に立つよ。スキルの確認は異世界に行ってから確認してね。」

「分かりました。ありがとうございます。」

「いえいえ。じゃあ、本当のお別れだね。私はずっと君を見ているから、幸せに生きてね。あなたの行く都市。『トラント王国』も気に入ると思う。ではでは!」












神様から見送られ、俺はトラント王国に転移された。周りは草原で、そよ風がとても気持ちいい。

特に何も無く、神様が言っていた魔物や魔人などの姿は見当たらなく、人も動物も見当たらなかった。とりあえず俺は人を見つけることにし、どこか泊まれる所を確保することにした。


「おっと、その前に・・・神様がくれたスキルを確認するか!」


といっても、どうやって確認するのだろうか。無難にステータスオープンとかか?

『ブォン』


「うわぇ!ビックリしたー・・・無難にも程がないか?」


と言いながらも気に入っている俺に少し自嘲気味に笑った。


「よし、スキルを確認するか────」


『ステータス』

名前:西垣 葵

性別:男

Lv :1/∞

技能:ユニークスキル【絶対賢者】

加護:地球神の加護

称号:人外の運

魔法:なし




「神様がくれたスキルは【絶対賢者】か・・・・・・んーわからん。多分強い!後は・・・人外の運って……?」





───こうして、西垣 葵の波乱万丈な異世界転生が始まるのであった─────



こんばんは。ツナマヨです。

実は、悪役令嬢系は書いたことがないので、今回書ける事になり、とても嬉しいです!

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