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自殺志願者と夜の狩人

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳ございません。


注意事項2

恋愛ではないですが、結構際どいシーンあります。

色ボケシーン苦手な方はご注意下さい。


注意事項3

決して病気の方々を馬鹿にしている訳ではありません。

ご病気の方々、ご自愛ください。

くたばって欲しいと思った。この骨髄由来の、悪さをする生き血が本当に憎らしい。お前がもっとまともに機能していれば、誰かに迷惑かけることもなかった。必死になって頭下げあと、『良いんだよ』『気にしないで』って言われることもなかった。あぁ、本当に死んでしまいたい。こんなに迷惑をかけるくらいなら。

そんな世迷言を垂れながらの病院帰り。日はとっぷり暮れていて、宵の空気が世界を支配していた。隣りには周りに誰もいない。居るのは私一人。なんだかとっても憂さ晴らしをしたくなって、横を流れる川に目をやった。

透き通るような青。この天井を覆う空と同じ色。良い色だ。お前にそっと抱かれて死ねるのなら、悪くないかも知れない。そう思って、夢見るように柵に脚をかけた時だった。何かが腰に巻きついた。それは私の行動を制止するように、歩道側へと引き込んでいく。

「やぁ、こんな所で死ぬなんて勿体ない。死ぬならもっとその体を有効活用しようよ」

酷く艶のある声だった。女の耳を蕩かすよう低いテノールは、鼓膜をそろっとくすぐって、脳まで届く。平常時だったら、も一つ可愛らしい反応をしていたかも知れない。でも今は違う。

「何か用です?」

苛立ちのままに振り返ると長身の麗人が後ろから抱き締めていた。

左右均等のとれた美白な小顔。白の踝まであるロングヘア。黒の礼装はその月光に輝く白髪に反し、闇を模したような黒だった。一目で悟った。あぁ、この人、キリスト教関係の人だと。私は気だるく後ろを振り返ると、頭を掻き乱す。あまりに機嫌は宜しくない。

「どうせ死ぬのなら、気持ちよく死なせてあげる。その血、私にちょうだい?」

そう言ってちろりと舌なめずり。象牙色に輝く犬歯が剥き出しとなる。先程までの聖職者の皮が剥がれ、狩人がそこにいた。こんなにも綺麗なのに、こんなにも獰猛。

「構いませんよ」

私はその声を受けて、肩口の襟を引きちぎって、デコルテを晒した。勢い余って胸元まで裂けてしまったが、そこはご愛嬌。どうせ死ぬんだし、後悔もない。それにどうせなら、綺麗な人の手で死にたい。

「でも美味しくないと思いますよ? 白血球と血小板が異常値出てる。骨髄の病気なんだそうで」

「それは私が決めることであって、君が決める事じゃない」

そう言うと、彼はその綺麗な犬歯をずぷりと項に押し付けた。今日刺された注射針よりも太く、肉にくい込んでくる。でも痛くはない。ただただ気持ちがいい。酩酊感が体を巡回して、気をやる程に熱くなる。

「あぅ……ん」

「ちゅ……ん…………ぁう。ん」

彼の色っぽい声も相まって、心臓部に熱が灯る。熱くて、蕩けそうで、気持ちが……良い。そうやって心地のいい波に任せて意識を眩ませた。


「私は好きだけどな。この血。人間間では不評なのか」

吸血鬼は冷たくなった女をかいなに抱きながら、裂けた胸元に顔を埋める。生き血全て抜けきっても、肉の柔らかさは変わらず。

獲物だった彼女をそっと冷たい地面に横たえると、髪をひと撫でする。愛すべきものにするように。それから常世の闇に姿を眩ませた。

言いたいこと、元ネタ、いっぱいあります。

とりあえず、健康診断の結果は嘗めちゃいけないって事が分かりました。


そして思いついたのがこの物語。

並んだ試験管が今でも忘れられません。

そんなに吸うのぉ!?って気分になりました。

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