09:アンドロイド制作
異世界生活一日目!
今日は、何と何も知らされずに異世界に飛ばされてしまいました! いきなり飛ばされたのでビックリしました! でも異世界に来れたのはとても楽しかったです!
突然異世界交流ゲーム? に参加させられてビックリしました! でも楽しそうなので良かったです!
家とか畑とかゴーレムとか作れたので、面白かったです!
明日も頑張りたいと思います!
☆
「これでよし」
小学生みたいな日記を異世界交流ゲームの白紙のページに書き終えた俺は、座椅子の背もたれにもたれかかった。
夜に起きた俺は徹夜をしているが全く眠くならずに朝日が昇ってくるまで作業をしていた。朝日が昇ってきたら一日の締めくくりとして一日目の日記を書いたところだ。
ステータスのせいか俺が六時間以上寝たせいか分からないが、とにかく一切の睡魔が襲ってこなかったからこうして徹夜? をすることができた。
さて、俺が準備できる日数は残り六日間。その間に絶対にやりたいことが二つ、いや三つほどこの徹夜の間に考えていた。
一つ目はもちろん今でも俺の部屋で作っている途中のアンドロイド作成を完成させること。これを完成させれば人間として限界がある俺を補ってくれる存在になる。
二つ目は俺の世界の神、女神アテナを祀る神殿を作ることだ。この異世界交流ゲームの抜け道、というかおそらく意図して作り出したルールがある。
異世界交流ゲーム、ルールその八、『参加者には自身の世界の神を崇拝するための神殿を作る権利がある』というものと、ルールその四、『参加者は参加者および食材となる生物以外を攻撃、または侵略を行ってはならない。ただし攻撃を受けた場合はその限りではない』という二つのルールだ。
その八については、神殿を作る権利と言っているところからまずおかしい。こんなもの権利じゃなくても作るやつは作るし、作ってほしいのなら義務と言うはずだ。
おそらく、まぁ合っているとは思うが、ルールその四と合わされば、参加者の攻撃や侵略はいいけど、神を祀る神殿は参加者のためではなく神のためのものだから、攻撃や侵略をすればルール違反になるんだろうな。
つまりは意図的にセイフティーエリアをルールによって保障されているわけだ。それはそれは随分と優しいことで。
まぁセイフティーエリアが作れるのなら作るのに越したことはないから作ることにした。
そして三つ目は、まぁこれは間に合わないと思うしこの六日間で目指すことではないと思うが、時間があれば城塞のようなものを各地に作り出しておく。
本当にこれは時間が六日間じゃ足りないと思うし、それを運用するのならアンドロイド制作をしなければ始まらない。だから実質二つということか。
とりあえずは今のステータスを確認しておくぅ。
『真名:高森幸人 レベル:28
職業:賢者、木こり、仕立屋、料理人、農民、鍛冶屋、科学者、大工、錬金術師、漁師、薬師
攻撃:1413
耐久:513
速度:281
至妙:2061
体力:781(779/781)
魔力:6901(6009/6901)
魔攻:1561
魔防:6601
スキル
言語理解、スキルリライト、スキルクリエイト、スキルスティール、スキルブレイク、スキルキャンセル、スキル玄人、時間操作、ワープゲート、千里眼、初級魔法:火、初級魔法:水、初級魔法:木、初級魔法:大地、初級魔法:風、初級魔法:雷、初級魔法:闇、初級魔法:光、初級魔法:氷、初級魔法:霧、初級魔法:使役、完全記憶能力、脳内処理速度強化、並行思考能力、思考加速、アカシックレコード、取捨選択、感知結界、守護結界、移動結界、魔力栄養補給、伐採王、豪腕Lv3、製糸、器用Lv3、道具マスター、超味覚、魔力栄養、魔力品種改良、熱耐性、鍛冶空間、元素生成、元素配合、元素操作、事象解析、念力、人体改造、魔力強化、魔法無効化、精神異常無効化、催眠、言霊、魔防透過、心眼、虚言、発言力、好感度メーター、自由歩行、透明化、気配遮断、気配浸透、気配察知、視線誘導、視力強化、動体視力強化、超嗅覚、超聴覚、フェロモン、誠心誠意、親切選択肢、好感度上昇ブースト、異性状態異常確認、状態異常操作、種創成、網作成、釣竿作成、漁船作成』
ステータスのスキル一覧は少しだけ移動させたが、まだまだ整理することができそうだ。それはまた追々することにする。
それにしてもステータスの数値がどれくらいで高いのか、どれくらいで低いのかがイマイチ理解できていない。そういう時はアカシックレコードせんせーい!
……ほむほむ、まぁその世界によってステータス値の水準が違うらしいが、大体の数値はたたき出すことができた。
1~50 子供
51~100 青年
101~500 大人
501~1000 一般兵
1001~2000 秀才
2001~5000 英雄
数値化するとこれくらいか。進むにつれて数値の幅が広がるのはそれだけバラつきがあるからだから仕方がない。
それにしても、俺の初期の数値はどういうことなんだ? 何でオール1だったんだ? 俺はこれでも青年だぜ? 低すぎるにもほどがあるだろう。
オール1は赤子レベルだと思うから、意図的に俺のステータスがオール1になっていたのか。それも『超絶不幸』のせいなのか、今は気にしても意味がないか。
さてさて、アンドロイド制作か神殿造りか。どちらを先にするか。効率を考えれば、まず間違いなくアンドロイド制作の方だろうな。
俺が今作り出そうとしているアンドロイドは武装が装備できて空も飛べ、怪力もついている超人だ。それに加えて自身で考えてくれるのだから、神殿造りをやっている時にそれを手伝ってくれるか、他のこと、作物エリアのことをしてくれるはずだ。
……あー、今アンドロイド制作について先生から情報を貰っていると、『テレパシー』というスキルが便利だと言われた。
文字通り、相手と念話ができるスキルだが、ネットワークに繋がれているアンドロイドなら必要ないが、ここはネットワークがない場所だ。だから俺がアカシックレコード先生から受けた情報をそのままアンドロイドに渡せるようになる。
それを俺が口にしても伝わるが、テレパシーの方が一瞬で相手に情報を渡せるから、テレパシーの方が便利だ。
「一万か……」
スキルクリエイトがあるから、テレパシーのスキルを作ることができるがそのためには一万の魔力が必要になってくる。
俺の今の魔力はマックスで6901だから、3100をゲットするためには十六レベル上げないといけないことになるのか……。うーむ、これは本腰を入れて経験値を手に入れないといけないみたいだな。
ただスキルというものは先天的に手に入れている人もいれば後天的に手に入れることができて、後天的に手に入れるためにはそのスキルに関係する条件を達成すれば手に入れることができる。
テレパシーのスキルの入手条件は『相手と心を通わせる』ことだから、まぁボッチの俺には無理でしょ。これは普通に一万の魔力の方が早い。
とにかく元素スキルで経験値が手に入るからアンドロイド制作を始めることにした。
何だか途中の状態をまじまじと見ると、線が大量にあるな。まぁそれは人間の血管とか筋肉みたいなものだから当たり前なことか。
ちなみに、このアンドロイドは性別は女性にしている。やっぱりアンドロイドと言ったらメイドでお世話をしてくれるというのが定石だろう!
戦闘アンドロイド・タイプメイドと言ったところか。俺の好みと理想が詰まった一体になるわけだから、これは一切の妥協は許されないことはすでに先生にも伝えてある。
いやぁ、先生はいつもいつも俺の要求に文句を言わずに手伝ってくれて優しいなぁ。このお礼はいつかしなくてはな。
それにしてもアンドロイド一体を作るのに結構時間がかかるものだ。元素スキルはスキル玄人で使い慣れている状態になっているから、この速さが変わることはない。
だがこうして作り上げているだけで俺の世界の技術にはない技術だから凄いものだとは理解できる。武装についても着実に出来上がっている。
……お? それにこれは……ナノテクノロジーだ。まさかナノテクが完成されているとは思わなかった。普通にナノテクも欲しいんだけど。ナノテクがあれば場所を取らないから最高だな!
「ふぅ……」
やっぱり複雑な物を生み出していると作る時間が長くなるしその分魔力も喰われるというデメリットがあるが、出来上がればそれを上回るメリットを受けれるから文句はない。
『レベルアップしました』
おっ、レベルアップした。何気にレベルアップすれば増えた分は回復するからその分、長く作業をすることができる。
さてさて、少し疲労が溜まってきているが、そこは『魔力栄養補給』を駆使しながら頑張ることにした。
☆
「できたぁ……!」
半日くらい覚悟していた俺だが、何と二時間ほどで完成させることができた。ちなみにすべてを作り終えるのに五千の魔力を必要だったのを見るに、今の状態では量産体制はできやしない。
そして俺の目の前には、紺色の髪を肩まで伸ばした、たれ目のおっとりとした雰囲気のメイド服を着た女性がいた。
大きなお胸さまに安産型の大きなお尻さま、「あらあら、しょうがないわね」と言って何でもしてくれるような母性を持ち合わせたメイドの女性がここに爆誕してしまったぁ!
このアンドロイドはまだ起動していない状態で、彼女に電気を与えれば彼女は起動するようになっている。
彼女の手を握り、覚えている魔法のすべてを超級に変えておいたから、超級になっている雷魔法で彼女に電気を流し込んでいく。
アカシックレコード先生から情報を受けながら彼女を製作していたけど、俺がその情報を理解できているわけではない。だから彼女の動力源が電気によって起動して、莫大なエネルギーを生み出し続ける詳しい情報は言われても理解できていない。
十分な電気が彼女に流れ込んだことで、彼女は口を開いた。
「システム、起動します。あなたが私のマスターですね?」
「あぁ、そうだ。俺は高森幸人、マスターでも幸人でも好きに呼んでくれて構わない」
「それでは、ゴミ、とお呼びしてもよろしいですか?」
……えっ? ゴミ? 何でそう呼ばれているん? こいつ初期設定を間違えてないか? まぁでも面白そうだからいいか。
「まぁ別にいいよ。それじゃあゴミのメイドはカスでいいな。今日からキミはカスという名前だ」
「断固拒否します。それにゴミというのはメイドの愉快なジョークでございます。初対面で、今まで不幸しか見てこなかったような顔をしているマスターのことをゴミと形容できるほど知りませんから」
「あぁ、それはとても愉快で面白かった。初期化をすればまたその愉快なジョークを聞けれるのかな?」
「それはおススメしませんね。初期化する時にマスターの記憶も一緒に初期化しようとするので」
何だか俺が思っているようなアンドロイドのメイドではないな。初期の状態でこれって、どうしようもなくないか? それでも俺は初期化をするような真似はしないが。
「さて、名前だったな」
「はい、今の私は名前がない状態です。私が納得する名前をお願いします」
相当に欲張りなメイドさんだが、俺は彼女を作っている際に密かに考えておいたからすぐに返した。
「メイというのはどうだ?」
「もしかしなくても、メイドのメイを取ってメイと言われているのですか?」
「あぁ、そうだ」
「よく言われませんか? 安直だと」
「いいや、言われたことはないな」
そもそも言われる人なんていなかったからな。それはここの会話においては相手に伝わらないから、裏を返せばあちらが間違っていると捉えられる武器になる。
「それはお花畑な人たちが周りにいたのですね、とても羨ましいです」
「なに? キミは人工知能になる前に人間として前世を経験してるのか?」
「いいえ、そんなわけがないじゃないですか、ただの皮肉です。ともかく、メイという名前が気に入らないわけではないので、私はメイとなりました。これからよろしくお願いします、マスター」
「あぁ、よろしく頼む」
会話の方はさておき、二日目にして人工知能を得られるのはデカい。今日でやることを終わらせるぞ!
「なに、ガッツポーズをしているのですか?」
「何でガッツポーズを知っているんだ?」