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07:裏ワザ作物

 俺が最初に作り出した第一のゴーレム、こいつのことをゴー太郎と名付けた。ゴー太郎は何でもこなすバランスタイプと置き、その次に特化型のゴーレムを作ることにした。


 全長は三メートルほどであるがゴー太郎よりもすらっとした、スピード特化型のゴーレム、ゴー二郎。


 全長は十メートルほどでごつい腕を持った、パワー特化型のゴーレム、ゴー三郎。


 全長は十五メートルほどで全体的に動くことを想定していないごつい体を持った、タンク特化型のゴーレム、ゴー四郎。


 ネーミングセンスについては俺自身も思うところがあるから目をそらした。だが、このゴーレムたちは戦闘には向いているが、何かの作業をするとなればその図体の構造上、何かを運ぶこと、壊すことはできても人間みたいな作業はできない。


 だが、そもそもが作業効率を上げるために作り上げたゴーレムたちには申し訳ないが、作業自体が人手不足のために滞っているわけではないから、ゴーレムたちには一旦そこら辺をブラブラしてもらうことにした。


 今のゴーレムたちは単なる箸休めな感じだ。やりたいことをした感じだな。テンポよくと言っているのにどういうことだろうな。だが俺はメリハリをつける男、次からが本番だ!


 次、というよりは次とその次を同時に行なうと言った方が正しいか。


 家を作るのなら、広い日本家屋に住んでみたいと思っていたから日本家屋を作るとして、その作業をしつつ一般的な畑を作ることにした。


 まずは整地したのち、アカシックレコード先生の力を借りて日本家屋の構造を把握、風魔法で木材を移動や切り揃えたり、木材以外に必要な物があれば元素スキルで生み出していく。


 次に日本家屋から一本道を挟んだ場所を畑と想定して、畑を作ろうと考えたが、普通なら畑を簡単に作れるわけがない。


 畑はまず水が大切だし、野菜なら水はけのいい土じゃないと上手く育つことはないとどこかの本で見たことがある。


 ただ、俺は裏ワザというものを持っている。


 例えば、どんなに悪環境であろうとも、立派に育つ作物を作り出すことだって、俺には可能なのだ。


 俺のスキルには、どんな場所でも十分な栄養がある土に変えることができる『魔力栄養』、種がここになくてもこの世界のありとあらゆる種を作り出せる『種創成』、そして魔力があれは品種改良ができるさっき言った裏ワザ『魔力品種改良』が存在している。


 とりあえず、この世界にどんな作物があるのかを確かめるためにも今現在日本家屋の土台を作っているのに先生のお力を借りているが、先生にも同時に作業を行ってもらう。俺ができるんだから先生もできるっしょ~!


 先生も渋々手伝ってくれるみたいで、一つの思考では日本家屋を作るための知識、もう一つの思考ではこの世界の作物の知識を教えてくれた。


 ……ふむふむ、どんなゲテモノが出てくるのかと思えば、俺がいた世界とさほど変わらない作物ばかりなのか。


 ただ、この世界での作物のサイズ感がバグっているようで、俺の好きなトマトなら二回りくらい大きくて普通の大きさになっている。


 試しに『種創成』でこの世界のトマトの種を十粒ほど手のひらに出した。


「……デカいな」


 俺が知っているトマトの種よりも大きい種が十粒出てきた。まぁ、物が大きければ種も大きくなるか。とにかく、これに『魔力品種改良』を施すことにする。


 悪環境でも育つことができる強さ、これが一番大切だ。それにどんな季節でも育ったり、美味しさも欲しい。これは少し欲張りすぎか。


 あんまり分からないから、俺がしたいことをアカシックレコード先生に頼むと、俺に情報をくれて、俺は情報通りに品種改良を行った。


 ようやくできるようになるが、トマトの種をまくために、土を大地魔法で耕してついでに魔力栄養もやっておく。


 ついに! 俺がこの地にトマトの種をまいたぁ!


 一人だからはっちゃけれるなぁ。……さて、ここから待つのも嫌だからズルいことをするか。俺の魔法には木魔法というものが存在している。


 さっきの草たち然り、これは植物の成長速度を著しく上げることができるものだ。だから待っていなくても俺は早速この世界のトマトの味を味わえるというわけだ。


「成長せよぉ!」


 俺の掛け声とともに木魔法を使ったことで、トマトはすぐさま葉が出てきて花が咲き枝も太くなって成長が止まらない。


「……うん?」


 成長が止まり、真っ赤な美味しそうなトマトが何個もできたのはいい。だが、先生から得た情報とは全く違う大きさのトマトが出ていた。


「スイカじゃん」


 先生が見せてくれたトマトの情報ではない、スイカほどの大きさがあるトマトが実っていた。


 これは品種改良したからこうなったのか、いやこんなことはしていないはず。だから考えられるのは木魔法を使ったことによる巨大化か?


 まぁ特には気にしないから、俺はスイカほどのトマト、スマト、いやそれは大きそうじゃないからスイトと名付けよう。スイトのへたの部分を風魔法で切ってスイトを片手で持った。


 ステータスで筋力も上がっているのか、ずっしりと重いスイトを片手で持つことができた。特に汚れてはいないが一応冷たい水で洗って少し冷やした。


「いただきます」


 真っ赤でまさに食べごろを迎えているスイトに、そのままかじりついた。少し食べにくさはあるが、そんなことはすぐに気にしなくなった。


「うまぁぁぁぁぁっ⁉」


 一口食べた瞬間にカッと目を見開いて、今までに食べたことのないほどのうまさを秘めたスイトに対して叫んでしまった。


 こんな食べ物があってもいいのかと思えるくらいに俺好みの味でもあった。俺はそう思いながら一心不乱にスイトにかじりつく。


「……もう、ない?」


 気が付くとスイトが俺の手から消えていた。それくらいに俺はスイトに夢中だったということか……。何とも恐ろしい果実だ。……まだ、大量にあるな。もう一つ、というか俺の魔力があればいくらでも作り出すことができるんだ。


 だが食べ過ぎて動けないとかはやめたいから、あと一つだけにしよう。ていうかこの状況でも家を作り続けれているのはヤバくないか?


 スイトをもう一つ食べてもなお、お腹がスイトを求めていることに一種の恐怖を抱いたがここでスイトは止め、他の種も創成して品種改良することにした。


 トマトを食べたから、次は簡単な焼き芋を食べたいと思った。いや、それは沼だ! どんどんと何でも作れるからと言って一つ、また一つと作っては食べるを繰り返してお腹いっぱいになるのは簡単に想像がつく。


 作るものを決めて、食べるのはすべてが終わってからにしよう。エネルギー的には十分に摂取できている。


 野菜だけじゃなくて、果樹を作るのもアリだな。野菜ならサツマイモ、ニンジン、ジャガイモ、イチゴ、タマネギ、ピーマン。果樹ならブドウとかミカンがいいな。


 料理をするのならもっと種類を増やせばいいが、今はその必要はないか。


「ん? レベルアップしてる」


 音が鳴っていたのかはマジで覚えていないが『レベルアップしました』という文字が出てきていた。それも三つ。


 ……そうか、賢者のおかげで魔法を使ったことによる経験値、大工のおかげで家を建てていることによる経験値、科学者のおかげで元素スキルを使っていることによる経験値が手に入っているのか。


 数値が上がっているだけだと思うが、一度ステータスを確認しておこうか。


『真名:高森幸人 レベル:19

 職業:賢者、木こり、仕立屋、料理人、農民、鍛冶屋、科学者、大工、錬金術師、漁師、薬師

 攻撃:1377

 耐久:477

 速度:191

 至妙:1881

 体力:691(670/691)

 魔力:5101(4003/5101)

 魔攻:1381

 魔防:4801

 スキル

 超絶不幸、言語理解、スキルリライト、完全記憶能力、脳内処理速度強化、並行思考能力、思考加速、アカシックレコード、取捨選択、魔力栄養補給、伐採王、豪腕Lv3、製糸、器用Lv3、道具マスター、超味覚、初級魔法:火、初級魔法:水、魔力栄養、魔力品種改良、初級魔法:木、熱耐性、鍛冶空間、元素生成、元素配合、元素操作、事象解析、念力、初級魔法:大地、初級魔法:使役、人体改造、魔力強化、魔法無効化、精神異常無効化、催眠、言霊、魔防透過、時間操作、ワープゲート、心眼、虚言、発言力、好感度メーター、自由歩行、透明化、気配遮断、気配浸透、気配察知、視線誘導、視力強化、動体視力強化、超嗅覚、超聴覚、スキルクリエイト、スキルスティール、スキルブレイク、スキルキャンセル、フェロモン、誠心誠意、親切選択肢、好感度上昇ブースト、異性状態異常確認、状態異常操作、初級魔法:闇、初級魔法:光、初級魔法:雷、初級魔法:風、初級魔法:氷、初級魔法:霧、感知結界、守護結界、移動結界、スキル玄人、種創成、網作成、釣竿作成、漁船作成、千里眼』


 ステータスを確認したのはいいが、スキルを見たときに知らないスキルが二つあることに気がついた。いつからあった?


「超絶不幸と言語理解……言語理解ならわかるけど、超絶不幸ってなんだよ」


 まぁ何となくわかってしまうが、ステータスボードに書かれている『超絶不幸』というスキルにタッチして詳細を確認することにした。


『超絶不幸

 神すら手を出すことが困難なほどの不幸で、一切の幸運がめぐってこず不幸の中でしか生きていけない。さらにこの不幸は伝播する』


 これはこのスキルを持っているから俺の人生がこうなったのか、それとも俺の人生をスキルで表したのか、どちらなのだろうか。まぁ今さらどちらでも構わないけど。


 けど、これはもしかして消せるんじゃないのか? 偶然にも、俺のスキルには『スキルブレイク』というスキルが存在している。


 まぁあっても厄介なだけだから俺はスキルブレイクを使って超絶不幸を消すことにした。


『超絶不幸をスキルブレイクしますがよろしいですか? YES/NO』


 YES、と。


『超絶不幸をスキルブレイクしました』


 ……なんだ、案外簡単だったな。ステータス画面を見ても超絶不幸がなくなっている。説明文に神すら手を出すことが困難って書いてあったのに、拍子抜けだなぁ。


 とにかく、消せたのならそれでいいか。

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