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06:ゼロからの生活

 ステータスを見終えた俺は、伐採した樹木たちを超級になった風魔法で難なく持ち上げて歩き始める。建物を建てるとすれば、俺がこの世界で目覚めたあの場所が一番だろう。


 今の時間は……大体十時くらいか? 太陽の位置で大体の時間を考えて、家を建てる、食料を用意する、家具を作る、これらのことができるのかを考える。


 ……まぁ、魔法があれば何とかできそうな気がする。特に根拠がないけど。


「さて」


 本当に何もない野原にたどり着いて、風魔法で樹木を木材に変えていく。その際には忘れずにアカシックレコード先生に知恵を借りる。素人がこんなこと分かるわけがないんだから。


 風魔法を使っている際に、『脳内処理速度強化』と『並行思考能力』を上手く使って風魔法ですべての樹木を同時に木材に変えていく。こうして魔法の技術を上げないと、文字通り宝の持ち腐れになってしまう。


 とは言え、『スキル玄人』がある以上宝の持ち腐れになることはない。精々が宝を持て余すくらいだろう。


 並行思考能力については、スキルリライトを使っている。そのままだと思考を二つにしかできないから、十にしてみた。


 一分も経たないうちにすべての樹木を木材に変え、これだけ大量の木材を作ってもそれほど大きな家を建てるつもりはないから……、まぁ、何軒か作るのもアリだな。


 風魔法の練習はできたから、次は『初級魔法:火』、『初級魔法:水』、『初級魔法:木』の練習だな。火は料理とかでも必要な魔法だし、水も生活の中では必要だ。木の魔法は植物の成長に関する魔法だから、食料を一日で得るためには必要不可欠だ。


「とりあえず……火よ」


 ライター程度の火を指先から出るイメージを浮かべて魔法を使うと、指先から火が出てきた。


 本当にライター程度だから、もっと火力を上げようとしても二回りくらい火が大きくなるくらいで、日常生活でこれ以上の火力は必要ない。


 水魔法もちょろちょろと水が出てきて、木魔法も地面に生えている雑草がほんの数ミリ成長したかしていないかくらいの威力だった。


 これでSP10ってマジですか? スキルリライトがないと本当にゴミみたいなスキルだな。嫌がらせになら使えそうだけど。まぁ、スキルリライトを使うか。


『初級魔法:火

 火の初級魔法を使うことができる』


 を、


『初級魔法:火

 火の超級魔法を使うことができる』


 にリライトぉ!


『初級魔法:水

 水の超級魔法を使うことができる』


 を、


『初級魔法:水

 水の超級魔法を使うことができる』


 にリライトぉ!


『初級魔法:木

 木の初級魔法を使うことができる』


 を、


『初級魔法:木

 木の初超級魔法を使うことができる』


 にリライトぉ!


 で、早速火の魔法を使うことにしよう。イメージするのは手のひらに収まるくらいの燃え盛る火だ。


「あつっ……くはないな」


 イメージ通りに手のひらに出てきた火に熱さを一瞬感じたような気がしたが、本当に気のせいだった。火が出ていない手で火に触れても一切熱さを感じなかった。


 だが火が見掛け倒しなわけではなく、地面の雑草を引きちぎって火に近づけると燃え尽きていたから十分に火としての機能は果たしている。


 ということは術者本人に、その魔法の効果はないということか。効果があれば魔法なんて使えないか。


「水よ」


 次は水魔法ということで、イメージするのは手のひらから大量の水が噴射されるイメージ。そのイメージと共に言葉を発すると、突き出した手のひらからまるで勢いよく流れ出る蛇口のように、大量の水が噴射された。


「おぉ、イメージ通りだな。超級なら、大洪水も起こせそうだ」


 根拠もない何となくだが、俺の中ではそういう考えが浮かんでいた。本当に根拠がないし、やるとしても使うことは一、二回くらいだろう。


 火、水、木の中ではこれから一番使うであろう魔法、木魔法をついに使う時だ。これが使えなければ、俺の今日の食事は魚かな。十分だけど。


 俺はしゃがんで、草が生えている地面に手をついた。イメージは俺が立っている場所くらいの草が生い茂るくらいがちょうどいいか。


「成長しろ」


 瞬間、俺の視界は野原から一転、前に何かが出てきたことで視界が塞がれた。あぁ、これは分かっている、これは伸びた草が俺の視界を奪っているんだ。


 俺の周りに天高くびっしりと生えている草から、俺は草をかき分けて出て改めて外からそれを見た。俺の身長は優に超えていて、草をかき分けた感じ、すっげぇしっかりとしているのが分かった。


 ……こんなにはイメージしていないような気がするが……まぁどれくらい使えるのかを確認できたから上出来だ。


 他にも魔法があるが、一通り使う魔法はリライトぉ! したから魔法についてはこれで一旦終わりにしよう。まだまだやることがあるからテンポよく進めないとな。


「とりあえず……」


 未だに寝間着だから動きやすい格好に着替えよう。そのためには元素を操作して、配合して、生成するスキルを使わないといけないが、これだけだと俺は服の素材なんか全く分からなかった。だがこちらにはアカシックレコード先生がいる。


 先生の情報から服の素材情報を脳内にインプット、服の脳内構築開始……脳内構築完了。脳内構築アウトプット、作成開始……作成完了。


「ふむ、最初にしてはとてもいい出来じゃないのか?」


 俺はそう自画自賛しながら片手には半そでの紺色のポロシャツ、片手にはストレッチ素材の黒のチノパンツを手にしていた。


 そして服を風魔法で浮かせて手を開けて、寝間着を脱いでいく。この寝間着を家ができるまではどこにも置くところがないから、風魔法の練習として浮かせておく。


 肌着のシャツとトランクスだけの姿になったが、どこか開放感がある。やはりこうして下着姿になることはないから、今まで縛り付けられていた感情が解き放たれて行く気がする。


 このまま全裸になろうか、迷うところではあるが……まぁそれはまた次の機会でということで大人しくポロシャツとチノパンを身に着けた。


 そして今の今まで嬉しさで気にしていなかったが、裸足だから地味に足裏が痛い。ということで赤の線が入った黒の靴下に、黒を基調とした運動靴を作り出した。


「……全体的に暗いな」


 俺の好きな色を選んだ結果だから仕方がないことだ。面白おかしくポロシャツを虹色にするとか、そういうのは脳内で構築する時にできるから、家を建てた時に作ろう。


 テンポよく行こう、服を作れたから次だ。次にやることはもう決めてある。


 俺が魔法を使えたり、千里眼があって、情報処理を強化して並行思考できたとしても……大体は何とかなりそうだが、それでも人手を増やすのに越したことはない。


 次に行うことはゴーレム、もしくはロボットを作り出して作業効率を上げることだ。


 ゴーレムを作り出すのなら、土魔法を使うか職業の錬金術師で練成するの二つで、ロボット、俺が想定しているのは人型ロボット、アンドロイドを作り出すのなら、これまた元素スキルを使う。


 すべてアンドロイドで近代兵器を装備させる方がいい気がするが……そこはファンタジー世界ということでアンドロイドを司令塔に、ゴーレムを操作させる方が絵面的に面白そうだ。


 一先ずはゴーレムを作り出すことにする。土のゴーレムがどれくらい動けるのかを知りたいから、これまた魔法のリライトぉ! をしないといけない。


『初級魔法:大地

 大地の初級魔法を使うことができる』


 を、


『初級魔法:大地

 大地の超級魔法を使うことができる』


 にリライトぉ! からの土のゴーレム、大体三メートルくらいの大きさをイメージして土魔法を使った。


「……おぉ」


 地面から這い出てきて俺の目の前に立ったのは、イメージ通りの大きさをしている土のゴーレムだった。ただ三メートルは少し小さすぎたか。これで十メートルだったらド迫力だった。


「俺の言葉が分かるのなら頷いてくれ」


 まずは意思疎通が可能なのか確認するために問いかけたところ、ゴーレムは頷いた。次は能力面だ。


「ジャンプできるか」


 それにもゴーレムは頷いた。


「じゃあジャンプしてくれ」


 ゴーレムが頷いた瞬間に、ゴーレムがその場からいなくなった。すぐに上を向くと、うっすらとゴーレムの足が見えるのが確認できたくらいに、ゴーレムははるか上空にいた。


 どういう脚力をしているんだよ。ていうかゴーレムの意思疎通は声が聞こえないとできないのか、はたまたどこでも意思疎通が可能なのか。でも上空にいたら何もできないからゴーレムが降りて来るのを待つことにした。


 待つこと数分でゴーレムが落下してくるのが見えたが……まるで隕石が落ちて来るかのように高熱を纏っているように見えるし……これ、俺もこの場所もひとたまりもないよな? ていうかどれだけ上に行ってたんだよ。


 さすがにこの場所を爆散されるわけにはいかないから、風魔法を使ってゴーレムを受け止める。超級魔法だから難なく受け止めることができ、ゴーレムをゆっくりと地面に置いた。


「あれで傷がないのか……」


 土で作ったゴーレムのはずなのに、高熱を受けてもなお一切の変形がなかった。さすがは超級魔法だ。普通に相手の陣地にこれをしたら簡単に一殺はできそうだ。……風魔法を超級にしておいてよかったぁ。


「まだ動けるか?」


 ゴーレムはまだまだ動けることをアピールしているのか、何度も頷いて両手を上げた。ただ言っていることが分かっているだけじゃなくて、自分で考える能力もあるのか。


 それはいいことではあるが、使い捨てにするには心苦しい気がする。使い捨てる時は使い捨ててやるがな。代わりはいくらでもいるもの。


「それならあそこまで地面が酷く壊れない程度に走ってくれ」


 俺は山の方に指さしてゴーレムに指示を出すと、ゴーレムは少し止まって動き始めた。さっきと同じで、一瞬でゴーレムはその場から消えて、俺が指さしたところにたどり着いていた。


 少し止まったところを見ると、考える力があるのは確定だな。それにさっきのジャンプと言い、今回の走りと言い、衝撃は最小限に抑えられている。


「こっちに戻ってこい」


 俺が声による意思疎通なのか、意思による意思疎通なのかを試したくてゴーレムに向けて声を放った。もちろん、普通はあちらに聞こえない程度の音量だ。


 だがゴーレムは俺の声が聞こえたかのように走ってすぐに戻ってきた。これで声じゃなくて意思による意思疎通が可能だと分かった。


 自分で考える能力があって、俺の意思で動くことができ、超級の能力があるゴーレム。……普通にとんでもねぇ奴じゃね? これ一体だけでも十分に強い。


 ただ俺はそんなことでは満足しない。どうせならこの広い領土を有効活用して、西洋風の城、日本城を建築したり、人工知能によるアンドロイドを使った完全無人農園、屈強なゴーレム集団、美味しい料理に近未来的な建物、色々と想像が膨らんでくる。


 まずはファーストエクストラゲームの生活Lvを上げないとな。でもこんな色々と普通は手に入れないスキルを手に入れている俺以外ができるレベルとなれば、簡単に突破できそうだ。

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