第80話 「お前、作家になれば?小説定番その2 エルフ奴隷」
奴隷商との交渉は話がついたので、一旦ネコミミ褐色肌ロリ奴隷のルッコラたんの牢屋から離れ、怪我をしている奴隷を治療していく。
死屍累々の有様だった奴隷たちが再生魔法の奇跡により、なんと見違えた姿に!
劇的な治療の前後の変化に、奴隷たちは土下座して忠誠を誓う。
再生治療した奴隷たちは一様に恭順の意を示し、俺を主として受け入れ崇め仰ぐ。
露骨にへりくだり、感謝感激雨あられとばかりに信奉しているようだ。
その目には畏怖と深謝、憧憬、崇拝が宿っている。
奇跡を顕現させた存在を正視することすら恐れ多いとばかりに、首を垂れた姿が目の前を埋め尽くさんばかりにある。
全員がそうしているのを見るに、偉大なる俺の存在感がそうさせているのだろう。
『Redi ad originale』
「――――――――ぁ……………?」
「手足が再生している……!神の奇跡だ…………!!!」
「何度見ても信じられない……」
「ありがたや……ありがたや……」
俺を尊ぶことという、この世の真実を知った者たちがこんなに増えて嬉しいことだ。
魂から神々しさが漏れ出てしまうのかな?
自分では見えないが、後光でも差してしまっているのかもしれない。
奴隷商は悔しそうな姿を一片も見せず、俺を褒めたたえて当初の約束を守り負傷奴隷をタダで引き取らせた。
落としどころを探る様子もなく、全面的に俺の提案を飲み込んだ。
俺たちの歓心を買って、取引を続けることが得策だと判断したのだろう。
身の程を弁えた男だ。
これなら引き続き商売してもいいだろう。
奴隷を買うというのも気が咎めるしな!
どう言い繕っても人身売買だし。
やはり俺は天に選ばれた男。
すべてが俺に都合よく行き過ぎて困ってしまう。
世界の主人公たる俺様の、奴隷ハーレム物語の序章が幕開けだね。
時は過ぎ、最後の奴隷を治療する。
戦争奴隷の品定めをしているという父上からの使いである騎士から、俺の機知に富んだ取引の結果にお褒めの言葉があるとのことだ。
嬉しくなってしまい、上機嫌に再生魔法をかけた。
今しがた治療を始めたこの奴隷は頭部を中心とした上半身に、ひどい損傷がある。
頭部にダメージがあるのか、意識を失ったまま動かない。
生きているのは、ひとえに本人の強靭な生命力故にだろう。
奴隷商も忘れていたほどに、助からないと意識の隅に追いやっていたという。
その理由で一番最後に連れてきたから本来は治療も優先すべきところを、最後尾となってしまった。
頭部の損傷は再生魔法で治るのだろうか?
記憶を司る脳に、どこまで俺の力が及ぶかは未知数だ。
脳には命すら宿っているのかもしれない。
地球では知らないが、この世界は確かにあの世が存在する。
冥界というものが神に証明されているこの世界には、魔法というものが世界法則に組み込まれている。
魔法というものがどこまで命へ干渉できるか、知的好奇心は擽られる。
だからといってヤバげな人体実験はしないよ???
マッドサイエンティストならどこまで人体破壊したら、再生魔法が通用しなくなるかな~~とか。
再生魔法による体への悪影響があるか確かめるため、わざと身体部位を切りまくって再生魔法を使いまくるとか。
体を真っ二つに割って再生魔法を両方にかけたら、どっちが復活するのかな~~~
魂が宿る片方のみが復活するのか、それとも2人に分裂するのかな?
とか。
再生魔法で無尽蔵に身体部位を量産して、移植に使えるのかな?
大量生産された優れた能力を持つ身体部位を移植すれば、強化人間は作れるのかな?
とか脳裏にこんこんこんこんと湧いてくるけど、やらないよ???
そんな酷いことはしないさ。
俺は正義の道をこれまでも、これからも歩み続けるからよぉ……
だから俺を信じて、どこまでも着いてこいや……!
ところでこの今治療中の奴隷だがシルエットだけ見ても、長身でスタイルのいい女だということが一目瞭然だ。
お顔を見るのが楽しみだ。
早く治してあげようね。
「『Redi ad originale』……っしゃ終わりぃ!……………ぇ………?」
その時だ。
異常が起きたのは。
明らかに直した耳が長くなっていく。
焼け焦げた頭部は尋常ではないほどの美しさを取り戻される。
若草を思わせる緑がかった白く、絹糸の如く柔らかな髪が広がりゆく。
想定外の展開に、思わず固唾を飲む。
パニック寸前で体が固まる。
――――――――エルフだ。
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