第77話 「糞キモロリコン爆乳金髪縦ロール女、襲来。」
貴族たちへの挨拶回りが終わったのも束の間、諮問会議もあれやこれやといううちに終わり拍子抜けだった。
なんてことはない、質問に答えただけの形式だけのものだったな。
父上やヤンがスラスラとよく回る口で、大体対応していたからよかった。
王都に来た主目的を果たし、俺たちは目的の一つを達成するために出掛ける。
「じゃあ行こうかアルタイル」
「はーーーい!!!」
意気揚々と玄関から飛び出すと、ちょっとした異変が起きた。
「…………?髪紐がちぎれた……」
屋敷から出た途端、不吉だなぁ。
金細工の如き黄金の髪が、肩から腰へと流れ落ちる。
馬車に乗ろうとしない俺に訝しんだ父上が振り返り、一言。
「あぁ……今日は貴族に会うわけでもないし最低限の身だしなみでいいよ。それに可愛いから大丈夫さ!」
「アハ!!!!!」
父上は俺を抱き上げて馬車に乗せる。
行先は郊外へ。ゆっくりと車輪は回りだす。
奴隷を買いに出発だ。
窓が一つとして存在しない、無機質な石造りの建物に奴隷商はあった。
厳重に閉ざされた門を抜け、商会の頭取より直々に応対される。
魔道具の明かりがすべての部屋に灯っているが、部屋の隅の方は薄暗い。
雰囲気も暗く、薄気味悪さが充満している。
しかし俺は興奮している。
お前、作家になれば?小説において、奴隷市場は一大アミューズメント。
テーマパークに来たみたいでテンション上がるぅ!!!
エビバディセイイェーーーーイ!!!!!
「戦争奴隷を見に来た。案内してくれ」
「ははっ!直ちに!」
「私は奴隷を見てくる。マックスはアルタイルについていてくれ」
父上は数人の騎士を伴い、奴隷商の頭取に揉み手されながら奥へと通されていった。
俺はマックスと共にそれを見送る。
父上たちが見えなくなったころ、俺はマックスを向いて希望する。
「――――――――エッチな奴隷!!!見たい!!!!!」
「また変なこと覚えた……」
「何カマトトぶってんだよ!?お前だってホントはホントは~~~?」
「……女奴隷で決まりっしょ!眺めるだけでもハッスルタイムです!サルビアさんには内緒っすよ!」
「興味ありありじゃ~~~ん!!!めっちゃ興味あるんじゃーーーーーん!!!!!」
「やっぱ仕事より、自分の性欲を満たしたいなって……へへっ♪」
「こ~いつぅ~~~♪」
マックスの脇腹を肘で小突くと、剽軽に舌を出してウィンクする。
所謂テヘペロである。
ウケる。
マックスに女奴隷の在処を探しに行かせ、しばし待ちながら妄想を深める。
この執事見習いが戻ると人が通るには広すぎる廊下の一つを指さし、待ちに待った答えを聞く。
「女奴隷のいる牢屋はあっちみたいですね。それじゃ向かいま――――」
「探検だーーーーー!!!!!」
「坊ちゃーーーん!?おいていかないで下さいよーーー!!!」
彼の言葉を聞いた瞬間、飛び出すように走り出す。
まだ見ぬ奴隷ちゃんが俺を待っている。
エロ漫画の導入みたいな展開で美少女奴隷を買い上げて、虐待してやるからな。
定番としてまずは一緒にお風呂かな、なんて考えちゃったりして。フヘヘ
「――――――――わぁ……!」
見渡す限り女、女、女。
壮観である。
全員が同色の色気のない布の服だが、粗末な組成だからか体のラインが浮き出ていてひどく淫靡だ。
おそらくわざとこのようにして、一目で見分けがつくようにしているのだろう。
人権完全無視のすし詰め状態だが、簡単に身体的特徴の判別がつく。
「――――――――あのロリ!あのロリ欲しいですわ!!!お金はありますわよ!!!!!お金と権力でロリを人生破滅性処理オナホ屈服宣言させられる……いい時代に生まれましたわねぇ!!!!!オーーーーーホッホッホッホッホ!!!!!!!!!!」
「……なんだなんだ?きんもちわりいなぁ。困るよね時と場をわきまえ………………………ほわぁっ!?!?!?!?!?」
そんな折に素っ頓狂な高笑いが響き渡り、誰もが音源へと視線を集中させた。
するとそこには…………
なんだあの乳!?なんだあの馬鹿でかい金髪縦ロール!?
ドレスがはち切れそうな、牛のごときミルクタンクがあった。
女体の神秘か?思わず食い入るように視姦してしまう。
爆乳金髪縦ロールの変態は年端もいかない少女の奴隷を指さすと、少女は頭を抱えて蹲りガタガタと身を震わす。
金貨の詰まっているのだろう袋をジャラジャラと音を立てて、変態は品性のかけらもない薄笑いで弄ぶ。
下品な女だ。性根も体も。
「あらあら♡怯えちゃってかわゆいですわ♡ますます恍惚ですわよ♡死刑執行人権崩壊肉便器永久就職だオラッ♡持って帰って、もっともっと可愛くして差し上げますわ♡」
「お嬢様!?!?!?キチガイおやめください!!!!!お嬢様っっっ!!!!!」
「――――――――今こそ!!!!!ロリ♡♡♡ぷに♡♡♡ランド♡♡♡建!!!!!国!!!!!だぁ!!!!!!!!!!」
従者だろうか。俺より大分小さい身長のアニメ声の仮面をつけた少女が慌てている。
周囲の目を気にしながらこの変態を押さえつけようとしているが、変態は高らかに気味の悪い宣言をしていた。
その場にいるものすべてが関わりたくないという風に目を逸らし、足早にその場を去り行く。
変態の仮面の下から覗く口元が不気味に弧を描き、不快な音で嗤う。
うわっキモいなぁ~~~
なんだあの知性と品性の両方が極めて劣った者にしか言えないセリフは。
マジもんの変態じゃん。人間あそこまで落ちたくはないね。
俺は内心見下しながら、嘲笑う。
そして外野から変態の下品な体を傍観しながら、その行く末を特等席で楽しむことに決める。
だから逃げ遅れてしまった――――――――
「(やだ……こっち見てる……?)」
そう思った瞬間、変態と目が合った。
周囲に人が消えていった中で沈黙が生まれ、時が止まったような錯覚を覚える。
変態はものすごい速度で駆け寄ってきた。
得体のしれない恐怖から体が固まる。
頭はまだ理解を拒む。
「――――――――あら…………?あらあらあらあらあら!?!?!?!?!?キューティエンジェル金髪ロリータちゃん♡♡♡はっっっけぇぇぇぇぇぇぇぇえええええええん…………しましたわ♡♡♡お嬢ちゃん♡こんにちは♡どこから来たの♡可愛いでちゅわね♡お姉さんと一緒に遊びましょ♡怖くないでちゅよ♡美味しいお菓子をあげまちゅよ♡可愛いお人形さんも買ってあげまちゅよ♡綺麗なお洋服もたくさん買ってあげまちゅよ♡お嬢ちゃんの知らないキモチイイことたっっっっっくさんっ!!!教えてあげまちゅよ♡♡♡♡♡」
矢継ぎ早に訳のわからない妄言を垂れ流される。
変態はジメッとした荒い呼吸で、俺の肩を万力のような握力で鷲掴みする。
生暖かい吐息が俺の顔に直接あたり、恐怖と不快感がこみ上げる。
振りほどこうと身じろぎするが、びくともしない。
「えっ……!?何???こいつ誰ぇ……?やだ怖いよぉ……」
「フゥ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛ッ゛♡♡♡フゥ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛ッ゛♡♡♡ダメですわねぇ……ちっちゃい子の力じゃ……逃げられませんわよぉ……抵抗して性欲煽って……いけない子ですわねぇ……自分が弱者だってこと……その体にわからせ!!!……ますわよぉぉぉ?」
耳元で息荒く糞キモイ戯言を囁かれ、ひたすら悍ましい。
形の整った唇の端から、どろりとした唾液の糸が垂れている。
生理的嫌悪感から脳内には、かつてないほど危険信号が鳴り響く。
「だから………ねっ?…………ね゛っ゛っ゛っ゛っ゛っ゛!?!?!?!?!?」
「ねっ!じゃないですよこのバカキモロリコンがぁぁぁぁぁ!!!!!」
変態は凄まじい勢いで従者の女に殴られる。
俺は衝撃でこの狂人の底が知れない谷間に飛び込み、生暖かく微妙に汗で湿った不快な感触に包まれ怖気が走る。
チンイラっていうのは余裕があるときしかしないって初めて分かった。
頭上には生温かいネトッとした粘液が大量に垂れてきて、ひたすら不快で想像もしたくもない。
本能が警鐘をがなり立てる。
従者の女に引きずられて、俺から無理やり引き離されて変態は連れていかれる。
そして従者の女は直角90度の見事な礼をして、俺に謝罪を口にした。
「名高き家門のご令嬢とお見受けいたします!!!大変申し訳ございませんでした!!!!!ちょっとお嬢様ぁっっっ!?外交問題になるでしょうが!!!!!」
「まっ……!まだきわどいですわよっ!」
「きわどいで済ますなっ!貴女が可能性を根絶やしにしたんですよっ!!!もう帰りますよ!ゲスが!!!」
「ぁぁぁあぁぁあぁぁぁぁまだロリ買ってないのにぃぃぃぃぃぃぃぃぃ入学したらなかなか来れないんですのよぉぉぉぉぉぉぉぉマイ♡ぷに♡ロリ♡お嬢ちゃん~~~~~♡♡♡また会いましょうねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ次は絶対にわたくしの餌食にして性的搾取してあげますからねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」
「いい加減黙れボケカスがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「ヒッ…………」
背筋が凍るドップラー効果とともに、性犯罪者予備軍は。
いやすでに性犯罪者は消えていった。
性犯罪被害者の気持ちがわかった。
奈落の底に落ちていくような幻惑。
汚らわしい欲望で身を穢されるような感覚。
魂を凌辱されたような錯覚。
俺は震える自分の肩を抱きしめ、呆然とへたりこんだ。
膝が笑って立ち上がれない。
自分の目は見られないけど、今の俺は絶対レイプ目だよ
「なんだったのぉ……怖いよぉ……」
制御できない涙が溢れ出す。
本当に頭がおかしい低俗で畜生な異常者だった。情緒イカレてる。
二度と会いたくはない。
あんなの野に解き放つ社会ってやばいでしょ。
治安どうなってるんだよ。
狂気の時代だ。
王国に革命組織なんてのもあるわけだ。
道徳的に退廃しすぎてる。
汚いものは隔離するべきだろ。常識だよ。
わけわかんねぇ。何より……
「なんで……俺が被害者役の、エロ漫画の導入みたいになってる?????」
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