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第39話 「従姉の騎乗位?あ~~~ダメダメ!エッッッッッ!!!」




 現在、我がアルコル邸にはエルメントラウト叔母上とノジシャが来ている。

 折の魔物侵攻により、ブロンザルト領も大被害を受け。

 疎開のためしばらく滞在するとのことだ。

 父上が国境地帯の軍管区を統括しているので、入れ替わりで救援に向かうとの話だ。




「お兄様。しばらくノジシャと共に、よろしくお願いいたします」


「よろしくお願いいたします叔父様」


「うん。ゆっくりしていくといい。ブロンザルト子爵は私がしっかりお助けするよ。何かあったらアルタイルに頼んであるから、安心しているといい」


「叔母上。ノジシャ。未熟の身ですが全霊をもってお守りします。よろしくお願いいたします」


 つまりぃ……ノジシャたんも俺と生活するってこと!

 幼き日々を共に過ごすとか、甘ずっぺぇラブストーリーの鉄板ですよ。


 青い恋物語は、子ども時代の思い出にしか作れないからね。

 美少女の甘酸っぱい初恋を独り占めしてしまって…………ごめんねーーーーー!!!!!

 





「ふふ♪ 頼りになる騎士さんね!」


「頼りにしているわ。かわいい騎士さん♪」


「貴婦人をお守りするのは、騎士の務めですから……ね」


 俺はキラリと白く輝く歯で、爽やかに微笑む。

 ノジシャたんも口を手で押さえて、ニコニコと笑っている。


 あ~あ。俺に惚れちまったか。

 すでに婚約者がいるってのに罪な男だぜ……


 


 父上も楽しそうだ。

 頷きながら俺にある提案をした。




「うんうん騎士としての心構えができることが、騎士の第一歩だよ……エルメントラウト? 子どもたちの滞在中の教育について提案があるんだが」


「そうでしたね。失念していましたが、お稽古もしなければいけませんね。それでなんでしょうか?」


「二人にはまず馬術と水泳を習わせようと思うんだ」


 父上は珍しく真面目な態度で、その意義を説明する。

 エルメントラウト叔母上も真剣に聞き入っている。






「うん。少し早いけど乗馬は貴族として必須科目と言っていいし、泳ぎも体作りにはいい。息抜きの遊びがてらに、親睦を深められるだろうしね…………それに最近物騒だろう?  逃走手段を多くしてあげたいんだ。泳げないともし水に落ちた時危ないし、アルタイルは将来騎乗して戦うことになるだろうしね」


「そのようなお考えでしたか。私も賛成いたしますわ」


 叔母上も父上のお考えに賛同のようだ。

 確かに理に適っているしな。


 ノジシャと一緒に勉強することになるのか~楽しみだな!

 彼女は好奇心を抑えられないようで、少しソワソワしている。




 そして……泳ぎという事は……水着だよぉ……

 ビキニなんて来たら、布面積は下着と変わらないだろう?

 なら実質下着だ。


 そうでなくてもボディラインが丸見えだ。

 俺は妄想に取りつかれ、ニヤつきが止まらない。




 ノジシャは俺と目が合うと、いたずらっぽくウィンクしてきた。

 あはぁ~かわいいでちゅね~~~




 その時俺は暢気にも、あまりにも軽く考えてしまっていたのだ。










「――――――坊ちゃん方!!! これが馬です! 躾けてありますんで近寄って触ってみてくださいよ!!!」


「わぁーーー!!! おっっっきぃーーー!!!」


「これがお馬さんなんですね。近くで見ると大変逞しいんですね」


 結構いかつっ!?

 めっちゃ鼻息荒いし、体ムキムキだし!?

 怖いんですけど!?


 俺は弟たちの後ろで様子を窺う。

 こんなのに触るとか危機管理がなってないだろ。

 蹴られて怪我したらどうする?




 まさか俺が治せっていうの?

 それまず俺が死んだら終わりだろ。


 子ども特有の無鉄砲さなんぞ、賢明な俺は持ち合わせてないからね?

 マックスの事は信頼してるけど、畜生への信頼は持ち合わせてない。




 マックスは馬丁として厩舎の管理もできる。

 こいつバカっぽいけど多芸なんだよな。

 まぁそうじゃなかったらアルコル家の執事見習いになってないか。






「――――――ほら。エーデルも近くで見てみなさい?」


「……えぇっ……? 怖いよぉ……」


 ノジシャが俺の横で立ち竦むエーデルワイスを手招きすると。

 彼女を馬のもとへと導いていく。




「じゃあ私と一緒に触ってみましょうか。それなら怖くないわよね?」


「……ぅ……うん……ありがとぅノジシャさん……」


 エーデルワイスは照れくさそうに、ノジシャと手をつないで馬に近寄る。

 婚約者はおずおずと従姉の手に添えられた手で、馬の背中に手を伸ばす。

 二人は慣れてくると、楽しそうに馬との触れ合いを始めた。



 ガキどもは馬に夢中になって、俺のことなど気にも留めない。

 俺は弟たちの陰で馬に恐々とする。

 そうしているうちにマックスは馬に鞍を取り付け、それを見たアルデバランが興奮する。






「ついに乗るんだね!? マックス! 僕が一番!!!」


「ははは! 準備が終わるまで待ってくださいね! アルタイル様? アルデバラン様が先でもいいですか?」


「お、おう。いいとも」


「ありがとうございます兄様! 頑張ります!」


「おう」


 アルデバランは拳を突き上げ、喜びを露わにする。

 マックスとノジシャは微笑ましそうにそれを見る。

 

 俺はこいつマジか、と信じられない気持ちでそれを見る。

 すごいよお前。






「しっかり掴まっててくださいね! まずは俺が手綱を引きますんで」


「はーーーい! わぁ! 高―――い!」


 マックスがアルデバランを抱えて馬に載せると、馬は執事見習の先導で進み始める。

 こんな怪物によくも楽しそうに乗っているな。

 お前まだ自分が死ぬ可能性がないと、思いあがってるんじゃないかね?


 マックスは弟の習熟の速さに感心しているようだ。

 もう一人で馬を乗り回してるし。

 すげぇなこいつ。




「速―――い! あははははは!!!」


「お見事ですアルデバラン様! マジ天才っす!」


「はわぁ……アルデバランくんすっごぉい……」


「まぁ上手じゃない!」


「なかなかやりますね。私もやりたいです!」


 みんなアルデバランの雄姿に関心しきりである。

 俺はそれを眺めるだけだ。

 ビビりな性根と運動音痴のコンボからの、このアウェイ感よ。


 カレンデュラを筆頭に次々と乗馬を成功させていく。

 みんな運動神経がいいのか筋がよく、すぐに騎乗できるようになった。




 でも俺にはある期待がある。

 乗馬と聞いてまごついているエーデルワイスだ。






「ぉ……お兄ちゃん……わたし怖いよぉ…………」




 エーデルワイスは半泣きで、俺の服の裾を固く握りしめる。

 こいつ運動神経悪そうだからな。

 できない組で仲良くしようぜぇ……ヒヒ……


 お前はいい子だね♡

 俺の期待に応えて、これからも弱者として生きるんだぞ♡






「――――――大丈夫よエーデル」




 ノジシャがエーデルワイスに優しく話しかける。

 黒髪の女の子は赤くなった目で、赤髪の女の子を見つめる。

 俺の従姉は運動をするためか、ベリーロングの真紅のポニーテールを揺らして微笑む。




 髪縛ると普段より凛々しくなるね♡

 いつもはキュートだけど、今はとっても綺麗だよ♡


 後ろから見える、うなじがいいねぇ……

 背後からヌルっと近寄って、舐め舐めしたいなぁ……

 あんまり誘惑してると、俺の馬みたいなイチモツで串刺しにしちゃうよ♡






「あなたの婚約者さんは、あなたが危なくなったら絶対助けてくれるわ」



 ノジシャの言葉にエーデルワイスは目を見開く。

 そして少し考え込むと、覚悟を決めた目で赤髪の美少女と俺を交互に見る。

 そして意を決して馬に乗った。




「それに何せアルタイルは、凄い魔法使いなんだからね♪」



「う、うん! 頑張ってみるね!!!」



「…………ガ……ガンバレー……」



 なんだよそのくっせぇ三文芝居はよぉ。

 せめて俺をメインに据えてやれや!!!

 俺以外がかっこつけた真似すんのは、例え美少女でも気に食わねぇんだよ…………


 あ゛ぁ゛ーーー!!! ムカつく!!!

 失敗しろ失敗しろ失敗しろ失敗しろ失敗しろ!!!!!!!!!!






「――――――お兄ちゃーーーん! 見て見てぇーーー!!!」




 エーデルワイスは瞬く間に乗馬に慣れた。

 他のガキどもと遜色ないレベルだ。

 …………お前運動神経いいんかーーーいっっっ!!!!!


 なんだこのキラキラした青春スポ根物語みたいな展開。糞じゃん。

 はぁ~~~~~ガン萎え。











「――――――お見事ですエーデルワイス様! …………さて! トリを務めるのはアルタイル様っす!!!」


「…………は…………い……」


「兄様―――!!! 頑張ってくださーーーい!!!」


「お兄様を私は応援していますから!!!」


 うわぁぁぁぁぁ俺の番だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ









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[良い点] ここまで陰キャが追い込まれているなんて、馬っていうのは陰キャを炙り出す太陽だったのか(謎理論) さあこの後この陰キャはどうなってしまうんだーーー!!!
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