第37話 「糞みたいな宗教勧誘 ステータスアップ」
今日はなんていい日なんだろう。
お日様は明るく俺たちを照らし。
穏やかな風は優しく俺たちを包み込み。
小鳥たちは俺たちを祝福するように囀っている。
こんな幸福に満ちた日には、何か新しいことを始めたくなる。
生きることは挑戦の連続だ。
俺たちは自分の人生をより良くするために。
生き甲斐や趣味など夢中になれるものを、見つけていければいいんじゃないかと思う。
今日は善意からそんな大切なことを、一つ教えてあげようと思うんだ。
「実はすごい宗教があるんだよサルビア! ちょっと聞いていってよ!」
「……………」
サルビアは俺の自室の掃除をする手を止め、俺を見つめると形容し難い表情で固まる。
ん? 聞こえなかったかな?
「サルビアだけにいい話があるんだ! サルビアもきっと幸せになれるよ!」
「坊ちゃま……後で遊んで差し上げますから、後にしてくださいませ……」
「そっかそっか! いつまでも待つよ!!! これもサルビアの人生に潤いを与えてあげるためさ!」
銀髪メイドは心なしか、いつもよりも丹念に掃除をするのだった。
俺はそれをにこにこと機嫌よく見るのだった。
「坊ちゃま……何のお話でしょうか……」
サルビアはげんなりとしながら、淀んだ目で俺に向き直って暗澹たる口調で問う。
今日はなんだか調子が悪そうだね? もしかしてあの日かな♡
「サルビアは神様を信じているかな?」
「まぁ人並みには信じていますが……何か?」
「うんうん。実はサルビアに是非この世界の真実を知ってもらいたくてね!」
目の前の長身の女性は黙り込む。
それを続きを促しているのだと受け取り、嬉々として素晴らしい神様について布教活動する。
「それは幾何学の神トート神様! 俺を救ってくれるんだ!!!!!!?!!!!」
「トート神様ですか……? 不勉強なので私は存じ上げませんね。どのような神でいらっしゃるのですか?」
「えーと……わかんない!!!」
サルビアの顔はより一層渋くなる。
やっべ失敗したか?
でも俺神様のことよく知らないし……
そもそもこの世界の神話ってどんなもんだっけ?
勉強怠いから、起きながらほぼ寝てたわ。
「恐らくは小神のようですね」
「小神? なんだっけ?」
「8大神以外の神々のことです。何回も教えて差し上げましたよ」
「あ~悪い悪い…………あはは……」
俺が髪をいじりながら焦る姿を見て、サルビアはため息を吐く。
藪蛇だった。
なんか曖昧ながらも覚えはあったが、条件反射で聞き返してしまった。
「坊ちゃまはどのような経緯で、トート神様を崇め始めたので?」
「それは……えーと……ぇへへ…………」
どうしよう。カバーストーリーも何も考えてなかった。
俺が愛想笑いをして誤魔化すと、サルビアはそれ以上追及してこないようだ。
よしっっっ!!!
切り抜けたぜ!!!!!
それよりサルビアを、トート神様の信徒に勧誘しなければ!
「サルビア。特定の信じている神様はいるのか?」
「はい。敬虔な信者とは言えませんが」
「変えればいいじゃない!!! それが…………! 今だろ☆」
サルビアの目がほそまり、眼光鋭く俺を射抜く。
あ、怒られるときのパターン入った……
「坊ちゃま。崇める神は人それぞれです。その人の人生の根幹となるもの。その人の救いそのものでもあります。むやみにそれを否定したり、押し付けてはなりません」
「…………はい………」
「国にもよりますが、私のようにほとんどすべての人々は、光の神ルキナ様を信仰しています……まさかとは思いますが……私以外にそのお話しはなさっておりませんよね?」
「まだしてない…………ぇへへ……許して♡」
うやむやにしようと目を泳がせながら、サルビアに媚びるように笑う。
彼女は頭痛を抑えるようにこめかみを抑え、呆れた顔をする。
「はぁ……一度旦那様に教会へ連れて行ってもらうべきでしょうか……」
「…………ぇへへへへ」
俺は諂うようにサルビアにすり寄り、彼女の胸に顔をぐりぐりと押し付ける。
あ~~~やわらけぇ~~~いい匂い~~~
これできるの子どもの特権ですよ。
バブみクーデレ銀髪巨乳メイドとか、こんなんオネショタ不可避やん?
こんなポヨポヨに吸い付かない男たちの数を数えてみたいものだ。
「まぁいけません。赤ちゃんは卒業ですよ? こんなに大きな赤ちゃんはいませんよ」
「やだやだやだぁ~~~」
サルビアはこうすると少しの事なら許してくれる。
銀髪メイドは困ったような声を出すが、一方で俺の頭を優しく撫でてくれる。
「仕事が残っておりますから、もう行きますね? さぁおっぱいから離れましょうね」
「は~~~い」
「先程のようなことは、他の人にはしてはいけませんからね? それでは失礼します」
サルビアはお辞儀をすると部屋から出ていく。
俺は名残惜しそうにそれを見送り。
今後のステータス育成計画の修正を余儀なくされたことに、頭を抱える。
俺は前にトート神様からお告げがあったように、信者を集めてスキルポイントを集める手筈だったのだ。
しかしそれは始まろうとするところで頓挫してしまった。
サルビアを勧誘できないとか、誰を勧誘しろってんだよ。
コミュ障には難易度高すぎる。
かといって権力使うと、各方面から反感呼ぶだろうし。
父上たちに怒られるに決まってるし……
八方塞がりなんだけど?
地道にスキルポイント稼ぐしかないのかな……
努力とか俺の最も嫌いな概念の一つだ。
楽して生きる方法はないものかと自問自答する。
ちなみに今のところのステータスはこんな感じだ。
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アルタイル・アルコル
ステータス
筋力 32
耐久力 33
敏捷力 28
魔力 9999999999999999999999999999999999
知力 66
スキル
数学lv15
科学lv13
社会学lv12
礼法lv9
芸術lv1
現代知識lv24
製作lv3
舞踏lv1
頑健lv70
病気耐性lv70
毒耐性lv30
苦痛耐性lv72
剣術lv1
火魔法lv7
水魔法lv52
土魔法lv1
回復魔法lv70
魔力操作
【出力】lv40
【制御】lv70
【変換】lv22
【具現化】lv23
【干渉】lv70
【効率】lv21
スキルポイント残り0
チート
魔力世界最高
全スキル・魔法取得可能
成長無限
成長率アップ
アイテムボックス
ステータスオープン
スキルポイント自由割り振り可能
全言語読み書き
状態異常
多臓器不全(部分寛解)
免疫不全(部分寛解)
代謝異常(部分寛解)
血液異常(部分寛解)
内分泌疾患(部分寛解)
遺伝子異常
装備
魔法剣
皮の魔法鎧
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
トロルを倒したら、めっちゃスキルポイントもらえた。うれし~
トート神様のアドバイス通り、遺伝子異常をまず治すようにすることが当面の目標だ。
あともう少し。
回復魔法もいい魔法覚えたしな!
80レベルを目標にするとキリが悪いから、魔力操作にも振っておいた。
魔力操作は上げれば魔法に加算されるからな。
一応均等に上げておいた。
そういやトート神様に、ステータスの質問すればよかったな。
忘れちった。へへへ。
魔力操作にスキルポイント振ったら、マジで操作性がよくなったし、魔法効果も上がった。
もはやこの国に俺を超える回復術師は、いないだろうと断言できる。
俺の回復魔法は神話の域に達した。
機会があれば、それを使うこともあるだろう。
戦いには事欠かない有様だしな。
しっかしどうすっかな~~~
ヤバい事件が起こるらしいし、レベル上げときたいが魔物を一人で討伐なんていけないし。
一人で外出なんて、これからもできっこないし。
何か手立てを考えなければいけないかもしれない。
しかし自前の優れに優れた大天才の頭脳をもってしても、なかなか良案は思い浮かばない。
まぁいいや! 明日からまた考えるか!
今日も日課のお昼寝しよ~~~!!!
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