第35話 「魔法の勉強 土魔法習得」
本日は家庭教師に魔法の勉強を習っていた。
もう俺は簡単なものは乳母やサルビアに教えられていたが、本格的な勉強はこれが初めてだ。
戦争が終わって父上にねだってみたら、お許しを頂けた。
子どもに習わせるのは危険だが、もう既に攻撃魔法をバリバリ使ってる以上。
親バカの父上も理性から拒否することはできなかったのだろう。
今までは難色を示していた父上も、俺が非常に強力な高位呪文を使えるのを知ると。
魔法から遮断する方が、かえって危険だと判断したのだろうな。
といっても発動に関してはチートから教えられる事なんてほとんどないし、魔法の使用用途や倫理的問題を教え込んでるだけだけど。
「何という魔法でしょう! 『aqua』でここまでの威力を出せるとは! 教えることが何もない……」
「へへっ! 其処まで凄いですかね?」
「これで高位魔法まで使えるというなら、あの上位種のトロルを倒したのも頷ける……!」
「お兄ちゃん…………すごぉい……!」
そして特別にエーデルワイスも座学を一緒に受けることになった。
兄弟では一緒に勉強することはないから、なんか新鮮だ。
兄弟で能力差が出ると、不和の種になるだろうしな。
エーデルは俺の魔法に目を輝かせ、熱い吐息を漏らしている。
そんな濡れたオンナの目で見られると集中できなくなっちゃうよ♡
「『aqua』はこのように飲み水を確保する魔法です。平民程度の魔力なら布が湿る程度の水量です。水魔法は攻撃力に関しては全魔法で最弱ですから。魔力操作の制御と出力を高い次元で両立させて初めて、そのような威力が出るのでしょう。大変お見事です」
「ほへぇ~~~どうも!」
そんなもんなんか水魔法……
でも考えてみれば神様チートで馬鹿魔力持ってるのに、あんくらいの威力なのは逆に不自然なのか……?
って攻撃力最弱ぅ!?
うわぁぁぁぁぁぁぁああああああ!!!
だからよく考えてから、スキルポイント使いたかったんだ!?!?!?
俺のスキルビルド計画がぁぁぁ!?
だからあれだけ情報が欲しいって言ったのにっっっ!?!?!?
「……それでは水魔法ってどんな利点があるんですか?」
「幅広い魔法の種類と、その応用力が持ち味ですな。それに水を出せるという事自体がメリットでしょう。農業や工業、軍事行動などメリットは枚挙に暇がありません。」
家庭教師はそういうと、黒板に各魔法の特性を書いていく。
ふむ……手数が多いのはかなり有利だな。
それにやっぱり生活利用に関しては、どれよりも水魔法が上手を行くか。
でも俺の魔力チートなら欠点消せるし、いいんじゃねって思うが。
各魔法でどれくらい差があるのか、まだわからんからなぁ。
それならまぁ……妥協……
いや聞いてから判断しよう……
講義によると各魔法の強みはこれだ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
火魔法は最高の攻撃力、殲滅力、火傷による体力低下、生活利用、索敵
水魔法は水辺における魔力消費の低下と最大の効果範囲、幅広い魔法種類と応用力、兵站の軽減、生活利用
土魔法は陸地における魔力消費の低下と最大の効果範囲、トラップ、最高の防御力、生活利用、ゴーレム操作、索敵
雷魔法は全魔法中最高の速さ、麻痺攻撃
風魔法は飛行能力、身体能力の向上と急速な方向転換、隠密性、索敵
闇魔法は精神干渉、デバフ、隠密行動などの特殊な戦闘
光魔法は戦闘における万能性、魔物への特効
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「簡潔ですがこのようになります。魔法属性は資質によって決まります。光と闇の適性者は極少ないですがね。そして大体の人間が1属性です。平民でも2属性あれば魔法学院入学を勧めらます。貴族は大体2属性持ちですね。3属性あれば天才と言って相違ないでしょう」
「わかりました。回復魔法はどのように区分されるのですか?」
「回復魔法や強化魔法、付与魔法などは、属性持ちと同じように独立して区分されます。これらの魔法も魔法属性として扱うという事ですね。アルタイル様は現状3属性持ちとなります。回復魔法などは光魔法など程ではありませんが、希少ですね。探せばいる、という程度かと」
家庭教師はすらすらと淀みなく話す。
何回も同じ説明を繰り返してきたのだろう。
俺は更なる疑問をこの専門家に問いかける。
「各魔法の弱みがあるとすれば、それはなんでしょうか?」
「大変いい質問です。逆に弱みとなるとこれらが指摘されます」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
火魔法は防御魔法無し、操作性が悪い
水魔法は攻撃力最弱、発動スピードが遅い
土魔法は発動スピードが一番遅い、範囲が大きい魔法は同士討ちの危険
雷魔法は防御魔法無し、魔力消費量が多い、イメージしづらいので鍛えにくく、威力弱い
風魔法は範囲が大きい魔法は同士討ちの危険、操作性が悪い、攻撃力弱い
闇魔法は操作性が最悪、使用者が少なく鍛えにくい
光魔法は魔力消費量が莫大、使用者が少なく鍛えにくい
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「なるほど……これに回復魔法などが加わると、戦術が多岐にわたるでしょうね」
「いかにも。魔法は一属性を極めるだけでも奥が深いです。また属性複合魔法も膨大な数があります。アルタイル様は今のところ3属性を修めておられるようですが、ただ使えるというだけではいけません。その研磨と、使い方が重要なのです」
「はわぁ……お兄ちゃん凄ぉい……! ……わたし聞ぃてるだけで精一杯だったよぉ…………」
エーデルワイスは難しそうな顔で、黒板を睨むように目を細めている。
あはぁ~~~俺もその目で睨んで~~~
サルビアにこの前怒られて俺……目覚めちゃっ……たぁ……♡
婚約者は次々に質問を繰り出す俺に、感心しているようだ。
ファンタジーに関わった、年期の違いってやつかな……(微笑)
「魔法属性はどのようにして知るのですか? 私の魔法属性がほかにもあるか調べたいのですが……」
「はい。一番簡単なのは指導者の下で、魔法を使う事ですな。魔道具などもありますが、数が非常に少なく、希少性から管理も厳しいです。今回は私の指導の下で、アルタイル様の魔法属性を調べましょう」
そんなこんなで庭先に出る。
家庭教師は大きな杖を取り出し、魔法の実技の勉強が始まる。
エーデルワイスは切り株にちょこんと座り、俺たちの魔法を見学する。
「私の魔法属性は土、雷、風の三種類ですな。幸いアルタイル様と一つも被っておられないようで何より。既に魔力操作は素晴らしくできておりますので、得意属性は練習すればすぐ使えるでしょう。それではやってみましょうか」
「はい!!!」
「お兄ちゃん……がんばって……!」
エーデルワイスの可憐な声援を受け、元気100倍だ!!!
将来の妻に、いいとこ見せちゃうもんね!!!
結果。雷と風魔法は何の成果も得られなかった。
エーデルワイスは俺に気を使っているのか、じっと大人しく見学をしている。
くそがっ……俺には才能がないのか……?
チートでお手軽に習得はできるが、それはそれとして悔しいんだよ……!
「そう気を落とされることはありません。先ほど申し上げたように3属性使えれることができれば、天才と称して差し支えない。厳しい修練を積めば、属性も増えることはあります。それでは最後の土魔法をやってみましょう」
家庭教師は予想通りだったのか、頷きながら杖を売る。
彼の横に小さな土くれが地面から浮き上がる。
「『terra』これは地面から土を操り、移動させる魔法です。」
「『terra』」
家庭教師の呪文を、見よう見まねで唱える。
どうか発動してくれ……………!
呪文と共に地面が抉り取られ、宙に浮く。
俺は歓喜と共に、それを上下左右に動かす。
魔力操作の制御があるから、初めての魔法でも中々うまく動かせるもんだな。
家庭教師はその様子を見て白い眉と目を吊り上げて、仰け反るほどに吃驚する。
「やった……! 動いた……!!!」
「一回で使えるようになるとは…………! しかもこれで4属性…………! 王国では現在、王国魔導院長のみがその域に達していたはず……! 信じられん……! これが本物の天才……!」
「……! ……お兄ちゃんょかったね…………!」
エーデルワイスは我が事のように、無邪気に喜ぶ。
見たか~? 俺の天才っぷりを?
鼻が高くなっちまうぜ!
それにしても土魔法か~!
聞いた感じ、これもできること多そうでよかったな!
今後は回復魔法上げてくけど、その後の育成計画もどうしようか楽しみだ。
「アルタイル様の父君も土魔法の使い手でしたな。親子で似たのですね」
「えぇ! 父上は土魔法が得意だっておっしゃっていました! 私も父上のようになれるように修練に努めます!!!」
「ほっほっほ! その意気ですぞ! アルタイル様ならきっと王国一の大魔法使いになれますぞ!!!」
「ありがとうございます!」
キリもいいので魔法の講義はこれで終わりだ。
やっぱり魔法の勉強は面白い。
毎日これならいいんだけどな……
貴族ってつまんないこと学ぶのが多すぎんだよ。
さて父上に時間があるときに強請って、土魔法でも教えてもらおうかな!
どうせ父上の事だから、卑劣な使い方たくさん知ってんだろ!
た~のしみ~~~!!!
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