第27話 「幼馴染とダンスレッスン」
ある日のこと。
俺は父上から話を聞いて、あまりのショックに眩暈がしていた。
こんな恐ろしいことを許していいのか?
残酷すぎる提案に、人間はこんなに無慈悲になれるのかと絶句し。
我が耳を疑う気持ちだ。
「でもね……こういうのは早い方がいいんだよ? いつかは行かなきゃいけないし、もっと大人になってからじゃ遅いんだ。私はアルタイルが馬鹿にされるところは見たくないなぁ」
「いやですいやですっ!!! 絶対行きません!!!」
「困ったな……」
父上は頭を掻く。
困ってるのは俺の方だよ!!!
可愛い息子だろ!?
どうしてそんな非道なことができるんだよ!?!?!?
「ちちうえぇ……」
くらえ! うるうる攻撃!
鏡見て練習した一番かわいいポーズだ!
最高の角度で決めてやる!
「うっ…………そんな可愛い顔してもダメ!私は意地悪したいわけじゃないんだよ!」
「うぅぅぅぅううぅぅぅぅう!!!!!」
俺は控えていたサルビアの胸に飛び込む。
優しい彼女なら俺の味方をしてくれるはずだ!
「坊ちゃま。我儘を言ってはいけませんよ。旦那様のいう事を聞きましょうね」
「サルビアーーーーー!!! 助けてーーーーー!!! ……母上―――――!!!!!」
俺はついに伝家の宝刀を抜いた。
不謹慎なのであまり使いたくはないのだが、こんなことをされたら俺も黙ってはいられない。
「やだよぉ……母上……捨てないで……」
「旦那様。坊ちゃまにはまだ早いかと」
サルビアは俺の頭を胸に押し付け、俺の髪を指で梳かしつつ撫でる。
チョッッッロッッッッッッ!!!
決まったろ!!!?!
「うーーーーーん……アルタイルは友達は欲しくないのかい?」
「ノジシャがいる!」
「ノジシャは親戚だよ。ちょっと違うんだ。それに友達は多い方がいいよ?」
「父上とサルビアがいるからいい!」
「そうかそうかーーー!!! ……いやだめだめ許さないよ!」
父上はほとほと疲れたという表情で腕を組み、思案する。
万策尽きたといった様子だ。
それはこっちだよ。
「仕方ない……ノジシャはもう社交界に出席してると聞いている。彼女の力を借りよう」
「ノジシャ?」
「社交界にも出れない子供だと思われてしまうと、ノジシャに馬鹿にされてしまうよ? それでいいのかい?」
「………………ノジシャのところに行くだけですよ」
そうして俺は為す術なく、パーティの練習という名目でノジシャの所に送られたのだった。
そう。父上は俺を社交界デビューさせるつもりなのだ。
「アルタイルは社交界の楽しみ方を知らないのよ。私と踊ってみましょうか!」
「えぇぇぇぇえぇぇぇえぇ………………」
「こら! そんな顔しないの!」
ブロンザルト邸にて挨拶などもそこそこに、ダンス練習へと移ってしまった。
ノジシャは俺を窘めるように両手を腰に当て、可愛らしく頬を膨らませて注意する。
怒られちゃったぁ☆
しっかし踊りだってー?
どこが楽しいんだか……
やりたい奴だけでやってろよ俺は女漁るのに忙しいんだ。
待てよ……? 女と踊る……?
そういう事か!!! 合法的に美女と密着できる!!!!!
俺は世界の真理にたどり着いてしまった……!
なるほど……ダンスって文化はチンコから生まれたんだね。
偉大なる先人たちよ感謝します……
俺はこの伝統を固く守り、後世へと受け継いでまいります……
いやすげーよ性欲を上手く隠すもんだな。
貴族様ってのはこうなんでも迂遠だけど、いいとこもあんじゃねぇか!!!
「踊ったことない……教えて?」
「そのつもりよ。私に合わせてステップを踏んでみましょうか。体に何かあれば、すぐに言うのよ? 体調が優れない時は大変だって聞くから」
「わかった!」
心配してくれて嬉しいな♡
気遣い上手さんの心優しい女の子は、心配そうに見つめてくる。
だが俺が大きく首を縦に振ると、微笑んで頷き返してきた。
従姉の少女は俺と片手をつなぎ、俺の手を自らの腰に回す。
か、顔近すぎーーーーー!?!?!?
ノジシャたんの吐息がかかってるよ!
吐息と吐息が混じり合い、お互いがお互いの吐息で呼吸している近さだよ!!!
こんなこともできるのかーーーい!
崇高なる父祖の智賢に……深く感謝……
俺がノジシャの顔を見つめていると、恥ずかしいのか彼女は頬を赤らめ語調荒く咎める。
「こーら! 集中しなさい! 目線はあ・し・よ! 足!!!」
「は~~~~~い」
アルタイル反省♡
ノジシャたんの可愛いあんよを見つめるとしますか~
可憐なおみ足だね~~~
ストッキングの奥には、どんな絶景が待ってるのかな?
俺は血走った視線で目の前の赤髪の美少女の足を凝視し、妄想を深めていく。
そこにはダンスという概念の奥深さが隠されているのだ。
深淵を覗くとそこには女体の神秘があった。
足もいいな……いい……
ダンスって……深ぇ…………
「集中しているところ悪いのだけれど……自分の足も動かしてみましょう?」
「……!」
ノジシャの家の楽士が奏でる音楽に合わせて、ノジシャは楽し気に揺れている。
俺は頷きで答え、自分の足を彼女の足と合わせて踏み出してみる。
よーし練習の始まりだっ!
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