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第26話 「ノジシャとの戯れ 勇者ステラの激烈な痛撃」




「これが私が育てたチューリップよ」


「お花綺麗です! 上手なんですね!」


「すごーい」


「あら。ありがとう。今は見れないけどお母様は薔薇を育てているから。よかったら時期が合えば見ていってほしいわ。とても綺麗なの!」


「本当ですか!?楽しみです!」


「すごいなぁ」


「お手紙を出すからまた来てくれると嬉しいわ」


 悲報。俺、すごいとしか言えていない。

 いや本当にすごいとは思うよ?


 でも何て褒めればいいかわからない。

 そんなことを思ってると、なんかどんどん話が二人の間で進んでくんだもん。


 




「はい! 頑張ってお手紙書きます! 兄様みたいにたくさんの文字を書けるように勉強します!」


「頑張り屋さんなのね。応援してるわ」


「ありがとうございます!」


「アハハ……」


 俺の存在感が消えた……?

 愛想笑いの音の大きさすら、聞かれるの気まずいレベルなんだけど!!!

 3人になったのにまた俺の周りだけミュートされてね……?


 もう俺いる意味ないじゃん!

 もはや2人だけで会話が完結してるじゃん!

 もういいよ……俺なんて転生したところで、何も変わるはずなかったんだ……


 そうだよ女の子と会話すらできない俺に、口説くなんてできるわけなかったんだ……

 こんな世界……俺がハーレムできない世界なら……いらないよね?




 もういい。俺は金と暴力で女を支配する。

 幸いこの世界には奴隷がいる。


 女は力で手にいれてやる。

 世界よ……俺の恨みを思い知るがいい!!!!!






「兄様! 兄様はどんな遊びがいいですか? 僕は兄様が決めた遊びなら何でもやります!」


「そうね。アルタイルに決めてもらいましょうか! 私同年代の子を遊ぶのって初めてで……色々教えてくれないかしら?」


「う……うん…………えと、俺が……アルデバランやステラと家でやってた遊びは――――」


 しっかたねぇなーーーーー!!!!!

 年長者の知恵ってやつを見せてやるかぁーーーーー!!!

 やっぱガキだけじゃ何にも決められねぇからな!


 ここは一肌脱いで俺の器の広さってやつを、見せてやるとしますかねっと!

 現代日本の優れた遊びを、教えてやるとしますかぁっっっ!!!!!






「そうだ! ステラもせっかくこっちに来てるんだから呼びましょうよ!」


「えーと? ステラさんという方がいるのかしら?」


「はい! 兄様のメイドの女の子です!」


「私はいいのだけれど……アルタイルはどう?」


「アッハイ。ダイジョブデス」


「あなたがいいのなら私もいいわ」


「それじゃ僕が呼んできますよ!」


 アルデバランはそういうや否や駆け出していった。

 つい反射で了承してしまったが……

 やべぇ!!! 二人っきりじゃん!?


 どうしよどうしよどうしよ……

 ふぇぇ……ここ数年で一番のハードミッションだよぉ……




「…………(無言で指を何度も組み替える)」


「アルタイル。さっき話していた遊びについて教えてくれるかしら? どんな遊びをいつもはしているの?」


 俺が俯いていると、ノジシャがゆっくりと優しく語り掛けるように語り掛けてくる。

た、

 助かった―――!!!

 それなら俺も話せるぞ!!!




「……! (無言で首を縦に振りまくる)」


「教えてくれるの? ありがとう!」


 従姉の女の子は柔和な微笑みを浮かべる。

 ノジシャ。君は天使か?




「アゥ……エッチョ……イツモハ……オニゴッキョ……トカ……シテリュヨ!」


「そうなの。鬼ごっこってどういう遊びなの?」


 めっちゃ噛みまくってるーーー!?

 変な子って思われたらどうしよう!?

 絶対思われてるよ!!!


 それにめっちゃ片言だし小声だし!

 聞こえたの奇跡じゃねぇ?

 鬼ごっきょってなんだよバカの遊びか?




 次は要点をまとめて、ちゃんと聞こえるように言わないと!

 よーしがんばるぞっ!






「鬼ごっこっていうのはぁ!!!!! 鬼になった人がぁ!!! 鬼じゃない人を追いかけてぇ!!! 鬼に触られたらその人が鬼になってぇ!!! 鬼じゃない人を鬼にするためにまた追いかける!!! って遊び!!!!! ドゥフフ!」



「…………………………………そ、そうなのね……た、楽しそうな遊びねっ!!!」



「うんっ!!!」



 ちゃんといえたぁっ!






「兄様―――――!!! 連れてきましたよーーーーー!!!!!」



 そんなことを話しているとアルデバランがステラと一緒にやってきた。

 ナイスタイミングぅっ!

 最高の弟だぜお前はよっ!!!


 連れてこられたピンク髪のツインテールの少女は、ノジシャの前に立ち。

 涙目でおもちゃのロボットのようにぎこちなく礼をして、震える声で挨拶を始めた。

 うんうんわかるよ。仕方ないって。






「ノジシャお姉さん! メイドのステラです!」


「………………ステラ………です……」


「ブロンザルト子爵が娘、ノジシャよ。よろしくねステラ」


 赤毛の長髪を持った女の子はステラの蚊のなく声にもよく耳を傾け、笑顔で応対する。

 いい子だね~~~それじゃ俺のハーレムに入ろっか?




「女の子が来てくれて嬉しいわ。それにこんなにかわいい子!」


「………か……可愛くないです……ノジシャ様のほうが……可愛い……です……」


「あらありがとう。ねぇ一緒に遊びましょ!」


「は……はい!」


 俺のメイドはノジシャに心を開いたのか。

 先程よりは流暢に話し始めた。

 女の子同士仲良くなるのが早いね。


 じゃあ俺も混ぜてよ!!!!?!

 そんなことを言わない、空気が読める男だ俺は。

 決して友達の輪に入れないわけではない。






「何して遊ぼうかな……兄様は何するか決めましたか?」


「まだ決めてないな。4人で遊べるものか……」


 アルデバランに質問され、俺が考えこんでいると。

 俺たちの話を聞いていたのか、ステラが叫んだ。




「勇者ごっこ!!!」



「あらいいわね」



 ノジシャが柔らかい口調で同意する。

 ステラは相違されたことが嬉しいのかどや顔をする。かわいいね~


 いや違う違う。

 ステラ……お前……よかったな?

 ノジシャが癇癪持ちじゃなくて。その蛮勇尊敬するわ。




 まぁなんでもいいか……所詮は子どもの遊びだ。

 俺は参加してカワイ子ちゃんの好感度を上げるまでよ。




「私! 勇者がいい!!!」


「僕も! 後で代わって! それまでは戦士やるから!」


「私は……何がいいかしら?」


「ノジシャお姉さんは聖女がいいと思います! あ……兄様は……?」


 アルデバランは気まずそうな顔をして俺の方を向く。

 よいよい。元よりそのつもりだ。




「俺は魔王をやろうか」


「あぁ……悪役が必要なのね……アルタイルには申し訳ないわね」


「構わないさ」


「うふふ優しいのね。ありがとう」


「ああ………………フヒヒ」



 完全に決まったーーーーー!!!!!

 ほらノジシャ感心している!


 俺のクールな気遣いがわかるとは大した女だ!

 やっぱ俺ってば肝心なところはスタイリッシュに決めちゃうんだなーーー!!!




 ノジシャもこれで俺に惚れたな!

 俺の方を見てにこにこ笑っている。


 メスの顔だよこれは!

 いつでもお股開いていいからね♡ ブヒヒ♡






「それじゃはじめよーーー! 我こそはーーー! 勇者ステラなりーーー!」


「僕は戦士アルデバラン! 魔王は必ず僕が倒す!」


「……聖女ノジシャよ……魔王は必ず倒す……」


 ステラお前が号令するんかい。

 お前身分とか理解しとるんか?

 あほの子は可愛いけど俺ちょっとハラハラするから、アホも程々にしてくれ頼むから。


 ノジシャたん照れちゃって可愛いね♡

 自分を聖女と名乗っちゃうことが恥ずかしいのかな?


 ちゃんと聖女やらないと悪い魔王に捕まっちゃって、エッチな目に合っちゃうからね♡

 悪い聖女はお仕置きが必要だね♡




 さて……俺も名乗りを上げますか。

 大人として少し遊んでやるよ。




「我は魔王アルタイル也。矮小なる人間達よ。我が支配を拒むのなら、その首を落としてくれる。世界は我の物だ」


「悪の魔王め! お前を倒して世界を救う!!!」


「魔王! そんなことは僕が止めて見せる!!!」


「や、やっつけてやるー」


「来るがよい。貴様らの死をもって抗えぬ絶望を人間に刻もう」


 ハイ始まりました。

 中々堂に入った魔王ロールだと思いませんか?


 てかステラとアルデバラン攻撃激しすぎるんだが?

 体にバシバシ木の枝が当たって痛いんですけど。俺の攻撃全然当たらないし。


 ノジシャはオロオロしている。

 確かに魔法使い系って、ごっこ遊びじゃ案山子じゃん。






「とりゃーーー!」


「うぉーーー!」


「え、えーーーい魔法だー」


「小癪な。無意味な反抗をするとは笑止千万。イテッ罪深き者たちよ闇の裁きを下そうかグッ」






 俺の口上にさらに攻撃を強めるガキ共。

 ちょ……いつまで続けんのこれ。


 痛いんだが?

 特にステラ。我貴様の主ぞ?

 そこんとこわかってる?




 それにしてもごっこ遊びか~

 眺めた事はあった。

 小さい頃は専ら除け者だったからな。

 物心ついた頃から仲間外れだつたし、公園の外から同級生の喧騒を眺めていた。


 童心に帰って、心ゆくまま遊んでいると……

 こうなんだか失くした大切なものを集めなおしているような…………

 そんな気分になる。


 へへっ! なんだか感傷的になっちまったな!

 でも……こういうのも悪くはない……か……






「魔王! 覚悟―――――!!!」



「ぐえーーーーーーーーーーっっっ!?!?!?!?!?」



「にっ……兄様―――――!!!」



 俺が物思いに耽っているとステラが手加減なしの殺人アタックを、俺のみぞおちにジャストインさせた。

 激痛が走り、俺は倒れ込むその時頭から地面に落ちたせいか。

 強い衝撃と鈍い音が頭に響く。


 俺の視界は暗転し、みんなの俺を呼ぶ声が遠ざかり。

 ついに糸が切れるように俺は意識を手放した。

 魔王成敗(笑)











「――――ーー全くご主人さまを気絶させる馬鹿があるかいっ!!!」


「ごべんなざいぃぃぃっ!!!!!」


 ここは……? 視界がぼやけているが徐々に焦点が合い。

ヘンリーケに鬼のように怒られているステラが泣きべそをかいている姿が見える。


 俺は……寝てるのか?

 なんか柔らかい。


 それより眠たいな……

 夢か。また寝よう。

 俺は寝返りを打つ。




「……ひゃっ……!」


 なんだか顔全体に柔らかく、温かいものがぶつかった。

 鈴の鳴るような可愛らしい声が響くと、生暖かい空気が俺に降りかかる。


 しかし俺の息ができない。

 でもなんか温かくていい匂いする~




「も……もごごっ……」


「……! 目を覚ましたのねっ!?」


「兄様―――!!! よかったーーー!!!」


 なんだ騒々しい……

 今俺は何故かとても安心しているんだ。

 サルビアのおっぱいに包まれて寝ている時みたいな、圧倒的母性に包まれている気がするんだ……






「ここは……?」


「あなたステラに気絶させられたのよ。よかった意識が戻って」


 俺はノジシャに膝枕をされ、その下腹部に顔を押し付けていた。

 うわっ!御褒美かよっ!?


 今のうちに感触を顔に焼き付けとこっ!!!

 やわらけっっっ! 体温と血流が感じられるっ!




 あとちょっとハムハムしとこっ!

 うめっ! これうめぇっ!!! ぶひっ!


 あ~肺にノジシャのエアーが染み渡る~~~

 これ最高に脳にキマるわ~毎日キメたい。




「アル様―――――!!! ごべんなざいぃぃぃっ!!!!!」


「あーわかったから……次から気を付けてくれ……」


 ステラが俺の胸に縋り付いてわんわん泣く。

 うわ鼻水べとべとじゃん……


 まぁええわ。

 ノジシャたんのスメルで腹一杯だから。

 禍転じてロリ膝枕と為したから。




 そうしていると俺の頭が優しく撫でられる。

 こ……これは……? ノジシャたん……?






「許せて偉いわね。よしよし」






 す、好きになっちゃう――――――!










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