第186話 「新たに取得した魔法 ステータスアップ」
父の命により、魔法を起動する。
発動したのは土魔法の高位魔法。
轟音を立てながら山際と谷底の地面が剥がれ落ち、谷を挟んだ向かいの山に向かって土の道を形成する。
巨大なる岩石を出現させ、操る魔法である。
俺の魔力操作レベルにかかれば、このような複雑な形状に加工することもできる。
よって長大な陸橋を、山と山の間に架けたというわけだ。
えっちらおっちら山登りなんて、してらんねーよ。
架け橋を作っていく中で、支柱を立てて強度を増強していく。
土台となる橋脚があれば、頑丈になり交通安全も保障できるだろう。
「ほぉ…………」
「……本当に……凄まじいものですな」
数分もすると、数十mにも及ぶ、壮大なる陸橋が構築された。
うん。結構な荷重があっても、耐えきれる強度だ。
地震があっても、これだけ堅固な構造ならば大体は大丈夫だろうな。
騎士たちは感嘆の視線を向けて、ため息ばかり。
戦の間は寡黙になるダーヴィトも、驚嘆を隠せない様子だ。
これで兵たちの疲労も軽減され、迅速に移動できる。
ほんの少しの差が生死を分けることもあるのだから、決して馬鹿にできないのだ。
少し形も整えるか。俺センスの前衛芸術的建築様式だぜっ☆
このように魔法の利便性とは、時に科学を凌ぐ。
軍事的応用性はその分、幅広くなり得る。
だからこそ俺が土魔法を伸ばすに至ったのだ。
現在のステータスは、ここまで伸びることとなった。
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アルタイル・アルコル
ステータス
筋力 40
耐久力 42
敏捷力 38
魔力 9999999999999999999999999999999999
知力 74
スキル
数学lv17
科学lv14
社会学lv13
礼法lv22
芸術lv1
現代知識lv24
製作lv8
舞踏lv1
頑健lv74
病気耐性lv74
毒耐性lv60
苦痛耐性lv84
剣術lv1
気配察知lv32
火魔法lv20
水魔法lv69
土魔法lv50
回復魔法lv86
魔道具作成lv20
魔力操作
【出力】lv49
【制御】lv86
【変換】lv34
【具現化】lv36
【干渉】lv86
【効率】lv33
スキルポイント残り0
チート
魔力世界最高
全スキル・魔法取得可能
成長無限
成長率アップ
アイテムボックス
ステータスオープン
スキルポイント自由割り振り可能
全言語読み書き
状態異常
装備
魔法剣
皮の魔法鎧
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先の『新種の透明の魔物』討伐で、とんでもない量のスキルポイントが手に入った。
もちろん地道に修行を続けている。
てか俺は今まで、マジで必死に修行してたからな。
生まれた時から死にかねなかったし、身体が治っても次はガチバトルの連続。
この年にして英雄ロードを爆進してしまった。
そんな経緯で成長した俺。
元王国魔道院長オーフェルヴェーク侯爵のアドバイスに従い、土魔法を伸ばした。
ゴーレム魔法も使えるようになったぞ。
それとスキルレベルをマックスまで上げない理由だが、マックスにしてから鍛えたらスキルポイントが無駄になりそうだからである。
トート様のお告げがあった時に、聞いておくんだった。
いやあんな唐突で、しかも痛い中で思考がまとまるわけもないが。
だからこそ満遍なく、スキルレベルを上げるという事となっている。
でもスキルレベル高いスキルを地道に鍛えても、成長率が明らかに鈍化してるんだよなー
単純に鍛えれば、そりゃ鍛える程に成長が難しくなるに決まってるが。
スキルシステムも優秀過ぎる。
神様ってすごい。なるべく逆らわないようにしようと思った。
いやもう遅い感あるけど、気にしないことにした。
考えれば考える程に思考の迷宮に惑うぐらいならば、考えない方が賢明だと前世で散々学習したのだ
「水魔法と回復魔法に加え、土魔法まで高位魔法を……」
「あのお年で、何という成長速度だ!」
「これが……英雄アルタイル様……」
「アルタイル様がいればやれる……勝てるんだ……!」
希望に満ちた畏敬の視線を、集めてしまう俺ことアルタイル・アルコル。
ったく、しゃーねーな!
最強無敵のアルタイル様が、いっちょ栄光をくれてやるとしますかぁ!
だが女の子たちの注目は、俺が独占させてもらうがな☆
こればかりは申し訳ないが、自然法則であるとばかりに俺がすべての女体を集めてしまうのだ。
全国の非モテ達よ、すまん。この顔に免じて許してほしい……
話しは逸れたが、毒を盛られた件もあって、毒耐性スキルもレベルを上げた。
耐性系は殊更に、スキルレベル上がりづらいんだよなー
そりゃ普通に暮らしてたら、上がるはずもない。
ぶっちゃけトラウマだよ。あんなに痛いの。
この痛切なる忌避感は、誰もがわかってくれると思う。
英雄を殺すには毒だって、古今東西において常套手段なんだね。
「…………我ながら凄いもんだな。あっという間に完成したぞ」
それはさておき、いや土魔法強い。
もう橋が完成したぞ。
ざっと数分で、前世なら最短でも数か月かかるような大工事をだ。
土魔法ってほんわかイメージあるけど、マジで戦争のためにあるんじゃね。
落とし穴を作って落とすとか、相手に石ぶつけるだけで殺せるし。
農業とか建設にも使えるけどね。
俺が少し頑張ればビル建つとか、チートやん。
畑作る時にも耕運機要らずだし、どれだけ利便性が高いのか伺い知れない。
そして先ほど俺は悪路を土魔法で整地しながら、進んでいた話についてだが。
行軍の最中にも、どんな荒れ道でもたちまち舗装できるのだ。
山歩きを一度でもした者ならわかると思うが、とにかく体力を消耗する。
しかし土魔法使いがいれば、それだけで地ならしできるのだ。
この威力は戦争に対して、どれだけ影響をもたらすのか。
戦争初心者の俺でさえそう思うのだから、俺の想像以上のものがあるに間違いないだろう。
でも殺意高過ぎなんだよなぁ。
いきなり陣地ドカンと建立できるとか、出禁レベルの反則でしょ。
俺の魔力あっての事ではあると言えば、そうなんだが。
軍事常識からしたら、チート過ぎるよぉ……
そんなこんなを考えているうちに俺は橋を完成させ、耐久性の確認も終わらせた。
とりあえずゴーレムを橋の向こうまで渡らせたりしているが、問題ないようだ。
「『figura』――――――できました!!! 強度などの安全確認もばっちりです!!!」
「ありがとうアルタイル。これで少し楽になる…………お前たち。高山病になりそうな者が居たら、直ちに報告をしろ。回復魔法では酸素は補充出来ない。もちろん疲労もだ。できるだけ高地で休みたい。そのためにも予め部下たちの健康状態の把握には、厳しく努めよ」
「「「「「ハッ!!!!!」」」」」
「斥候に天候の崩れや、土砂崩れなどもないか確認させてくれ。彼らには特に負担を強いることになるが、ここが正念場だ」
数mにも及ぶゴーレムを造形する。
これを谷を挟んで向こう側まで渡り切らせると、魔法を解く。
土塊に変じてゆくゴーレムを見送ると、対象である父に振り向き報告する。
父上の的確な指揮の下で、下級指揮官たる騎士たちは行動を開始した。
部下の体調を把握し、安否を確認する。
高所に陣を敷くことは戦術において、そして周囲の観測のためにも当然。
指揮官たる騎士たちは、父上たちに次々と異常がないことを報告してゆく。
「報告いたします。兵たちの疲労は許容範囲。しかし斥候の一部が、定例時刻を過ぎても戻っておりません」
「……それは本当か。アップダウンの激しい不整地だ。負荷の大きい彼らに不測の事態が起きていても、何ら不思議ではない。念のため、警戒体制に移れ」
そんな折に、不穏な報告を受ける。
父上にそれを告げた騎士は、いつにも増して固い口調。
斥候の消息が途絶えている。
その連絡がされた瞬間、誰もの身を固くさせた。




