第137話 「ドレスを着た婚約者」
黒髪ツーサイドテールの女の子。
大人びた印象を受ける煌びやかなネイビーのドレスで清楚に身を包んで、女の子らしくおめかしした可愛らしい婚約者。
身体は小さいのにおっきなぷに♡を揺らして、こちらへと控えめに喜色を滲ませて彼女は早足で歩いてきた。
昨日も王都に来た時に挨拶したが、その時にも増して可愛らしい。
何度会っても君は綺麗だね♡
そして以前に俺のあげたプレゼントが、耳元で存在感を放っている。
この場所でも一際尊く明るく輝いているよ♡ 俺のきゃわいい運命の人♡
今日は世界中が君の光でシャイニーだ♡
「エーデル! 昨日ぶり~♡ 今日も綺麗だよ~♡ ん゛っ゛がわ゛い゛っ゛!!! んぎゅひぃっ♡」
「ぅん……! ノジシャさんも久しぶり……ありがとぅお兄ちゃん。それと、おめでとう……」
「ええ。久しぶりねエーデル。今日はとっても可愛いドレスが似合ってるわ♪」
「ふふん♪ まぁね!!!!!」
「ありがとぅノジシャさん…………あのね……? 見てたよ……! さっきはお兄ちゃん、しっかりお話しできて、偉かったね……頑張ったね……!」
エーデルワイスは両手を握り締め、感動に満ちた視線を俺へと向ける。
カチンときた俺は抗議の言葉を送る。
「はぁ!? 話くらいできるっつーの!!!」
「っふふ……♪」
無礼にも程がある婚約者に、反感を抱く俺。
何がおかしいのか、エーデルワイスはころころと笑う。
なめてんのか? こいつぅ♡ 生意気になりやがって♡
可愛ければ何でも許されると思うなよ♡ お仕置きだ♡
こうされたくて誘い受けしてるんだろうがっ♡
お仕置きしようと近づこうとしたら、目線は隣を通り過ぎたファンタジックエロ衣装の女にいく。
首ごと、いや体ごと釣られそうになった俺は、小さな婚約者に窘められた。
「ふぉぉぉぉぉ……! むひょひょひょひょ♪」
「お兄ちゃん……? そんな目で女の人を見ちゃ……ぃけないょ……! めっ……!」
「あっごめんね♡ 嫉妬させちゃったね♡」
「違うよぉ……! もぉ……ちゃんとしないとダメだよ……」
「エーデルたん♡ ぷ~にぷに♡」
「もぅだめって言ってるのにぃ……ばかぁ……」
やわらけっ……やわらけっ……至上の法悦じゃあ!!!!!
小作りな顔を羞恥に染めるも、抵抗の手は俺の体に添えるだけのこの婚約者。
こんなのお仕置いっぱいして欲しいってことだもんね♡
そういうことなら手加減なしの全力で、ひんひん言わせてあげるからね♡
媚び媚びの切ない声出して誘惑しやがって♡
小さくあっつい吐息を弾ませながら、欲しがり視線送ってきやがって♡
旦那様のご機嫌取りしろ♡ 誘い受けマゾが♡
知ってるんだからな♡ いつも期待に満ちた顔で、俺をムラつかせようとしてるの♡
軽率に下半身をイラつかせやがって♡ このっ♡ このぉっ♡
他の男を誘惑しないように、教え込んでやるっ♡
この乳は俺のもんだ! ここでマーキングして他のオスにわからせてやるっ♡
そこに苛ただし気にしたノジシャが割って入り、俺とエーデルを無理やり引き離す。
「こんなところでやめなさい。見苦しい。あなたは家をしょってきているのよ?」
「え~~~……? はぁ~~~い……」
ったくいいタイミングで出てきやがって。わかってやってんのか?
俺たちに妬んでるんだね? 恋煩いですかぁ?
可愛い嫉妬だ♡ もっともらしい理由をつけるねノジシャたん♡
「なら一緒にぎゅぅ~ぎゅぎゅ☆ これで解決だねっ♪」
「………………本当に……この子は……」
「ぉ兄ちゃんのおばか……」
俺は未来のお嫁さん二人を抱きしめた。
美少女サンドイッチだぁ~~~! 具は俺♡
でもムシャムシャ食べるのもオ~レ♡
そしてん゛お゛お゛♡♡♡
マッッッッッジでいい匂いするフンガーー―――!?!?!?
脳細胞を危ないまでに刺激する、焼けつくような快楽信号が鼻腔から昇ってくる。
そのまま脳みそが、楽園まで羽ばたきそうになる。
薬物中毒者はみんなこれすればいいと思うよ…………世界は平和になるよ…………
ってそんな俺は美少女中毒者ってか(笑)
くっついた二人は、心底呆れたような表情を取り繕っている。
ノジシャは身を捩って振りほどき、俺の額に指をぐりぐりと押し付ける。
世にも可愛い抗議を受け止め、俺は思わずだらしない表情となる。
「まったく……私が見てないと、何するかわかったもんじゃない」
「ブヒヒ♡ 二人三脚。いや三人四脚☆ 病める時も健やかなる時も、いつだって愛の力で乗り越えていこーね♡」
「もぉ……だめだからね? お兄ちゃん。反省……しなさぃっ……」
頬を上気させたエーデルワイスが腰に手を当て、俺へとジト目を向ける。
きゃわわ~☆
ムラつき☆ヒートアップしそうで、困っちゃう~~~♪
「それにしても……アルタイル。あなた珍しいじゃないの? 積極的に同年代に顔つなぎ? どういう風の吹き回しなのかしら?」
「父上に挨拶しろって言われた。友達作れって」
「……なるほどね。わかったわ。それじゃ三人で一緒に行きましょうか。こういう挨拶にもルールがあるのよ。爵位の高い家の方から、順番に回っていくというようにね。付け加えると諸々の政治的事情や、付き合いとかも加味していかないといけないから。そこはやりながら教えるわ」
「はぁ? またかよ。だりぃ~~~」
「こ~ら。一番大事なの。本当に覚えてね。あなたはこの場では唯一の爵位持ちだから、挨拶される側だけれども……だからこそ覚えないといけないわ。挨拶に来ない、敵対者や愚か者を見極めるためにもね」
「は~~~い」
覚えなきゃいけないのはわかったから、素直に聞くけどよぉ。
ガキどもの顔なんてわかんねーよ。会ったこともねーし
もしノジシャに会う前に挨拶する羽目になったら、父上はどうするつもりだったんだ?
まぁ大方俺がノジシャに、四六時中引っ付くこと想定なんだろうけどよ。
でも超めんどくせぇ~~~
「わたしも苦手……できるかなぁ……?」
「エーデル。未来の旦那様が華麗にエスコートしてやるから、ちゃんとついて来いよな! 俺の友達百人と、お前の友達百人。合わせて200人この俺が秒で用意してやるから、一秒たりとも俺から目を離すなよ☆」
「はぁ……」
「ふふ……♪ お兄ちゃんはかっこいぃね……!」
こてんと首を傾けて、自信なさげにしていたエーデルワイス。
しかし頼りがいのある俺の言葉に、少し朗らかな表情を見せる。
ノジシャは何故かため息をついた。
この子もまだ子どもだ。きっと挨拶回りに不安と負担を感じているのだろう。
よーし!!! 友達200人でっきるっかなぁーー-♪
将来のお嫁さんたちに、いいとこ見せちゃうぞー――!!!!!
何回も惚れ直させてやるからな♡
「話を戻すけど、まずはローゼンシュティール公爵家の長女でいらっしゃる、ローズマリー様ね」
「ローゼンシュティールの方か。どんな人?」
「一言でいうなら、完璧な方よ。あらゆる才覚に優れ、人品も素晴らしい。考古学にも造詣が深いとか。有名な話では魔法学の発見を、あのお年でいくつもしているわ。よく社交会でも取り沙汰されているのよ」
「お前がそこまで言うの……?」
「私なんか足元にも及ばないわ。本当の天才っている物ね。いつもあなたに対しても思ってることだけど、とても私じゃ敵わないわ」
「やべぇ……こえぇ……」
「とてもよくできたお方よ。だからこそ機嫌を損ねるような真似は、絶対にしてはいけないからね? あと彼女に不躾な視線を送ったり、変なことを言わないこと! いいわね?」
「……? わかった」
不躾な視線……? それって具体的にどこに向けて何秒くらいですか?
よくわかんないけど、チラ見くらいはいいよね……?
そして俺たちは子供たちの中心部にいる、大貴族子女の居座る方向へと向かう。
ローゼンシュティール公爵家。
王国北方を担う、貴族の雄。
近年ますます勢力を伸ばす、大諸侯中の大諸侯だ。
アルコルとはかなり縁が薄く、俺もローゼンシュティール公爵には会ったことが一回しかない。
それも義務的な社交辞令のみ。
当主はかなり特徴的な見た目だったからよく覚えているが、どんな子なんだろうか。
かわいい子だといいなー!
「ローズマリーさん。ごきげんよう」
面白い、または続きが読みたいと思った方は、
広告下↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓の☆☆☆☆☆から評価、またはレビューしていただけると、執筆の励みになります!!!!!!!!!!




