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第133話 「王族の華麗なる心遣い」




 なんか少しばかりざわついていた周囲の貴族たちが、突然沈黙したぞ?

 みんなどうしたの~~~?

 なんか俺、おかしなこと言っちゃいました?

 わかんないなぁ……? 言ってくれないと、わかんないなぁ……


 ……………あっ。




「あわわわわ…………陛下!? 誠にもっ……申し訳ございません!?!?!? 臣でありながら、僭越極まりない要求をいたしました!? 畏れながら、ご寛恕のほどを願い奉りたく……」




 やべぇぇぇぇぇ!?!?!?!?!?

 礼儀として、一旦遠慮するの忘れてたぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!

 俺の可愛いお口のバカバカバカ!?!?!? いうこときけぇぇぇぇぇっっっっっ!?!?!?


 慌てて神妙に自らの失敗を謝罪する。

 90度の角度で腰を折り、許しを請う。

 な……情けねぇ…………




 顔から火が出そうな程に、羞恥心が噴出する。

 チラリと王族の方々を見やると、みな一様に頬を引き攣らせた苦笑いでいた。

 この小さな双肩にのしかかるように重々しく感じられる空気に視線を彷徨わせ、あわあわもじもじしていると救いの手が降りる。




「何、気にしないでくれたまえ。頭をあげてほしい。子供は素直が一番さ! 遠慮なんかいらないんだよ」


「寛大なお言葉、そして御芳情、肝に銘じます。めでたき宴席における無礼、平にお詫び申し上げます……」


 鷹揚にも陛下は俺の非礼を許してくれた。

 こわごわ頭をあげるも、気落ちしたままである。

 この人が怒ることあるのか? だけど他の奴らが許すかどうか……例えば……


 そう思って周囲をさりげなく見渡すと、案の定というべきか。

 ひょぇぇぇ……典礼大臣がブチギレて俺のこと見てるよぉ………

 額の血管やべぇ……歯を剥き出しにして食いしばっていらっしゃる……タコさんみたいな真っ赤っかな頭だぁ……


 ヤバいよぉ……忘れてたけど、ここも貴族社会という名の戦場だったよぉ……………

 どうしよぉ……マジでヤバいよぉ…………人生でも上位ランクインするレベルのピンチだよぉ…………ヤバいよぉ…………






「――――――アルコル男爵。卿の並ぶ者なき戦果は、賞賛を受けるものとして最も相応しいと私は考える。堂々と褒美を受け取られるがよろしい」



「レグルス殿下……」



「男爵位に相違ない武勲である。誰が非難することがあろうか? 称賛は当然のものであって、謙遜で返す必要はない。卿はそれにふさわしい英雄であると、私は信ずる」



 そこに助け船を出してくれたのか、意外なことにレグルス殿下が沈黙を破った。

 非礼を働いたという問題を、褒美を受け取るかどうかという風に話をすり替えてくれたのだ。

 忸怩たる想いを抱え、自己嫌悪から揺れる瞳をそちらへと向ける。


 ありがたい言葉だが、素直には喜びきれない。

 あの激戦を思い出す。

 俺を守って死んでいった仲間、その家族を見舞った時に泣いていた家族。

 己の無力を痛感させられた出来事であった。




「殿下、私一人ではとても成しえませんでした。犠牲となった部下を思えば、とても功をひけらかすことなどできませぬ……」



「精兵のアルコル兵が幾人も散る、激戦であったと聞く。それを制してなお自己を省みる卿は、なるべくして英雄となったのであろう。過剰な遜りは無粋である」



 ……し……信じちゃう~~~!?!?!?

 畳み掛けるように有無を言わさないほどの自信に満ちた言葉でこの方に言われると、誰だって本気にしちゃう~~~!!!


 金髪イケメン王子の、ずば抜けて抜きん出たイケメン力ヤバい。勝てる気がしない。

 堂々とし過ぎているその態度だけで、条件反射で頷いてしまいそうになる。

 圧って言うか、怒濤のエレガントプリンスオーラで無理やり従わせて来るんだもん。




 一挙一動が鮮やか過ぎて、王子様そのものだもん。

 堅苦しい気取った言い回しがここまで似合うとか、それに見合った言動や普段の立ち振る舞い、立場に至るまで相当ないと無理でしょ。


 何より別次元の存在のように、他の奴らと明らかにキャラデザが違い過ぎる。

 美の神様こいつだけキャラクリに力入れすぎだろ。

 心なしか瞳と周囲の空間が、いつもキラキラしてるし。


 絵本の中から出てきたみたいだぁ……

 白馬の群れで生態系を成して、迎えに来そう。





「殿下……! お……お心遣い……誠にありがとうございます……! 戦場に散った部下たちも……浮かばれます…………!」



「礼には及ばぬ。人類を守った真の勇士たちへ、改めて心からの哀悼を表そう。アルコル領の民へと、平和への祈りを捧げよう。アルコル領の者たちは、すべからく誇り高き英雄である。私は卿達すべてに、無上の敬意を表する」



 至尊の王家の一人よりあずかった、心に迫る単語の羅列。

 涙が浮かびそうになるが、瞼に力を入れてぐっとこらえる。

 嗚咽が漏れそうになるが歯を噛みしめて、震える声ではあったが何とか返答できた。


 感涙に潤んだ俺の目をじっと真正面から見据えて、レグルス殿下は美しく微笑んだ。

 本心からの言葉であると、その力強くも温かな笑みで理解できた。

 陛下も息子の言葉に感動したのか、涙を滲ませながら何度も頷いている。




 しかし……しゃあっ!!! 感動的にいい感じに切り抜けたぜ!!!

 結果よければすべてよし!

 正しい人間に正しい結果がついてきたんだから、おかしいことはないな!ガハハ!!!






「―――――――アルコル卿の見事なご活躍は、私も聞き及んでおります。」




「ミモザ殿下」










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― 新着の感想 ―
[良い点] むむむ。一度遠慮するって大人には当たり前ですが子供はなかなか……。 それでこの空気になってしまうんですね(^_^;)貴族社会こわいなぁ。 アル様はあれだけ活躍したのにとっても謙虚でえらいと…
[良い点]  レグルス皇太子とアルタイル……絵になりますね! 中身は正反対かもですが(笑)
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