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第106話 「父に教わった魔法 ステータスアップ」



「はい!ばっちりです!」


「よしよし。この塹壕はその魔法を駆使して、敵を殲滅できる陣地だ」


 アルコル家の軍団が屯すこの塹壕。

 幾重にも堀と壁が敷き詰められ、堅牢な要塞となっている。


 その形は空中から見るとするならば、おおよそ楕円のようなものとなっており、その内部で俺たちは安全を確保することができている。

 俺はその楕円形の塹壕線を3個も作り上げており、各部隊はそこに駐屯する予定となっている。




「ここであの魔法を使えば視界をすぐに潰すこともできるし、何がしかの要因で見えない敵をあぶりだすこともできる。詰まる所マーキングというわけだ。魔法で姿を消すこともできるからね。そんな時の対処にうってつけの魔法だ。燃費もいい」


「なるほど……ためになります」


 あの魔法はそのように使うのか。

 しかしあの魔法は攻撃力という面では、そこまで強力ではないような……?


 俺たちは塹壕の内郭で止まり、作り上げた土の階段を父上と共に上がる。

 そして壁の上で立ち、塹壕の外を見渡した。




 父上は魔法陣を起動させ、呪文を唱える。

 そして壁が崩れ、ある形へと変化した。






「こんなようにね『arena』やってみなさい」



「はい!!!『arena』!」



 父上が魔法を起動させると壁が一部剥がれ堕ちて、砂となって拡散して地面へと降り注いだ。

 それに続いて俺も、魔法を起動する。

 父上の魔法とは比べ物にならないほどの数十mにも届かんとする範囲で、砂の弾丸が吹き荒れた。




「上手~~~!!!」


「えへ!!!!!!!!!!!」


 少し前だが、父上と魔法の練習をした。

 俺の父アルフェッカの魔法属性は、土と風の2つ。

 俺と同じ土属性であるので、その運用方法について学んだのだ。


 父上との修行は、俺の戦闘力を飛躍的に向上させた。

 やっぱ戦場に生きる軍務経験者は違うわ。

 殺戮性能をとことん極めさせてきやがる。




 今のところのステータスはこんなところだ。

 魔法の地道な研鑽。見つけたモンスターは着実に狩っていったこと。

 そのことがステータス大幅アップへとつながった。。





――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 アルタイル・アルコル 


ステータス


筋力  38

耐久力 39

敏捷力 36

魔力 9999999999999999999999999999999999

知力  71



スキル


数学lv16

科学lv14

社会学lv12

礼法lv17

芸術lv1

現代知識lv24

製作lv5

舞踏lv1


頑健lv72

病気耐性lv72

毒耐性lv31

苦痛耐性lv79


剣術lv1

気配察知lv26


火魔法lv15

水魔法lv64

土魔法lv18

回復魔法lv83


魔道具作成lv15




魔力操作

【出力】lv46

【制御】lv83

【変換】lv30

【具現化】lv32

【干渉】lv83

【効率】lv29


スキルポイント残り15


チート

魔力世界最高

全スキル・魔法取得可能

成長無限

成長率アップ

アイテムボックス

ステータスオープン

スキルポイント自由割り振り可能

全言語読み書き


状態異常


装備 

魔法剣

 皮の魔法鎧



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――






 このように着々と強くなっている。

 スキルポイントが余っているのは、テフヌト様と今後の育成方針を定めてからポイントを振り分けるつもりだからだ。


 土魔法を伸ばせばいいのかもという、オーフェルヴェーク侯爵の言葉から土魔法を鍛えているが……

 いろんな人の意見を聞いて、見識を深めるのが得策だろう。




 スキルポイントを稼ぐために、強ぇやつと戦いてぇ……

 痛いのは嫌いだが、辻斬りのように強い魔物を倒せばポイント数の悩みもなくなる。




「しかし……この魔法が何か?今回の作戦と何か関係があるので?」


「魔法で姿を消すという事は往々にしてあるものだ。お前にはそれについて知ってもらいたい。足元を掬われかねないからね。」


 父上に撫で繰り回されながら、俺は疑問を呈する。

 わざわざこの魔法を今使う意図が読めないのだが……


 いやこのタイミングでそれを言うという事は、それを使用することになるかもしれないという事だな。

 そうすると父上は土魔法についての持論を述べ、戦争における肝となる術を教授してくれた。






「このようにして土魔法には用途が非常に多く、戦術的に一番といっていいほど強力だ。土魔法の神髄は陣地作成もあるが、何より『魔法を固定化できる』。陣地作成はその余技に過ぎない。土魔法でできた地形の変化などは、そこに残しておいたままにできる。そしてそれは数が多ければ多いほど、有効になる。大軍での戦になればなるほど強いのは土魔法だ。闇魔法、付与魔法なんかも強いが数が揃えられない。戦争は数だ。小技のたぐいだが、覚えておきなさい」


 秘技ともいえる軍事的知識を伝授され、内心興奮する。

 彼が軍隊で培った軍事的な思考法は、値千金だ。


 脳に刷り込むように、それを覚えようとする。

 これから俺が生きていくうえで、必須となりうることが直感的に理解できたからだ。






「ご指導ありがとうございます父上。金言、胸に刻みます」


「ああ。そうしてくれ」


「ご歓談中失礼いたします。休憩時間が終了いたしました。ご指示を願いたく馳せ参じました」


「わかった。すぐに執り行う」


 突如、シュルーダーが会話に割り込んできた。

 少し申し訳なさそうにしており、口調も焦りが見える。

 暢気に壁の上で歩いているように見えたのかな?


 目の前にいる騎士の役職は、トロルとの戦いで殉職したリヒターの後任。

 実直そうな男盛りの騎士。彼がアルコル家の騎士隊長を務めている。

 実質アルコル軍のナンバー2だ。




 父上は彼の心境を察したのか、上申を承諾して階段を下りていく。

 そしてシュルーダーとのすれ違いざまに、次のように告げた。




「リヒターが死んで急遽お前が騎士隊長になったが、お前の能力は買っているんだ。期待している」


「全力を尽くします」


「最初に話したが、今回は威力偵察でも構わないと考えている。そう気負うな」


「……はっ」


 緊張した面持ちで、この騎士隊長は返答する。

 彼はその肩書に恥じぬ有能な男ではあるが、まだ騎士隊長をするには年若い。

 リヒターが亡くなり、急遽騎士隊長となったのでまだ経験が浅いのだ。




「部隊配置後に、まず火力支援手段の用意と点検をせよ。次に魔道具罠を設置後、塹壕内で円陣を組め。奇襲の警戒を密にせよ。最後に緊要地形や接近経路などの作戦地域の地形特性を把握し、対策案を作れ。同時に偵察部隊の回収ルートも検討するんだ。また撤退する場合、新たな戦線を敷き直す地点を算定せよ」


「承知いたしました」


「多少派手になっても構わない。すでに魔法騎兵を出している以上、こちらの状況は筒抜けであると考えるべきだ。それゆえに迅速に行動せよ。」


「はっ!!!」


 父上が矢継ぎ早に指示を出し、この騎士へ任務を任せた。

 このシュルーダーも、よくこれだけの指示を一瞬にして理解するものだ。

 俺はちなみに、もう何を言っているか忘れた。




 円陣とは全周囲への防御・警戒が中心の陣形。

 その名の通り全方向に対して部隊を配置する円形の戦闘陣で、宿営や部隊の集結などに対応している。


 配置的に陣が拡散するため、局所攻撃に長時間の防御することには不適格だ。

 攻撃を受けた場合には敵に対して最大限の戦闘力を発揮するために、直ちに逆襲出来うる陣を組みなおす必要がある。




 その時間を稼ぐための塹壕だ。

 どこから攻撃が来るかはわからないことから、こうして全方向へと警戒しないとならない。


 そして3つの塹壕は繋がっており、異変を察知すれば直ちに駆けつけることができる。

 そうなるとこのような隊列を組むこととなるのが、この場に即した策だろう。






「何もかも盤石な戦争はない。常に蟻の一穴を突かれ、敗走するリスクをはらんでいる。それでも敵の意図を読み、勝利の布石を打ち続けるのが将の役目だ。よく覚えておきなさい」


「はい。父上」


 俺は父の助言に神妙に答え、礼をした。

 父上は頷いて答えると軍勢の間を通り過ぎていき、中心部の陣幕へと入っていく。




 俺もそれについていくと、中には気だるげに例のクソエルフが椅子に足を組んで座っていた。

 本は腰の袋に入れられているからか、大きく四角形に形状を変形させていた。

 読了したのだろうか。暇を持て余しているからか、不機嫌であることを隠しもしないようだ。


 彼女は苛ただし気に俺を見やると立ち上がり、ずかずかと俺に寄ってきて俺を弾き飛ばして外へと出る。

 そしてそうしながら息もつかせぬ勢いで、その主張を押し付けてくる。




『チッ……おい。私は好きにやらせてもらうぞ。安心しろ。至高種族エルフ様は、人間どもとは格が違う。私が一番うまくやれる』


 チューベローズは護衛としてこの場にいることになっているが、気分屋であるからかその任を放棄しようとしているのだろうか。

 めっちゃめんどくさそうに舌打ちしまくって、魔法でどこかに消えた。


 それを見て騎士たちも我慢の限界が来たようで、もはやこの事件はエルフの仕業でないかとも断定的に思っている様子だ。

 あまりにも傍若無人な態度に、怒りの臨界点が突破し口々に刺々しい指摘をする。






「なんだあの態度は……!?アルタイル様になんと無礼な!!!」


「エルフであるからと、尊大が度を過ぎるのではないか!?アルコル家への侮辱である!!!」


「それもあるが今の魔法を見たか……事も無げに我らの前で使用したが、あの手段をもってして殉職した騎士たちを殺害したのではないか……?」


 憤激冷めやらぬといった様子で、不満を漏らす兵士たち。

 その話向きは、次第に不穏な方向へと行きつつある。

 こんなところで仲間割れなど、冗談ではない。


 だが俺はどうしていいかわからず、右往左往してしまう。

 そんな時に鶴の一声が響き渡った。




「――――――――――エルフ殿とは話がついている。彼の御仁の態度について気にする必要はないし、臆するな。相手が何であれ、それは賊。ただ一心に、討ち果たすのみ」




 父上が雄々しく敵の討伐を宣言する。

 なおかつチューベローズの蛮行について、擁護的な言及をする。

 だが当然というべきか、兵士たちは不承不承といった様子だ。


 軍隊で命令違反や無体な行為ばかりしていたら、規律が崩壊して戦いどころではない。

 彼らがこの我儘エルフをよく思わないのも自然な結末だ。




 父上も険悪な空気を察したのか、すぐに声を張り上げて出陣の合図を行う。

 彼らの意識を任務へと向けさせ、チューベローズへの反感をそらそうという魂胆なのだろう。


 いらない気を揉ませてくれる。

 あいつの扱いにも、ほとほと困ったものだ。






「さて、そろそろ部隊を散開させる。各自、最善を尽くし、勝利へと邁進せよ」






 父上の号令と共に、布陣を行うがために足音を踏み鳴らしす兵士たち。

 皆、戦へと赴く益荒男の面持ちをもって、進軍してゆく。


 陣幕の中で誰からも距離をとって不干渉を貫いていたルッコラが、俺へと無言で歩み寄ってきた。

 俺の護衛のためか左右に目を光らせており、後ろを着いてきている。


 ルッコラたんはいい子ちゃんでちゅね♡

 後でよしよし褒め褒めしてあげましゅからね♡




 そんな中でアルビレオ叔父上が俺へと近づいてくる。

 彼は同じ部隊となる。頼りにさせてもらおう。




「よろしく頼むよ。アルタイル」



「はい。よろしくお願いいたします叔父上」







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 『間が悪いオッサン、追放されまくる。外れ職業自宅警備員とバカにされたが、魔法で自宅を建てて最強に。僕を信じて着いてきてくれた彼女たちのおかげで成功者へ。僕を追放したやつらは皆ヒドイ目に遭いました。』

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― 新着の感想 ―
[良い点] 恐ろしい戦場にいて、殺戮性能を極めさせようとしていても、アルさまとお父上の仲の良さは微笑ましいですね。 アルさまの『arena』迫力があってかっこよかったです(#^.^#) 砂で敵の位…
[良い点]  見えざる敵の正体……気になります! [一言]  チューベローズのことが気になって気になって仕方ありません!(笑)
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