金鉱山の発見
「国王様、金の鉱山が発見されました」
アバトが報告した。
「ほう。近いのか?」
「国の西、約5キロメートルほど先にある山地ですね。狩人のリジナ、リライザ姉妹が発見いたしました」
西か。アストラール王国のある方向とは逆だな。
竜人族の技術供与があるおかげで、農業は進み、畜産も始まった。
しかし自給自足の生活には限界がある。
これ以上の発展を望むなら交易を始める必要がある。
人間世界と接触する必要が出てくるだろう。
黄金は、交易の際の強力な武器となる。
金の鉱脈を押さえることができれば、我が国は交易によりさらなる発展が期待できる。
「よし、調べてみよう。エナ、行くか?」
ぶんぶんと首を振るエナ。
「帰り、待ってる」
「そうか」
エナは、あまり遠くへ出たがらない。
ポチのダンジョン程度の近場なら問題はないが、竜人の里へも行きたがらなかった。
魔王の頃の習性というか、特性のようなものが残っているのだろうか?
「リムネは?」
リムネはエナのほうを見る。
エナはこくりとうなずいた。
「お供させてください」
「よし。アバト、後を頼んだぞ」
「かしこまりました」
俺は鉱山へ向かって出発した
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深い森の中を俺は4人で歩く。
「お前たちは普段こんな遠くまで狩りに出かけているのか?」
「狩りならば近場の森で事足ります。ですが、一応周辺地域の探索はしておいたほうがいいかと思いまして」
「えへへー、森は私たちの庭みたいなものだからねー」
落ち着いたしゃべり方のほうが姉のリジナ、人懐っこいほうが妹のリライザである。
二人は元々巨大な狼、グレイトウルフというモンスターだった。
城ではなく森に暮らしていたモンスター。あの巨体ならきっと行動範囲は広かっただろう。
彼女たちは今回の鉱山発見者。道案内である。
「ふふ、なつかしいですね。私も幼い頃はよく森で遊んでいました」
リムネも楽しそうに笑う。
「この中で一番森に慣れていないのは俺、というわけか。では森の先輩方から、森歩きを学ぶとしよう」
「もう、国王様」
「あはは、国王様にできないことなんてないもんねー」
「エドワード様が森で危険に遭うなど、考えられません」
やれやれ。信頼されているのはいいが、少し盲信気味なのが困りどころだな。
「俺は万能というわけではない。できることよりできないことのほうが多いのだ。できないことは、なるべくみんなから学ぶようにしている」
「立派なお考えです」
「国王様のそういうところが、すごくステキなんだよねー。はふぅ。私も3人目の奥方様に加えてもらっちゃおっかなー?」
エナならば喜んでしまいそうなセリフだが、リムネはそうはいくまい。
と、思っていたら。
「寝所がにぎやかになりそうですね」
などと言い出した。
「お、おい。お前まで……」
「正妻のエナ様があのようなお方ですから。私だけ嫉妬心を抱くというのは、あまりにも恥知らずです。私はエドワード様のところへ半ば無理矢理押しかけては来ましたが、そこまで堕ちるつもりはありません」
「えーほんとに!? いいのっ!?」
「えっ、じゃあその……私も……」
リライザだけでなくリジナまで……。
その時、ガサガサと目の前の茂みが鳴った。
「誰っ!!」
リジナとリライザが弓を構える。
「ブブヒッ!」
現れたのは豚面のモンスター。オークだ。
人間以上の巨体と緑の体。力が強く手強いモンスターなのだが。
オークは敵意は見せずにただこちらを見つめているだけだった。
俺が【魔物統率】スキルを持っているからだ。
「オークよ。人間になりたいのなら、ここよりまっすぐ進んだ先にある我が城へ向かうがよい。今は連れて行けぬゆえ人間にしてはやれないが、城で待っていれば願いは叶えられるだろう」
オークは一度俺に頭を下げて、森の奥へと消えていった。
こうした地道な勧誘活動は欠かさない。
「なるほど。こうしてモンスターたちを人間にしていたのですね」
リムネが驚いていた。
俺がモンスターと話すのを見たのは初めてなのだ。
「【魔物統率】スキルのおかげだ。ある程度言葉を話を聞いてもらえる」
「いいえ、さすがはエドワード様です。我が竜人族の集落では、ドラゴンと心を通わせられるようになるまでとても長い時間がかかるのですが、それをこうもあっさりしてしまうとは。素晴らしいです!」
目をキラキラさせて興奮した様子のリムネ。
それほどドラゴンの相手というのは大変なのだろう。
機嫌を損ねれば大ケガさせられそうな相手だからな。ドラゴンの戦闘力は高いのだ。
「あっ、そろそろですよ国王様」
ぱっくりと口を開けた鉱山への入り口が見えてきた。
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